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【神戸市西区】神戸発のスーパーを深く学べる「ダイエー資料館」。手に取れる貴重な現物資料も沢山です!

くりあんぱん神戸の日常系webライター(神戸市)

西区学園都市エリアの流通科学大学キャンパス内にある「ダイエー資料館」をご紹介します。神戸発の大手スーパーマーケット「ダイエー」が流通革命に挑んだ歴史や企業マインド、貴重な資料等にたくさん触れることができる資料館です。

公式ホームページ ダイエー資料館

正門から入って西、広場と中庭を抜け、「講義棟Ⅲ・Ⅳ」の看板が見えたら、左側「講義棟Ⅳ」奥の方に入口があります。

使用中の視聴覚室のような雰囲気ですが、躊躇わず奥に進み、分厚い扉を開けて入って頂いて大丈夫です。

中内氏の肖像画と、力強い筆遣いで書かれたダイエーの企業理念が迎えてくれます。

最初の通路にはダイエーが歩んだ歴史が紹介されています。自身の人生と重ねて見ると一層感慨深いです。

社歌の楽譜と歴代ロゴも紹介されています。2曲ある社歌のうち社歌Ⅱ「今その手が活きている」は、かの有名な阿久悠さんの作詞です。ロゴのオレンジ色は「ダイエーオレンジ」という特殊色で、「日本人が好む色」というのが由来の1つです。

次はプライベートブランド(=PB)の紹介コーナーです。国内でPB商品を販売したのはダイエーが初。筆者は何となく、PBは21世紀に入ってから浸透したものというイメージを持っていましたが、実際には1960年に発売されています。中内氏の先見の目に感嘆せずにはいられません。

左:一大センセーションを巻き起こしたPBテレビ「BUBU」。
右:お客様の声を拾い上げ商品化された品は実に多数。その中でも、特にオレンジジュースは大好評だったそうです。

PBコーナーを過ぎると一気に視界が開け、「千林駅前店(ダイエー1号店)」の店舗が飛び込んできます。現在街にあふれるコンビニのようなスタイルの店舗を、1957年に既に実装されていた事に驚きます。離島等では、今でもこのような店舗を見かけますね。中内氏の消費者のニーズをくみ取る力を実感します。

創業当時の屋号には「主婦の店」という言葉が使われていました。中内氏が貫き通した「主婦のみなさんが、買いたい商品を、買いたい価格で、買いたい量だけ買える社会をつくろう」という想いが如実に表れています。「ダイエー」は漢字で表すと「大栄」で、「大」は「中内氏が生まれた地『大阪』・大きい」の意味が、「栄」は「中内氏のお祖父様の名前『栄』・栄える」の意味が込められています。エンブレムにも、主婦の「主」の字と、デザイン化された「大」の字があしらわれています。

左:「神戸といえば肉(牛肉)やろ」の地元主婦さんの声や、中内氏が戦地で負傷した際の「家のすき焼きが食いたい」の想いから、牛肉販売への尽力は特に強いです。
右:PB開発でタッグを組んだ企業さんは商品メーカーだけではありません。商品棚や冷凍食品販売用の冷凍庫等、備品類のメーカーにも、ダイエーと共に発展した企業さんは多いです。

「千林駅前店(ダイエー1号店)」の店舗に向かって後方には、最初の通路に展示されていた「ダイエーの歴史」の続きが掲示されています。
個人的に一番心が動いたのは、ハンバーガーショップ「ドムドム」と震災復興についての部分。「ドムドム」は、筆者が子どもの頃、日曜日家族で出かけた帰りに小腹を満たした思い出の場所です。震災復興キャンペーンのキャッチコピー、最初は「がんばってや」だった所、「それだと他人事で突き放したような感じがある。そうやない、一緒に頑張るんや」という中内潤氏(中内㓛氏のご長男、当時の代表取締役副社長)の言葉で「がんばろや」に変更されたのだそうです。

奥の部屋には、ダイエーがスポンサーを務めたスポーツチームの記念品展示や、様々な映像資料を観ることができるコーナーがあります。スポーツや観光地巡りがお好きな方は思わずテンションが上がってしまいそうな空間です。

そしてこちらが、「ダイエー資料館」の真骨頂、社内情報誌やマニュアルの展示です。実際に現場で使用されていた資料の原本が置かれています。しかも実際に手に取って閲覧することが可能。業務システムに携わる仕事をされている方や、人を雇う立場の自営業の方などには、特にお勧めしたい資料達です。

通常業務のマニュアルに加え、実体験を元にまとめられた震災対応マニュアルもあります。
通常業務のマニュアルに加え、実体験を元にまとめられた震災対応マニュアルもあります。

こちらの書倉も、「社外秘じゃなくて良いの…?」と恐れ多くなってしまうような貴重な資料揃いです。もちろん全て、世界で一つだけの現物。遠慮なく閲覧して頂いて大丈夫、でも、敬意をもって大切に扱われてくださいね。また、これらの資料を使って館内で調べものをされている学生さんもいらっしゃいます。学習を妨げない配慮もお願いします。


ノスタルジックな雰囲気やスポーツ等のエンタメ性だけでなく、「常にお客様の立場で」の理念で庶民の家計を支え続けたダイエーの真価に触れることのできる「ダイエー資料館」。普段は平日のみの開館で事前予約が必要ですが、11月9日(土)・10日(日)に開催される学園祭時には特別開館されます。この機会にぜひご訪館頂き、たくさん感性を働かせて楽しみと学びを得てくださいね。
なお、関連施設「中内㓛記念館」「キャッシュレジスター博物館」も素敵なお勧めスポットです。ぜひ併せてお楽しみください。末尾に参考サイトを紹介しています。

●ダイエー資料館●
〒651-2103 兵庫県神戸市西区学園西町3丁目1 流通科学大学キャンパス内
開館時間 月曜日~金曜日 10:00〜16:00(月〜金) 要予約
休館日 土・日・祝
入館料 無料
電話番号 078ー794ー3555(代表) 078-796-4001(見学予約用)
公式ホームページ ダイエー資料館


※関連施設「中内㓛記念館」※
公式ホームページ 中内㓛 記念館 MEMORIAL HALL OF ISAO NAKAUCHI

筆者が作成した記事 【神戸市西区】現代日本の流通の礎を築いた、神戸の偉人に出会ってみませんか?「中内㓛記念館」(くりあんぱん) - エキスパート - Yahoo!ニュース


※関連施設「キャッシュレジスター博物館」※
公式ホームページ キャッシュレジスター博物館

筆者が作成した記事 【神戸市西区】大学食堂内の激レアスポット!絢爛豪華な黄金色の輝き「キャッシュレジスター博物館」(くりあんぱん) - エキスパート - Yahoo!ニュース

神戸の日常系webライター(神戸市)

神戸でささやかに暮らしている一市民。大好きな町神戸の魅力を、心地よい日常から拾い上げて大切にお届けしていきます。記事を通して皆様と「わくわく」「ほっこり」な気持ちを分かち合えたら嬉しいです。よろしくお願いします!

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