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【神戸市西区】現代日本の流通の礎を築いた、神戸の偉人に出会ってみませんか?「中内㓛記念館」

くりあんぱん神戸の日常系webライター(神戸市)

西区学園都市エリアの流通科学大学キャンパス内にある「中内㓛記念館」をご紹介します。神戸発の大手スーパーマーケット「ダイエー」や、キャリア教育等”実学”のカリキュラムを日本で最も早期に取り入れた「流通科学大学」の設立者である、中内㓛(なかうち いさお)氏の生涯や功績を学ぶことができる記念館です。

公式ホームページ 中内㓛 記念館 MEMORIAL HALL OF ISAO NAKAUCHI

正門から入って左折、本部棟・研究棟Ⅰを右手に、研究棟Ⅱ・講義棟Ⅱに向かう道の途中にあります。地下1階が入口です。階段昇降機が設置されていますので、利用希望の方はお気軽にお伝えください。

視界いっぱいに広がる、中内氏の生涯が記された年表が圧巻です。7分程のイントロダクション映像「流通革命は終わらない」を観てから中に進みます。

通路右手前のコーナーには、中内氏が生涯を流通業界に捧げる事となったきっかけから、売上1兆円を達成するまでの歩みが主に展示されています。

左:1957年にオープンした「主婦の店ダイエー薬局(ダイエー1号店)」のエンブレム。実際に店舗入口に掲げられていた、正真正銘の本物です。
右:当時の陳列棚。昔懐かしい品、現在でもお馴染みの品、現在と価格が全く異なる品、それ程価格が変わらない品…時代と価格の流れがとても興味深いです。

通路右中程は、映像資料の視聴コーナーです。よりリアルに中内氏の功績やお人柄を感じる事ができます。プライベートブランド開発等「価格破壊」の功績をはじめ、震災や当館設立時等のエピソード映像もありますよ。個人的には、昨今の物価高騰の中ダイエー店舗で目にした印象的な言葉「価格凍結宣言」が、既に1972年に登場していた事に驚きました。

通路左には、著名人との交流の様子が展示されています。各国の首相や各界トップとのツーショット写真や寄贈品から、いかに中内氏が偉大な実業家で、世界を牽引する方々から敬愛されていたかが分かります。

通路奥側には、流通科学大学を設立された「教育者」としての姿を学ぶことができます。自身の体験で若者に貢献したいという想いから、行事等への参加だけでなく、自ら教壇に立ちゼミも行われていたそう。卒業生にもメッセージ葉書を送られたり、卒業生が経営するお店や会社を訪問されたりと、心から慕われる先生だったそうです。

学園祭にて、学生から誘われ剣道部と手合わせする中内氏。全員、自然な笑顔でとても楽しそう。実に印象的な写真です。

通路最奥には、中内氏の執務室が再現されています。机をはじめ、記念品や中内氏のコレクションの一部が展示されています。

「諦めなければ何でもできる事を若者に示したい」と、82歳で自動車運転免許の取得に挑戦された記録。免許取得までに5回受験され、その度に「僕は試験に落ちる人間なんや」とケロリと仰っていたそうです。
ここにいると、「私も頑張ろう!」という元気や、いつの間にか諦めかけていた事に気付き「改めて挑戦しよう!」という熱意が蘇り、前向きな気持ちになってきます。「主」や「長」といった字が付く立場におられる方、達成したい目標や夢がある方には、特にお勧めしたいスポットです。

事務室の中にも展示品があります。職員さんにお声がけ頂ければ中に入って閲覧可能です。

地上部分には、中内氏の生家「サカエ薬局」が実物保管されています。大水害、大空襲(屋根に焼夷弾が突き刺さったものの不発で済んだのだそう)、大震災を乗り越えた、築100年を超える大変貴重な建物です。

裏側も是非ご覧ください。中内氏が戦地から帰還した際、表玄関にも勝手口にも鍵がかかっていた為、ここに梯子をかけて入られたとの事。

屋内も見学可能です。


「中内㓛記念館」は単なる記念館としてだけでなく、流通を学ぶ場としても活躍しています。流通科学大学の新入生やダイエーの社内研修をはじめ、様々な企業からの研修依頼を受け入れておられます。団体の見学者・研修生それぞれのニーズに合わせ、その都度配布資料や口頭での解説内容を変えて作成されているとの事。また、個人の来館目的も様々で、地元の方や資料館巡りがお好きな方、「生徒会長に立候補したいから、上に立つ人間としてのあり方を学びたい」と県外から中学生がいらした事もあるそうです。


「分かりやすい展示」の範疇を超え、中内氏やとりまく方々のお人柄と体温まで伝わってくるような中内㓛記念館。その所以は「卒業生、教職員、企業の方々等からの立案と寄付で建てられた」という所にあるかもしれません。中内氏本人も設立に関られており、建物の窓ガラスを「新緑と青春のイメージで」と今の色に選ばれ、完成した建物を前に「若い人に見て欲しいなぁ」としみじみと仰り喜ばれていたそうです。取材立ち会い担当の職員さんも、中内先生に師事されていた流通科学大学1期生で、先生のことを「大恩師」と慕い、ご自身の思い出もたくさん含めて解説して下さいました。実際に交流を持たれていた方々の手で運営され、その空気感から肌で学びを得る事ができる、まさに「生きている記念館」です。普段は平日のみの開館で事前予約が必要ですが、11月9日(土)・10日(日)に開催される学園祭時には特別開館されます。この機会にぜひご訪館頂き、偉大な実業家の功績と情熱からたくさん学びや気付きを受け取ってくださいね。

●中内㓛記念館●
〒651-2103 兵庫県神戸市西区学園西町3丁目1 流通科学大学キャンパス内
開館時間 月曜日~金曜日 10:00〜15:00(月〜金) 要予約
休館日 土・日・祝
入館料 無料
電話番号 078ー794ー3555(代表) 078-796-4001(見学予約用)
公式ホームページ 中内㓛 記念館 MEMORIAL HALL OF ISAO NAKAUCHI

神戸の日常系webライター(神戸市)

神戸でささやかに暮らしている一市民。大好きな町神戸の魅力を、心地よい日常から拾い上げて大切にお届けしていきます。記事を通して皆様と「わくわく」「ほっこり」な気持ちを分かち合えたら嬉しいです。よろしくお願いします!

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