米ビバリーヒルズ市、タバコ販売を禁止 5人に1人が喫煙関連死 ニコチンは違法ドラッグに次ぐ中毒性
日本では、5月31日〜6月6日が禁煙週間となっているが、喫煙者の方は禁煙に成功しただろうか?
6月4日夜(米国時間)、審議されていた米ビバリーヒルズ市のタバコ販売禁止条例案が全会一致で可決、同市では、2021年1月1日から、タバコの販売が禁止されることになった。
なお、ホテルの宿泊客はコンシェルジュを通じてタバコを購入することはできる。また、シガー・ラウンジ でのタバコの販売は認められている。
タバコを販売する小売業者は反対の声を上げていたが、ビバリーヒルズ市は市民の健康を優先させた。
5人に1人が喫煙が原因で死亡
タバコ販売禁止の背景には、「喫煙さえしなかったら助かる命がたくさんある」という現状がある。
CDC(アメリカ疾病管理予防センター)によると、喫煙は「アメリカでは予防可能な死因ナンバー1」だからだ。喫煙に関連する死は予防できるにもかかわらず、予防していないために亡くなっている人々が多数いるのだ。
アメリカでは毎年約48万人以上が喫煙に関連した死因で亡くなっているが、この数は、アメリカ人の5人に1人に等しい。また、この数は、HIV(エイズ)、違法ドラッグの使用、アルコールの使用、自動車事故、銃関連の事件が原因で亡くなった人々を合わせた数を上回る。
この50年以上、アメリカでは、喫煙に関連した死因で死亡するリスクも高まっている。
喫煙が肺癌や心臓病、慢性閉塞性肺疾患(慢性気管支炎や肺気腫など)の原因となる以外に、ほとんど全ての癌の原因になっており、喫煙者が癌で亡くなるリスクが高まっているからだ。アメリカでは、喫煙をしていなかったら命を落とすことがなかった癌患者が3人に1人もいるという。
禁煙効果の研究も進んでいる。
禁煙1年後では心筋梗塞になるリスクが激減し、禁煙2〜5年以内では喫煙者が脳卒中になるリスクは非喫煙者と同じくらいまで下がるという。また、禁煙により、口腔癌、咽頭癌、食道癌、膀胱癌になるリスクが5年以内に半減、禁煙10年後では、肺癌になるリスクも半減するという。
違法ドラッグに次ぐ中毒性
タバコに含有されている物質、ニコチンの中毒性の高さも証明されている。イギリス・メディカル・リサーチ・カウンシルによると、中毒性が高いのは、上から順に、ヘロイン、コカイン、ニコチン、バルビツール酸塩(鎮静・催眠効果があり、精神安定剤や催眠剤に使用されている)、アルコールである。ニコチンは、ヘロインやコカインといった違法ドラッグに次いで中毒性が高いことを喫煙者は心に留めておいてほしい。
ビバリーヒルズ市はアメリカで初めてタバコ販売の禁止を決定した市となったが、アメリカで初めてタバコ販売を禁止する州はハワイ州になるかもしれない。
今年2月、同州の下院議員が、最終的には100歳未満へのタバコ販売を禁止する法案を提出し、審議が行われているからだ。
100歳未満へのタバコ販売禁止といっても、この法案は、喫煙可能年齢を2020年に30歳に、2021年に40歳に、2022年に50歳に、2023年に60歳に、2024年に100歳にと、段階的に引き上げていく方法を提案している。
ビバリーヒルズ市のタバコ販売禁止条例が手本となり、同様の禁止条例が、じょじょにだが、全米へと拡大していくことも予想される。
ビバリーヒルズ市のジョン・ミリッシュ市長によると、ロサンゼルスのビーチタウンの一つ、マンハッタン・ビーチ市もタバコ販売禁止条例を検討しているという。
アメリカは着実にヘルシーな「脱タバコ社会」へと向かっている。
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