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オープン戦と教育リーグの3月、入れ替えを繰り返して開幕へ―《阪神ファーム》

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
きょう1日が卒業式の望月惇志投手。写真は安芸キャンプのブルペンにて。

きのう29日に打ち上げた沖縄・宜野座での1軍キャンプ。金本監督はじめコーチ陣、スタッフの皆さん、選手たちは昨夜、眩しい日差しの沖縄から寒い寒い関西に帰ってきました。雨で始まったきのう、午後から風も強まってきて鳴尾浜は真冬並みに冷え込みました。沖縄キャンプ帰りのチームにとっては相当な気温差だったでしょうねえ。よりによって。

タイガースはきょう1日が自主練習で、あすは1軍もファームも集合。そういえば、新チームになって全員が揃うのは初めてですね。そして3日は1軍のオープン戦とファームの春季教育リーグが始まって(金本監督いわく「若手は3月中旬までキャンプのつもり!」だそうですが)、あっという間に開幕。そこへ至るまで続くサバイバルに、安芸キャンプ組も遠慮は無用です!

さて、きのう久々に顔を出してみた鳴尾浜では、安芸キャンプ組の練習が行われていました。キャンプ打ち上げから1週間弱なのに、選手たちの顔はもうキャンプ中とは違うような…。何となく顔や雰囲気が、もう“臨戦態勢”に入っているような…。まあこちらの見る目もあるんでしょうけど、確かに3日から始める教育リーグで結果を出してオープン戦へという意気込みが表れている気がします。

とても人懐っこいへイグ

まずは定番のピースで、少しすまし顔のへイグ選手。
まずは定番のピースで、少しすまし顔のへイグ選手。

へイグ選手に初めて会いました。ようやく。左脇腹を痛めて沖縄から鳴尾浜へ戻っていて、きのうは屋外での打撃練習(フリーバッティング)を再開したとのこと。終わったあと「Very good!」と笑顔いっぱいで、左脇腹はどうかと聞かれ「ダイジョーブ」とまたニッコリ。オマリー打撃コーチ補佐も「イタイ、ナイネ。ダイジョーブ。フツカ(2日)コウシエンネ」と明言しました。

そのまま今度はご覧のように指の形を変えてニッコリ。
そのまま今度はご覧のように指の形を変えてニッコリ。

掛布監督は「2、3日しか見ていないけど、フィールディングの動きもいいし、ちゃんと投げられるし、バッティングも意外に下半身がレベルに使えて、いけるんじゃないの?腕の使い方が柔かいので、いろんな球に対応できる。下半身がへんにぶれない。新聞では…ねえ(笑)。でも思ったより守れるし、動けるし、投げられるし。2日に1軍の監督やコーチが見たら、安心するんじゃない?投げる、捕るの部分では」と話しています。

帰り際、へイグ選手はタクシーに乗り込みながら「マタアシタ」と言って、一瞬ののち「アシタ、ノー!」と訂正。翌日は休みだと気づいたんでしょう。それとも、もしかしてノリツッコミ?とにかくコミュニケーションを取ることにとても前向きな選手です。カメラを構えて「OK?」と聞いたら「Yeah!」と答えて、2ポーズも取ってくれました。せっかくなので2枚とも載せておきます。

教育リーグも田面が先陣

ファームの春季教育リーグは3日のオリックス戦(神戸サブ)から始まります。その初戦は、掛布監督によれば「田面が先発」だそうです。昨年12月に台湾でのウインターリーグを視察した際、掛布監督は安芸キャンプ最初の実戦は田面投手に先発させると宣言。以降も顔を見るたびに「2.11」と声をかけ、田面投手も「最近は2.11としか言われていないような気がします」と苦笑いしていました。

安芸キャンプ最後の練習試合(2月22日、高知戦)でも無失点だった田面投手。
安芸キャンプ最後の練習試合(2月22日、高知戦)でも無失点だった田面投手。

2月11日の練習試合・ハンファ戦でしっかりと3イニングを無失点で投げ終え、キャンプ最後の実戦だった高知ファイティングドッグス戦は最後に投げて1イニング無失点と、監督の期待に応えています。ここまで無四球なんですよね。そして教育リーグ初戦も、やはり田面投手に決めた…いや、決めていた?掛布監督。この時期は1軍投手陣の調整もあって予定通りいかないとは思いますが、3日はもう決まりでしょうか。

田面投手は「やってきたことをしっかり出せるように頑張ります」とのこと。“2.11”に続く初戦の先発起用は嬉しい?「もちろん、はい。嬉しいです!それと同じような気持ちで臨みます」。今度は教育リーグといってもNPBのチームで、時期的に1軍クラスの選手も出てくると思われ、レベルは一段アップ。ここでも結果を出せば次は…と期待がふくらみますね。なんといっても安芸キャンプの監督制定『頑張ったで賞』の1人ですから。

守屋は1軍練習に! 青柳は先発で?

同じく『頑張ったで賞』の1人、2年目の守屋投手はきのうの夕方、荷物を持って車へ。もしかして?「はい。2日は甲子園に行きます。練習だけですよ」。そうなんですね。ただし3日の教育リーグ・オリックス戦で中継ぎ登板する見込みで、そのまま1軍に帯同して福岡へ行くのではないもようです。とはいえ、以降の甲子園で続くオープン戦で投げる可能性は大。昨年は途中で沖縄キャンプに昇格したもののオープン戦登板がなかったので、ことしはそこをまずクリアしましょう。

写真は昨年12月のイベント(尼崎)で、サインに応じる笑顔の守屋投手です。
写真は昨年12月のイベント(尼崎)で、サインに応じる笑顔の守屋投手です。

ちなみに掛布監督の『頑張ったで賞』について、本人は監督から聞いていないとか。そういえば我々も、打ち上げ2日前の取材中に突然出てきたため、最終的なMVPという形で確認はしていませんけど「板山、原口、ピッチャーは守屋、青柳、田面」と名前が挙がったのは確かです。「でも、高橋(投手)コーチから言ってもらいました」と少し照れながら教えてくれた守屋投手。そうだったんですね。それは励みになっているはず。新しい守屋功輝を1軍でしっかり見せてきてください!

そしてもう1人、『頑張ったで賞』のルーキー・青柳投手。キャンプ中から久保投手コーチが「先発で」と言っていたのですが、本人は「そうなんですか?初めて知りました(笑)」とのこと。安芸キャンプでは「試合に投げてヒットを打たれていないし失点もなかったので、少なからず自信にはなりました。逆に、制球が定まらずボールが多かった。3イニングで3四球…」という収穫と課題です。「練習の中では人より劣っている部分があることもわかりましたし、改善点がいろいろ見つかったので、いいキャンプだったと思います」

2月29日の鳴尾浜で取材に応じる青柳投手。「先発で?初めて知りました(笑)」
2月29日の鳴尾浜で取材に応じる青柳投手。「先発で?初めて知りました(笑)」

先発と言われたら、そこで結果を出したいと話す青柳投手は「先発で使ってもらえるのなら、先発で1軍に上がりたいです。必要とされれば、いつでもいける準備はできています」と続けました。声がかかるのを待つのみですね。なお安芸キャンプの初実戦登板(14日のJR四国戦)で、マウンドの踏み込み部分の窪みが合わず体勢を崩したのですが、28日の鳴尾浜でもコケかけたとか。「またやっちゃいました」と苦笑。鳴尾浜で投げるのは初めてだったからでしょう。やっぱり先発がいいですね、きっと。

藤井さんが打ち上げ、福井へ

鳴尾浜最終日、オトコマエの笑顔を振りまく藤井さん。
鳴尾浜最終日、オトコマエの笑顔を振りまく藤井さん。
安芸キャンプでキャッチャーの特守中にフライを打つも「ああ!」と。…失敗でした。
安芸キャンプでキャッチャーの特守中にフライを打つも「ああ!」と。…失敗でした。

この日でファームの練習参加が最後だった藤井彰人さんは、みんなと握手をして引き揚げました。昨年で現役を引退したあともタイガースに残ってフロント入り。今季はルートインBCリーグの福井ミラクルエレファンツのバッテリーコーチとして派遣されることになっています。シーズン開幕は4月ですが、3月10日から9月15日までの契約(プレーオフ進出の場合は延長あり)だそうで、今月8日か9日には福井へ引っ越すとのこと。ただし「ちょっと前にも積もったらしいので、雪の関係で」多少は流動的のようです。

選手ではない立場で過ごした1ヶ月を振り返り「今までもキャンプをやっていて話はしていたんですけど、今回はより深く、例えばピッチャー同士の雑談を聞きながら、こんなことをやったり考えたりしてるんやとわかったこともあります。新鮮でしたね。ピッチャーの、特に若い子が多いし」と藤井さん。福井ではバッテリーコーチと言う肩書ではあるけど、野手全般を見るようで「楽しみです」と言っていました。

1ヵ月間ありがとうございました!福井での“コーチ修行”、頑張ってください。
1ヵ月間ありがとうございました!福井での“コーチ修行”、頑張ってください。

阪神タイガースOBの吉竹春樹さんが監督を務める福井球団とは、昨春に業務提携をして田面投手とトラヴィス投手が3ヶ月ずつ派遣されました。それに沖縄の宜野座キャンプでは1ヶ月間、前に記事でも紹介した福井の藤野剛志投手が打撃投手として参加していたのです。最終日もゴメス選手らに投げているところが写っていて、昨夜「1ヶ月間すごく勉強になりました!」とメッセージも頂戴しました。また「藤井さんに早くお会いしたいです」と。藤井さんも藤野投手が宜野座へ行っていたことは知っていましたよ。半年間、しっかり吸収してください。

高校を卒業する “もっちー”

ブルペンに入って「よろしくお願いします!」とキャッチャーに挨拶。
ブルペンに入って「よろしくお願いします!」とキャッチャーに挨拶。

3月といえば卒業シーズンですね。きょう1日は望月投手が横浜創志館高校の卒業式。昨夜に実家へ帰って、今夜にはもう寮へ戻ってくるそうです。友だちとゆっくり話はできないかな?「もう2ヶ月くらい会ってないです」。そうか~、確かに。そして「卒業式の練習も出てないから、ぶっつけ本番」と笑う18歳。まあ高校の場合は予行演習なしでも大丈夫でしょう。

安芸キャンプ打ち上げの際にも話してくれた望月投手ですが、改めて語ってもらいました。「最初は別メニューだったんですけど、初めてキャンプっていうのをやって、高校時代こんなに長く泊り込んだ経験もなかったから、一日中野球ができる環境で1ヶ月間練習できた。その中でピッチングフォームとか教わって、すごく身になりました。結構キャンプの間にフォームもしっくりきています。あとサインプレーなども。内容の濃い1ヶ月間でした」

既に投内連係にも入っており、28日はブルペンでピッチング、きのう29日はネットスローとキャッチボールをこなしていますが、変化球はまだ投げていません。あとは打者に向かって投げること。そしてゲームへ。楽しみがいっぱい詰まった春ですね。ところで『もっちー』という呼び名は誰が?「最初は高山さんや板山さん、それから横山さんとか色んな人に。そのあと久保コーチ、鶴岡さんにも」。あっちゃんは?と聞いたら黙って首を振りました。嫌みたいです。

練習を終えて、とびっきりの笑顔。望月投手です。
練習を終えて、とびっきりの笑顔。望月投手です。

寮の中では部屋を行き来しますか?「横山さんの部屋によく入っていきます。向かいなんで。お互いに入ったり入ってきたり。キャンプで別メニューの時間が多かったから話しやすいですね」。そうですか。え、入っていく?ノックはするでしょう?「いえ、たまにいきなり入ってきたり」…そうなの。でも用事があるから行くんでしょう?「自分は聞きたいことがあっていく時もあるんですけど」。横山投手は用がなくても来るんですね、いきなり(笑)。お母さん、先輩方にとても可愛がられていますので、ご安心ください。

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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