なぜバルサはギュンドアンを“確保”できたのか?ガビ、ペドリ、デ・ヨングとの共存と新たな中盤への期待。
ビッグプレーヤーが、スペインに到着する。
バルセロナは今夏、中盤の補強を必要としていた。関心を寄せていたのは、マンチェスター・シティでプレーするイルカイ・ギュンドアンだ。
ギュンドアンは今季終了時にシティとの契約が満了を迎える。シティで3冠を達成した後、新たな挑戦を考えていたところ、バルセロナからオファーが届いた。2年契約+1年の延長オプション、推定年俸900万ユーロ(約13億円)で合意に達したといわれている。
「マーケットに対して、うまくレスポンスできている。そこまでは把握できている。ワールドクラスで、トップレベルの選手がバルサ移籍を優先してくれている」とはジョアン・ラポルタ会長の弁だ。
「我々の(2022−23シーズンの)目標はタイトル奪取だった。その一方で、ソーシャルメディア上で4億4000万人のフォロワーを抱えるバルサのブランドというのを高めていくベストの道を模索してきた。バルサは多くの場所で、異なる意味合いで象徴的な存在になっている」
■獲得の背景にあるもの
ギュンドアンの獲得を決定的としているバルセロナだが、彼を欲していたのはシャビ・エルナンデス監督だった。
バルセロナはギュンドアンを確保するため、シャビ監督が幾度となく本人に“直電”をかけた。そして最終的には、ゼネラルディレクターのマテウ・アレマニーがミュンヘンに赴き、ギュンドアンにドイツでメディカルチェックを受けさせて、最後の交渉をまとめた。
バルセロナがギュンドアンに触手を伸ばしたのは、中盤を強化するためだ。
ギュンドアンはボルシア・ドルトムント(2011年−2016年)、シティ(2016年−現在)とビッグクラブでプレーしてきた。とりわけ、シティに移籍してジョゼップ・グアルディオラ監督の指導を受けるようになり、プレーの幅を広げ、進化の一途を辿っていった。
ギュンドアンはシティで複数ポジションをこなせるようになった。右インサイドハーフ、左インサイドハーフ、アンカー。グアルディオラ監督の要求に応じるように、ポリバレントな選手になった。加えて、2列目からの飛び出し、得点力に磨きをかけ、シティに在籍した7年間では304試合に出場して60得点40アシストを記録している。
■ガビやペドリらとの共存
バルセロナには、ガビ、ペドリ・ゴンサレス、フレンキー・デ・ヨングと才能豊かなMFが揃っている。そこにギュンドアンが加われば、戦力アップは間違いない。
シャビ監督は、22−23シーズン、セントロカンピスモ(中盤主義)へと原点回帰した。ガビを偽WGに配置して、ペドリ、デ・ヨング、セルヒオ・ブスケッツと並べて「4人の中盤」を完成させた。このフィロソフィーを継続させるべく、ギュンドアンを欲したのか。あるいは、新たなプランを用意しているのか。興味は尽きない。
「僕はそれほどニュースを読むタイプではない。だけど、友人や知人からいろいろ情報が届く。(ギュンドアンの加入に関して)クオリティの高い選手がバルサに来るなら、いつだって歓迎だ」
「バルサはラ・リーガで優勝した。僕はそれに満足している。リーグ戦のタイトルを獲得したというのは、素晴らしいシーズンだったことの証だ。フラストレーションを感じたとすれば、欧州の舞台での出来だ。僕たちはもっとできたと思う」
これはペドリの言葉だ。
今季のバルセロナはラ・リーガで優勝を飾ったが、チャンピオンズリーグでグループ敗退に終わり、ヨーロッパリーグでは決勝トーナメント進出をかけたプレーオフで敗れている。
欧州の舞台――。そこでの躍進を目指して、ギュンドアンの確保に動いたのは明らかだろう。もちろん、ラ・リーガの連覇も懸かっている。ギュンドアンの存在が、それを後押しする力になると期待されている。