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「目標は3階級制覇。アジア、日本進出も視野に入っている」 元アマ王者マイケル・コンランがプロデヴュー

杉浦大介スポーツライター

Photo Cred: Ed Mulholland / TR

3月17日 ニューヨーク マディソンスクウェア・ガーデン・シアター

スーパーバンタム級6回戦(124パウンド契約ウェイト)

元アマ世界王者

マイケル・コンラン(アイルランド/25歳/プロデヴュー戦)

ティム・イバラ(アメリカ/26歳/4勝(1KO)4敗)

マイケル・”ミック”・コンラン

Michael "Mick" Conlan

2012年ロンドン五輪フライ級銅メダリスト、2015年アマ世界選手権バンタム級金メダリスト。昨年のリオ五輪ではバンタム級準々決勝でロシア選手に敗れ、判定への不服からリング上でジャッジに中指を立てるパフォーマンスで一躍有名になった。

その後、プロ入りを表明し、トップランクと契約。米西海岸に渡り、世界王者オスカル・バルデス(メキシコ)、ジェシー・マグダレノ(アメリカ)のトレーナーを務めるマヌエル・ロブレスの指導を受ける。

セント・パトリック・デイ(アイリッシュの祝祭日)の3月17日、マディソン・スクウェア・ガーデン・シアターでプロデヴューが決定。世界の注目を集めるゲンナディ・ゴロフキン(カザフスタン)対ダニー・ジェイコブス(アメリカ)戦の前日のメインイベントという大舞台だ。

無名に戻るために渡米

ーーリオ五輪では悔しい想いを味わったので、もしかしたら4年後の東京五輪を目指すのかなとも思いました。最終的にプロ入りを決意した理由は?

MC:いずれにしても最後はプロ入りするつもりでいました。AIBA(国際ボクシング協会)の物事への対処法方を見せられて、その決断がより容易なものになったのは確かです。もうアマチュアに未練はありませんでした。東京にも行ってみたかったですけどね。美しい街だと聴いているし、いつか必ず訪れてみたい場所です。それでも4年後には多くのアイリッシュファイターが東京で活躍してくれるでしょう。僕の代わりに金メダルを勝ち取って欲しいです。

ーープロ入りにあたり、あなたは家族でカリフォルニアに拠点を移しました。理由として、「誰にも知られない立場に戻りたかった」と話している記事を読みました。

MC:母国アイルランドでは僕は注目される選手になることができました。しかし、アメリカでは一般的にはまだ知られていません。母国で騒がれることはとても嬉しいですが、ボクシングに集中するのが難しくなってしまう。スケジュールを作るのも簡単ではありません。プロ入りするにあたって、新しい場所でやっていくのが僕にとってベストだと考えたんです。

ーー今後、どのくらいのペースで試合を行っていきたいですか?

MC:今年の3月から来年の3月までに6試合くらいはこなす予定です。最初の2年間はなるべく多くのファイトを行って経験を積みたい。その後はまた考えることになると思います。

ーープロではスーパーバンタム級で戦っていく予定ですが、日本には軽量級のビッグマーケットがあります。いずれアジア進出も考えていますか?

MC:まずはアメリカとアイルランドが主戦場になりますが、アジア、オーストラリアなども視野には入っています。マニー・パッキャオ(フィリピン)がそうなったように、ボブは僕をワールドワイドなスーパースターに育てたいと思ってくれている。僕はいつでも、どこでも戦うつもりだし、それを楽しみにしています。

会見前に筆者を含むNYの記者のインタヴューを受ける Photo By 杉浦大介
会見前に筆者を含むNYの記者のインタヴューを受ける Photo By 杉浦大介

日本の“モンスター”には注目してきた

ーー同級の日本人選手を誰か知っていますか?WBC王座を獲得後に引退表明した長谷川穂積、元バンタム級王者の亀田和毅、小国以載といった選手たちが活躍してきましたが。 

MC:亀田は僕のInstagramをフォローしてくれているので、僕もフォローしています(笑)。彼がジェイミー・マクドネル(イギリス)と対戦したファイトも見ましたよ。だから亀田ブラザーズに関する知識はあります。それからジョナタン・グズマン(ドミニカ共和国)に勝ってタイトルを獲った選手のことは聴きました。

ーー年末にIBF新王者になった小国ですね。 

MC:その試合はまだ見ていませんが、良い選手なのでしょうね。日本の軽量級ボクシングが素晴らしい歴史を誇ってきたことはもちろん知っています。そして日本の“モンスター”には僕も注目してきました。

ーースーパーフライ級の井上尚弥ですね。彼もいずれ昇級して、あなたと絡む日が来るかもしれません。 

MC:そう、井上です。僕の兄のジェイミー(18戦全勝11KO)は井上と同じ階級で戦っています。WBOのランキングでも上位に入っているので、井上が昇級しなかったとしたら、まずは兄が挑戦できることを願っています。

ーー現在のスーパーバンタム級ではギジェルモ・リゴンドー(キューバ)という王者が頂点にいます。同じくアマチュアで実績を残した一人として、彼の印象は?

MC:現在のリゴンドーはまだ無敵に近いですが、しかし彼の時代の終わりは近づいているようにも感じます。年齢を重ねていますからね。年をとると、どんな選手にも付け入る隙が出てくる。僕はまだこれからですが、いずれリゴンドーにも勝てるようにキャリアを積み重ねていきたいです。僕に準備ができたとき、彼がまだ同じ階級で戦っていたら、そこでは改めて話し合うことになるでしょう。

ーーアマチュアで多くのことを成し遂げた後で、プロでの目標は? 

MC:プロでは3階級制覇を果たしたい。スーパーバンタム、フェザー、スーパーフェザー級を制するのが目標です。今後に経験を積み重ねていけば、自分には可能だと考えています。そのためには、キャリアに集中することが必要。献身的に練習に取り組み、自分の力を最大限に発揮しなければなりません。

スポーツライター

東京都出身。高校球児からアマボクサーを経て、フリーランスのスポーツライターに転身。現在はニューヨーク在住で、MLB、NBA、ボクシングを中心に精力的に取材活動を行う。『日本経済新聞』『スポーツニッポン』『スポーツナビ』『スポルティーバ』『Number』『スポーツ・コミュニケーションズ』『スラッガー』『ダンクシュート』『ボクシングマガジン』等の多数の媒体に記事、コラムを寄稿している

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