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NY金8日:ドル高、原油急落で大幅続落

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

COMEX金6月限 前日比7.50ドル安

始値 1,208.70ドル

高値 1,212.50ドル

安値 1,200.30ドル

終値 1,203.10ドル

ドル高、原油相場の急落を受けて、続落した。

アジアタイムは1,210ドルの節目を挟んで揉み合う展開になったが、欧米タイムに一気に値位置を切り下げ、概ね3日の米雇用統計発表前の価格水準に回帰している。特に何か大きな材料があった訳ではないが、ドル相場の押し目買い基調が継続する中、ドル高連動で改めて下値切り下げを打診する展開になった。また、原油相場が急反落したことも、戻り売りを誘った模様。引け後には米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録(3月17~18日開催分)の発表を控えていたが、1,200ドルの節目割れを打診する展開になっている。

3月米雇用統計が市場予測を大きく下回ったことがドル相場の急落を招いていたが、その後は改めてドルの底固さが確認されるステージを迎えていることが、金相場の上値を圧迫している。米利上げ着手時期には強い不透明感が漂っているが、いずれにしても利上げ着手の時期が近づいていることには変化がなく、継続的にドル相場を押し下げるような動きは見られない。米長期金利の低迷が続く中、金相場のダウントレンドは緩やかなペースに留まるが、ネガティブな雇用統計でも反発力が限定されたことから、地合の悪さが再確認できる。

こうした中で迎えたのがFOMC議事録だったが、こちらも利上げ時期の特定を進めるような内容にはならなかった。「幾人かの参加者は、経済データや見通しが6月会合での利上げを正当化する可能性が高い」と指摘する一方、「他の参加者は利上げは年後半にすべきと主張した」と報告されている。更に「2人が政策引き締めが適切となる経済情勢は2016年まで訪れない公算が大きい」との見方を示すなど、利上げ時期について当局者の見解が完全に分かれていることが確認できる。これは金利見通しに大きな修正を迫るような内容とは評価できず、同議事録発表後の金相場は1,200ドルの節目水準での小動きに終始している。

FOMC議事録を受けての反発が回避された以上、今後も米指標や金融当局者の発言などを確認しつつ、緩やかなペースで下値切り下げを打診する展開を想定している。金上場投資信託(ETF)市場からは、雇用統計発表後も資金流出が続いていることも確認しておきたい。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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