現在の生活に満足している人は49.0%
49.0%の人が「今の生活に満足」
日常生活への満足度は周辺環境や経済上の貧富の度合い、社会的な満たされ度合いなど多様な要素によって左右される。人々は現在の生活にどれほど満足しているのだろうか。内閣府が2024年3月に発表した定点観測調査「国民生活に関する世論調査」(※)の結果から確認する。
次に示すのは「あなたは、全体として、現在の生活にどの程度満足していますか。この中から1つお答えください」と回答者自身の生活への満足感を尋ね、選択肢として「満足している」「まあ満足している」「やや不満だ」「不満だ」を提示。そのうち前者「満足している」「まあ満足している」を満足派として合算し、その値を満足度として示したグラフ。全体では49.0%が満足派との結果となった。
回答者の居住地域の都市規模別では東京都区部と中都市がやや高めだが、それ以外は傾向だった差異は無し。東京都区部や中都市に住む人は生活への満足度が、他地域の人よりもいくぶんながらも高いことになる。それだけ生活環境がよいのだろうか。都道府県別などの動向も知りたいところだが、今調査の公開値では確認できなかった。
ともあれ、49.0%の人は現状の生活には満足しているとの認識を持っている。
これを男女別・年齢階層別で見ると次の通り。
男女別では女性の方が満足派が多い。また年齢階層別では18~29歳が一番高く6割近くを示すが、30~60代では15%ポイント程度そこから下がり45.0%前後となる。70歳以上でやや高い値が出ているが、悠々自適に暮らしている人が多いのだろうか。
昔はどのような状況だったのか
全体値としての満足派の動向を精査した結果が次のグラフ。なお2021年以降は新型コロナウイルス感染症への対策のため、過去の調査と比べると調査方法や設問様式に違いがあることから、イレギュラーな傾向が出てしまっている。経年の傾向分析の上では注意が必要となる。
数年のずれが生じている期間もあるが、おおよそ景況感に似た動きをしているのが興味深い。バブル崩壊直前までつけていた高値は、その後するすると落ちていき、ITバブルでも下げ止まらない。デフレ感が強い心理的影響を与えていたことがうかがえる。その後、いざなみ景気期間はやや持ち直しを見せるが、金融危機、さらにはリーマンショックで大きく落ち込む。それ以降は震災時も値を上げるが、バブル期の最高値を目前にして足踏み、そしてその後の数年で大きく伸びた次第である。
なお一部に2016年分調査から調査対象をこれまでの20歳以上から18歳以上に下げたために、2016年分以降が大きく伸びたのではとの指摘もあるが、はじめての18歳以上対象とした2016年分の値が70.1%(20歳以上に限れば69.8%)だったため、その指摘は当てはまらない。
一方で2021年以降の大幅な減少は、上記説明の通り調査方法や設問様式に違いがあるのが主要因。しかし2021年だけでなく2022年以降も引き続き前年比で減少を継続していることから、単純にスタイルの変更だけではなく、新型コロナウイルス感染症の影響により多様な面で生活が厳しくなり、満足と思う人が減った可能性は否定できない。世界規模の疫病が人々の生活を(心境的・認識として)厳しいものとしたとする結果は、容易に理解できるものではある。
■関連記事:
【年金、景気、就職…どの国も等しく抱く不安、若年層の現在や将来への思い】
【多くの先進諸国では「今の景気では将来の見通しを明るくするまでにはまだ足りない」と考えている】
※国民生活に関する世論調査
直近分は2023年11月9日から12月17日にかけて、全国18歳以上の日本国籍を持つ人の中から層化2段階無作為抽出法で5000人を選んだ上で、郵送法によって行われたもので、有効回答数は3076人。回答者の男女比は1440人対1636人、年齢階層別構成比は18-29歳298人・30代352人・40代489人・50代584人・60代579人・70歳以上774人。
(注)本文中のグラフや図表は特記事項のない限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。
(注)本文中の写真は特記事項のない限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。
(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。
(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロではないプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。
(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。
(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。
(注)「(大)震災」は特記や詳細表記のない限り、東日本大震災を意味します。
(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。