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子育てとは『同じことを何万回も言い続ける生活』

親野智可等教育評論家
(写真:アフロ)

親はよく子どもに「同じことを何回言わせるの」「何でできないの」などと叱ります。でも、その同じ人が「ダイエットするぞ」「片づけするぞ」「スマホの見すぎをやめるぞ」など、自分自身には何回も同じことを言っています。

それでもできないのが人間というものですね。「何でできないの」への答はいろいろありえますが、究極的には「人間だから」ではないでしょうか。そして、子どもの場合は「子どもだから」だと思います。

気持ちはあっても、なかなか自分を変えられないのが人間というものです。大人でもそうですから、まして子どもにおいては尚更です。

つまり、人生とは自分に同じことを何万回も言い続ける過程です。同様に、子育てとは子どもに同じことを何万回も言い続ける生活です。誰がやっても必ずそうなります。子育てとはもともとそういうものなので、諦めて何万回でも同じことを言ってあげようと腹をくくりましょう。

何回でも同じことを言ってあげよう

いま毎日同じ時に同じことで叱っているなら、「毎日同じ時に同じことを言ってあげる」と決意しましょう。「そんなことをしていると自立できないのでは?」と考える必要はありません。親子関係と自己肯定感を大切にしていれば、やがてちゃんと自立します。

そして、大事なのはどうせ言うなら明るく楽しくポジティブな言い方で言ってあげたほうがいいということです。

そうすれば、子どもは言われる度に親の愛情を感じることができます。そして、お母さんお父さんのことがますます大好きになって、親子関係がよくなります。そうすると、気持ちが安定してがんばるエネルギーもわいてきます。

それが無理ならせめてシンプルな言葉で促すようにしましょう。ポイントは「○○しなきゃダメ」など否定的に責める要素を入れないことです。

責められた途端に心の窓が閉じる

大人でもそうですが、自分が責められていると感じた瞬間にイヤな気持ちになります。心の窓が閉じて素直に受け入れる気がなくなります。頭ではそれが正しいとわかっても、気持ちがついていかないのです。

日頃から否定的に責められることが多いと、子どもは言われる度にイヤな気持ちになります。そして、「自分はダメな子だ」と感じて自己肯定感が下がります。また、「こんなダメな自分は大切にされてない」と感じて親の愛情を疑うようにもなります。

責める要素が入っていないシンプルな言葉とは、例えば「さあ、○○しよう」「はい、○○して~」「○○するよ。用意ドン」「一緒に○○しよう」「1問だけやってみよう」「半分だけやっておこう」などです。

最後にまとめです。そもそも、子育てとは子どもに同じことを何万回も言う生活です。どうせ言うなら、明るく楽しくポジティブな言葉、それが無理ならせめてシンプルな言葉で言いましょう。否定的に責めるのは弊害しかありません。

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教育評論家

教育評論家。本名、杉山桂一。長年の教師経験をもとに、子育て、しつけ、親子関係、勉強法、学力向上、家庭教育について具体的に提案。『子育て365日』『反抗期まるごと解決BOOk』などベストセラー多数。人気マンガ「ドラゴン桜」の指南役としても著名。Instagram、Threads、Twitter、YouTube、Blog、メルマガなどで発信中。全国各地の小・中・高等学校、幼稚園・保育園のPTA、市町村の教育講演会、先生や保育士の研修会でも大人気となっている。オンライン講演も可。お問い合わせは親野智可等の公式サイトから

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