サムスン首位奪還、アップル好調、華為トップ5陥落
米調査会社のガートナーが先ごろ公表したリポートによると、2021年1〜3月の世界スマートフォン販売台数は3億7799万台で、1年前から26%増と、2桁成長した。経済回復への期待や在宅の継続、20年からの繰延需要などが販売を押し上げた。
米消費者信頼感指数が大幅上昇するなど、消費者は景気や労働市場について楽観を強めており、支出も増えている。ただし昨年1〜3月期の販売台数は新型コロナの影響で前年同期比約20%減の約3億台。ガートナーが統計を取り始めて以来最大の落ち込みだった。今年1〜3月期の台数を一昨年と比べると横ばいにとどまっている。
サムスン、18.4%増の7661万台で首位奪還
21年1〜3月のメーカー別販売台数の上位5社は、1.「韓国サムスン電子」、2.「米アップル」、3.「中国・小米(シャオミ)」、4.「中国vivo(ビボ)」、5.「中国OPPO(オッポ)」の順。
中国・華為技術(ファーウェイ)は、米政府による半導体などの禁輸措置が響き、トップ5から姿を消した。また、前の四半期に首位に浮上したアップルは順位を1つ落とし、サムスンが首位に返り咲いた。
サムスンの販売台数は前年同期比18.4%増の7661万台。150米ドル(約1万6500円)以下などの低・中価格帯製品の市場投入が寄与したほか、高速通信規格「5G」対応の旗艦モデルも好調だった。
アップル、iPhone好調で1〜3月の過去最高更新
アップルの販売台数は5855万台。同13.6%増と、2桁伸びた。20年10月以降に発売した5G対応の「iPhone 12」シリーズが引き続き好調だ。
アップルは先ごろ発表した四半期決算で、売上高が前年同期比54%増の895億8400万ドル(約9兆8600億円)となり、1〜3月期の過去最高を更新したと明らかにした。iPhoneの売上高は同66%増の479億3800万ドル(約5兆2800億円)で、全売上高の5割超を占めた。
好調なiPhoneがけん引し、前四半期に続きすべての製品部門で2桁の増収を達成。世界の全地域で2桁増収となった。
5G対応、世界スマホ販売の35%へ
アップルが好調だった要因は5G対応だとガートナーは分析している。5Gは今年1年を通して同社業績の主要な成長要因になるとしている。
また、21年1〜3月期のスマートフォン販売で3〜5位だった小米、vivo、OPPOもそれぞれ前年同期比9.9%増、同7.4%増、同8.0%増と伸びた。これら中国3社も5Gの恩恵を受けている。
ガートナーは21年の世界スマートフォン販売台数が前年比11.4%増の15億台になると予測している。20年は新型コロナの影響で同10.5%減少したが、今年は回復が見込めるという。21年における5G対応スマートフォンの販売台数は5億3900万台で、全販売台数の35%を占めるとみている。
一方で、この市場は上位メーカーへの集約が進んでいる。21年1〜3月期におけるサムスン、アップル、シャオミ、OPPO、vivoのシェアの合計は69.1%。前年同期の57.4%から拡大した。
- (このコラムは「JBpress」2021年6月9日号に掲載された記事を基にその後の最新情報を加えて再編集したものです)