Yahoo!ニュース

フランス代表戦の実感、「元リーダー」の立ち位置。日本代表・堀江翔太が語る。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
よく「詳細を詰めたい」と発言。必要なスキルや動きを緻密に積み上げたい。(写真:ロイター/アフロ)

 ラグビー日本代表は現地時間11月25日、敵地ナンテールのUアリーナでW杯準優勝3回のフランス代表と対戦。23-23で引き分けた。

 4年に1度のワールドカップ日本大会を2年後に控えるなか、対戦戦績が9戦全敗だった欧州の強豪とドロー。もっともキャプテン経験のある堀江翔太は、「悔しい」と口にした。

 31歳の堀江はスクラム最前列中央に入るフッカーでプレー。激しさと器用さを兼備する。

 この日はフル出場を果たしていた。試合後はジャージィのまま共同取材に応じ、試合中のいくつかのシーンを振り返って所感を明かしていた。

 以下、共同取材時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

――今日のような試合を勝ち切るには何が必要ですか。

「ひとつひとつの(プレーの)精度だったり、駆け引きも必要。たらればを言い出したらきりがないので、スキルを上げていくしかない。映像を見て、『個々のスキルをもっと…』と。トップリーグに入っても全員がスキルを上げていければ」

――「精度」と言えば、終盤のラインアウト(タッチライン際での空中戦)でボール確保に苦しんでいました。投入役の堀江選手はどうご覧になりますか。

「特にゴール前では向こうの駆け引き、ディフェンスが上手でしたね。僕らには高さがない分、もう少し、そういうこと(相手に競られない動作や準備)が必要。言い出したらきりがないですけど、そこら辺のミスは自分たちでなくしていく。たらればで終わる(悔しさをあらわにするだけという意味か)んじゃなしに、『もうちょっと引き出しを増やそう』という風にしていければいいかと思います」

――逆に、この秋に感じた進化は。

「アタックのストラクチャーは新しいものが入って、毎試合、毎試合よくなっていった。その辺の理解度は、上がっているのかなと思います。これは、日本人特有かと思います。いきなり違うストラクチャーが入ってきたところで、しっかりと学んで…。(それぞれの)相手に対してどうやるかとか、ハーフタイムにサインを変えるとか、そうした順応性も僕らの色かなと思います」

 ジェイミー・ジョセフヘッドコーチ体制は2季目となり、トニー・ブラウンアタックコーチは攻撃システムにマイナーチェンジを加える。

 堀江の務めるフッカー、さらにはフォワード第3列の柱となるナンバーエイトの選手が攻防の境界線へ何度も駆け込むようになり、その裏側で待つ選手が好ランで魅する機会も増えた。

 そんななか堀江は、勤勉さや学びへの貪欲さといった日本代表の強みを再認識したようだ。

――ワールドカップ本番まで。

「個々でバラバラとするよりは、スタッフが掲げたものを、どれだけ信じて、理解するか(が大事)。プラスアルファ、自分たちでどう肉付けするか…となる。まずはストラクチャーを頭に入れ、信頼して皆で動いたなか、今日は、それと違うところの動きでトライを取れたりもした。ただやるだけではなく、僕らがどうしたいかを見続けていけば。

 僕がリーダーから外れた分、峻(布巻峻介)、日野ちゃん(剛志)だったりと、若い奴らが声を出している。チームビルディング、ノンメンバーの動きをどうしていくか…。こういうところで影の選手たちが動いたことで、いいチームになっていったと思っている。僕はそこに関わらず、ただただラグビーをしていて、その分、若いリーダー陣にストレスが行っているけど、彼らがいいチームを作っていけるのかなと思います」

 ワールドカップには2大会連続で出場中。国際リーグのスーパーラグビーでも2013、14年にオーストラリアのレベルズの、16年以降は日本のサンウルブズの一員としてプレーしている。

 現日本代表ではずっと参加していたリーダー陣の集合体から外れたことで、チーム戦術を遂行する高質なピースとしてのあり方を磨いている様子だ。12月に再開の国内トップリーグでも、パナソニックの主軸としてのパフォーマンスが期待される。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

すぐ人に話したくなるラグビー余話

税込550円/月初月無料投稿頻度:週1回程度(不定期)

有力選手やコーチのエピソードから、知る人ぞ知るあの人のインタビューまで。「ラグビーが好きでよかった」と思える話を伝えます。仕事や学業に置き換えられる話もある、かもしれません。もちろん、いわゆる「書くべきこと」からも逃げません。

※すでに購入済みの方はログインしてください。

※ご購入や初月無料の適用には条件がございます。購入についての注意事項を必ずお読みいただき、同意の上ご購入ください。欧州経済領域(EEA)およびイギリスから購入や閲覧ができませんのでご注意ください。

向風見也の最近の記事