【中学受験】入試前日の過ごし方と最終確認チェックリスト
いよいよ首都圏の中学入試が目前に迫ってきた。今回は直前期に多い質問と前日の準備について、30年間中学受験に関わってきた筆者の経験をもとにまとめてみたい。当たり前のことが大半だが、チェックリストとして活用してほしい。
前日は勉強した方がいいのか?
基本的には本人のメンタルによるが、特に問題がないのならばできることをやった方がいい。大前提として、小学生は心身共に日々成長している。つまり、たとえ何もしていなくても、今が最も成長している状態だといえる。だから真剣であるならば、やればやっただけプラスになる。ただし、扱う内容は知識の確認・整理を中心にして、難問に取り組むことは避けた方がいい。「できない」という経験が、ただでさえ緊張している精神状態に拍車をかけてしまう恐れがある。がっつり過去問に取り組むよりは、4科受験なら理社の基本知識、2科受験なら国語の漢字や語句、算数の公式や解き方のパターン、思考力型なら時事やSDGsに焦点を絞って、淡々と忘れたことを確認することに時間を使いたい。基本的な知識問題も複雑な難問も、多くの学校でたいして配点は変わらない。
睡眠時間をしっかりとること
ただし、注意した方がいいのは睡眠時間をしっかりとることだ。筆者の経験上、寝過ぎての失敗はあまり聞いたことがない。逆に前日寝られなくて集中できなかった・頭が回らなかったという話はよく聞く。ただでさえ午前受験は朝が早い。パフォーマンスを発揮するなら3時間前には起きていたいところだ。さらに午後受験もあるならばなおさら体力は必要になる。となると前日は時間を決めて、覚え込むのではなく、さらっと見直すくらいにしたほうがいい。もし仮に寝つけない場合は、開き直って起きてしまわずに、目を閉じて横になっているだけでも体力を温存できる。
前日に確認しておきたい準備
自覚しているかどうかは個人差があるが、緊張していない受験生はいない。だからこそ、なるべく平常心を心がける。いつもより朝食を多めに、など変わったことはしない方がいい。体調こそ、いつも通りにセットする必要がある。
・持ち物は自分で管理する
親が付き添う場合でも、持ち物は自分で管理させること。どこに何が入っているかなど、本人が必要な情報を持っていないと、想定外が起こった時に混乱してしまう。すべて自分で鞄に入れて、自分で持っていれば、万が一のことがあっても、入試に支障が出にくい。途中ではぐれてしまう可能性などもあらかじめ想定しておいた方がいい。
・使い慣れた筆記具を使う
細かいことだが、新しい筆記具を使うと、重心や使い心地が変わるので、使いこなすために脳が余計なリソースを割くことになる。ただでさえ寒い時期なうえに、緊張していると筆圧が強くなり、折れやすくなる。いつも通りに実力を発揮するためには、極力いつもの道具を使うことが望ましい。消しゴムなどは、落としがちなので複数個用意したい。
・温度調節しやすい服装で
試験会場によって、また座る位置によって、温度差がある。寒暖の感覚には個人差もあるので、誰にとっても快適な環境にすることは難しい。その場で自分で調整できるように、着席した状態でも脱ぎ着しやすい重ね着を用意したい。その際、ジャンパーなど生地がこすれると音を立てるようなものは避けるようにする。
・受験票はコピーをとる
受験票は必ずコピーを持っておくこと。コピーがあると思うだけでも安心感がある。ただし、午前午後で2校受ける場合や、複数回受験をする場合、受験票がどれだか分かるようにしておくこと。またコピーは別の場所に入れておくようにすること。スマホで撮影して画像を保管しておくのもよいが、寒いと充電切れになりやすいなどのリスクがあるのであくまで二次的な保険にすること。
・体調管理とマスクの用意
試験中に具合が悪くなった場合は、保健室受験などで対応してくれる学校もある。どのように対応してもらえるのかは事前に学校に問い合わせれば確認できる。「具合が悪くなっても対応してもらえる」と知っておくだけでも安心感が増すので、体調を崩しやすい受験生は確認しておくとよい。また、自分の体調に問題がなくても、周囲の受験生の様子が気になる場合もある。特に神経質でない受験生も、本番では気になることもある。実際、周囲の受験生が咳をしていて集中できなかった、というような声は毎年耳にする。マスクがあるだけでも多少は落ち着くかもしれない。
・待ち合わせはしない
友だちと待ち合わせすると、もしどちらかが遅れたり来なかったりした場合、余計なプレッシャーや不安を感じることになる。また、相手の精神状態からの影響もあるのでできる限り避けたほうがよい。
以上、挙げていくとキリがないので、誰にもあてはまるとりわけ重要な項目のみをリストアップした。準備をしなければ、と思いすぎるとそれもプレッシャーになる。また、保護者の緊張も伝わってしまう。最低限の準備をサポートすることで、よけいな心配を減らし、入試に集中して欲しい。すべての受験経験が、受験生と保護者双方の成長の糧になるよう祈念する。