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『来世ちゃん2』にセフレ5人の役で主演する内田理央 「特殊な役が多くても共感する部分は必ずあります」

斉藤貴志芸能ライター/編集者
ヘア&メイク/Midori スタイリング/ゴトウカナエ (C)テレビ東京

内田理央が性依存症系女子の役で主演するドラマ『来世ではちゃんとします2』。恋愛と性をこじらせたイマドキ男女の赤裸々ラブエロコメディを謳っているが、昨年1月から放送されたシーズン1では20~30代の女性視聴者の支持が圧倒的で、間を置かず続編の制作となった。モデルやグラビアなど幅広く活動する内田は、女優としてはクセの強い役をたびたび演じている。その取り組みについて聞いた。

シリアスでも下品でもなくおバカっぽく(笑)

Netflixのランキングで4位に入り、プロデューサーがテレビ東京で社長賞をもらった『来世ではちゃんとします』のシーズン2。小さなCG制作会社の社員・大森桃江(内田)は承認欲求と好奇心と寂しさの狭間で、5人のセフレと関係を持っている。「セックスは金のかからない趣味」と割り切っているが、セフレの1人のAくんには本気で恋をしている。

――『来世ちゃん2』では、1話の婚活のシーンから、驚いたり嘆いたりのヘン顔的な表情もより面白くなりました。

内田 ノリでやっています(笑)。なるべく大きく、コミカルにするのを心掛けていて。『来世ちゃん』ではナレーションでの心の声が多くて、それはあとから全部録るので、現場では雰囲気に乗って楽しんでいます。

――ナレーションで心掛けることもありますか?

内田 映像を観ながら合わせるのでなく、時間があるとき、声だけパパッと録るんですけど、ちょっとおバカっぽくしています(笑)。あまりシリアスにも、下品なエロにもならないように、ポップな感じで。

――桃江の本命のAくんはSM好きで、変わった性癖のプレーをしますが、そういうシーンもノリで?

内田 現場では和気あいあいと、みんなでアイデアを出し合っています。シーズン2の1話ではジャングルジムに縛られて、体勢が辛すぎて腰をやられました(笑)。短いシーンでしたけど、3~4時間かけて丁寧に撮っていたので、腰が痛くなって「限界が来ました!」と(笑)、縄を解いてもらってストレッチをしました。

(C)テレビ東京
(C)テレビ東京

エロいシーンがあっても『サザエさん』的な雰囲気で

――この『来世ちゃん』の性依存症系の桃江役は、最初どう考えてやることにしたんですか?

内田 オファーをいただいて原作の漫画を読んだら、すごく面白かったんですけど、自分でいいのか、最初はすごく悩みました。私はグラビアをやっていたこともあって、実写化したときに男性向けになって、原作の良さを出せるのか不安だったんです。でも、プロデューサーさんが「女性に響く作品にしたい」と言ってくれたので。女性が観ても嫌悪感を抱かれないように、エロいシチュエーションや台詞もポップに演じることを課題にしています。

――それは難しい課題でした?

内田 最初はすごく難しかったですね。たとえば4コマ漫画の「アーン」という台詞を、ドラマで本気で言うと生々しくなっちゃうので、「アーレー」みたいにしたり。全体的に過激な内容ではありますけど、ホッコリさせたいんですね。ここで名前を出すのも申し訳ないですが、『サザエさん』や『ちびまる子ちゃん』のような雰囲気を出したくて(笑)。ホッコリエロラブコメディというか、独自の作品になりました。

――シーズン2で桃江が成長したと思うところもありますか?

内田 来世ではちゃんとしようと思っているので、現世ではあまり成長してないかな(笑)。ダメなところはダメなまま、こじらせたところはこじらせたまま。ただ、シーズン2ではセフレのEくんとつき合ったり、会社の同僚の松田くんとセフレのAくんと三角関係になったり、恋愛のドキドキや切なさは増えました。

(C)「来世ではちゃんとします2」製作委員会
(C)「来世ではちゃんとします2」製作委員会

過激に見えても心の痛みはわかります

――松田とのオフィスラブは、いいと思いました?

内田 憧れます。同じ会社やクラスに好きな人がいて、ドキドキするのはいいですね。

――学校ではそういう経験があったり?

内田 私はあまり恋愛の思い出がなくて。人をたくさん好きになれるタイプでなくて、それで悩んでいたので、梅ちゃんに近いです。

――桃江は「どうでもいい人の本命になるより、好きな人に遊ばれたほうが全然いい」と言ってました。

内田 私は桃ちゃんと恋愛観は全然違っていて。でも、セフレが5人いる主人公というのは過激に聞こえて、観てくれる方も同じ恋愛観は持ってないとしても、切なさや寂しさ、心の痛みというところで共感していただけているのかなと思います。一番幸せになりたいのに、人のほしいものばかり与えて、自分は幸せになれないもどかしさとか、わかるところもたくさんありました。

面白い役をもらうとワクワクします

――今回に限らず、内田さんは挑戦的な役を演じることが多いですよね。攻めの姿勢を大事にしているんですか?

内田 いろいろな役をやりたい想いはあります。面白い役をオファーしていただくことが多いので、それは自分でもいいなと思っていて、全力で取り組んでいます。

――「面白そう」というのが引き受けるポイント?

内田 特殊な役柄をいただくのは私の個性なのか、運なのかと思いながら(笑)、毎回ワクワクして現場に入っています。

――いろいろなジャンルの仕事をやっていますが、もともと女優志向だったんですか?

内田 最初はそれはなかったです。舞台をやらせていただくうちに、少しずつお芝居が楽しいと思うようになって、『仮面ライダードライブ』のオーディションに受かってから、本格的に取り組みました。

――自分でドラマや映画を観てはいたんですか?

内田 この業界に入る前は、アニメのほうが全然観ていました。だから、『来世ちゃん』もそうですけど、マンガやアニメ原作のものは、人一倍の原作愛を持ってやるのがポリシーです。今は勉強のために、映画も観るようにしていて。最近だと、今さらですけど『万引き家族』がすごく面白かったです。

(C)テレビ東京
(C)テレビ東京

役作りは念入りに歩き方をダサくして(笑)

――内田さんは役作りは念入りにするそうですね。

内田 他の方がどれくらいやっているのかわかりませんけど、念入りにはしていると思います。『来世ちゃん』では、私の中の桃ちゃんの設定が、ちょっと抜けていて、パーソナルスペースがガバガバ。やさしい雰囲気で嫌味がなくて、男の人が近寄りやすいけど、あざといブリッコには見えないようにしたくて。その境界線が難しかったので、繊細に作っていきました。シーズン2を撮ることになったときは、シーズン1を何度も観返して、声のトーンやしゃべりの柔らかさや速度を思い出しました。1と違う人に見えたらいけないので。

――それだけ桃江のキャラクターは固めていたんですね。

内田 原作通りの台詞が台本にあって、声や動きはそこから想像して出すので、マンガでは描かれてないものをどう表現するかは、すごく考えました。

――動きに関して考えたことも?

内田 歩き方をちょっとダサくしました(笑)。キレのある動きでなく、ひょこひょこと抜けた感じで動くようにして。自分が運動オンチで、普段はそこが出ないようにしていますけど、今回は素の動きを入れました。

(C)「来世ではちゃんとします2」製作委員会
(C)「来世ではちゃんとします2」製作委員会

ヒロインの敵の悪い役は楽しいです(笑)

――桃江はハマリ役だと思いますが、これまで演じてきた中では、難しかった役もありました?

内田 毎回役作りには悩むことが多いですけど、少し前の『レンアイ漫画家』での、サイコパスみたいなイヤな感じの恋敵の女性は、今までで一番役作りに苦労しました。相手のことを考えずに自分の気持ちだけを通す台詞が多かったので、どうやって相手の言うことを聞かないようにするか。毎回悩んでいましたね。

――そうなんですか? 内田さんはああいう引っかき回す役は得意なのかと思ってました。

内田 確かに、引っかき回す役は多いです。ヒロインの敵の小悪魔的な役は、どうやったら悪く見えるかは難しいんですけど、すごく楽しいです(笑)。

――ラジオの『明日、なに着よ?』で、ゲストのぺえさんに「男にモテる顔。ひがまれる女」と言われてましたが、そういう意味でも恋敵役はハマるんですかね?

内田 顔が派手なので、中身も派手な人と思われることは、すごく多いです。小さい頃からずっとそうで、本当の自分を知ってほしいとは思いますけど、仲良い人がわかってくれたらいいと、割り切れるようになりました。

――中身はむしろ桃江に近いとか?

内田 私もすごく寂しがり屋ではあります。いつも誰かといたい。コロナの世の中になる前は、ずっと親友と一緒にいる生活でした。でも、寂しがり屋だけど、1人でいるのがすごく好きでもあるんです(笑)。人と生活できないと思うくらい、自分の時間を大切にしていて。想像すれば、桃ちゃんの孤独や誰かがいなくなる寂しさはわかりますけど、経験がある気持ちはあまりないかもしれません。

――1人で過ごすのも楽しいと。

内田 そうですね。お風呂場に自分のシャンプーたちをいっぱい並べたりするのが楽しいです(笑)。歯ブラシも4本、歯みがき粉も3個置いて、その日の歯の気分によって変えています(笑)。

(C)テレビ東京
(C)テレビ東京

プライベートでも何にでもトライしてます

――『来世ちゃん』シリーズに主演したことは、大きな糧になりました?

内田 自分にとってチャレンジの作品で、それを評価してもらって、たくさんの方に観ていただいてシーズン2に繋がったのは、今後自信を持ってお芝居をする糧になりました。私の代表作になったと思います。

――演技にも自信が付いて?

内田 自分の肩書きを女優だと、まだ自信を持って言えません。本当に少しずつ、自信が付いているかなと。

――『来世ちゃん』以前にも、多くの作品で主演やヒロインを演じてきましたが。

内田 いろいろなお仕事をやっている分、まだ「女優をしています」とは、なかなか自分から言い辛くて。でも、今回のことは本当に自信に繋がりました。

――出演作が相次いでいる中で、自分の女優としての強みだと思うことはありますか?

内田 いろいろな役にトライできるところかな。自分と重ならない役でも、探せば共感する部分がちゃんとあるので。私自身が生きてきた人生の引き出しがお芝居に繋がるところが、女優のお仕事の一番の魅力だと思っています。

――人生の引き出しを増やす努力もしているんですか?

内田 プライベートでも気になったことは調べて知識を増やしたり、何でも好奇心旺盛にトライするようにしています。私は自分の苦手なものをすごく調べるクセがあって。閉所恐怖症で水に潜るのも苦手なんですけど、潜水艦は逆に好きです(笑)。

――潜水艦のことは以前から話されてますが、最新で興味を引かれてることというと?

内田 最近はTikTokerさんにハマっています。誰というわけでなく、若い方たちがかわいくて(笑)、ずっと見てます。キラキラしていて、青春だなって。

――自分もTikTokをやろうとは?

内田 思いません。10歳若かったらやってますけど、何か親みたいな目線で見ちゃいます(笑)。

(C)テレビ東京
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主役が前を向いて走ればついてきてくれると

――これまで女優をしてきて、誰かに言われて支えになっているような言葉はありますか?

内田 『来世ちゃん』で主演をさせていただくことになって、私は性格的に誰かを支える役回りのほうが好きなので、最初はプレッシャーもあって「どうしたらいいんだろう?」と思っていたんです。それで『おっさんずラブ』のときの先輩たちに相談したら、「主役は誰よりも台本をたくさん読み込んで、前を向いて走っていけば、みんなが自然に後ろからついてきてくれる」と言われて。それはすごく心に残って、これからも大切にしていきたいと思っています。

――ちなみに、『来世ちゃん2』は水曜深夜0時40分にリアタイで観ているんですか?

内田 ちゃんと観てます。自分が出てないお話もあって、みんながどんな感じでやっているのかまったく知らなかったので、イチ視聴者として楽しんでいます。

――そのくらいの時間帯は何をしていることが多いですか?

内田 いつも寝るのは3時から4時なので、全然起きています。お風呂から出て、テレビを観たり、携帯で何かしたり、1人でお酒を飲んだり、リラックスタイムですね。

――『おっさんずラブ』の頃は「ゲームをやりすぎて腱鞘炎になった」という話がありましたが(笑)、さすがに最近はそこまではしていませんか?

内田 そういえば、腱鞘炎になってから、ゲームはお休みしています(笑)。

――『来世ちゃん2』がクライマックスに入る中で、この秋はどう過ごしますか?

内田 いつも秋は食欲に任せてますけど(笑)、今年は運動の秋にしたいと思っています。腹筋だったり背筋だったり、健康的なダイエットで体を改善したいです。

――運動する必要性を感じるんですか?

内田 ここ1年で3回ぎっくり腰になったので(笑)。たぶん筋力が足りないから、そこは気をつけたいと思います。

(C)テレビ東京
(C)テレビ東京

Profile

内田理央(うちだ・りお)

1991年9月27日生まれ、東京都出身。

スカウトから2010年にデビュー。2015年より『MORE』でモデル。2014年に『仮面ライダードライブ』で本格女優デビュー。主な出演作はドラマ『おっさんずラブ』、『向かいのバズる家族』、『明治開化 新十郎探偵帖』、映画『リカ 自称28歳の純愛モンスター』、舞台『物語なき、この世界。』など。『来世ではちゃんとします2』(テレビ東京系)に出演中。ラジオ『内田理央の明日、なに着よ?』(TOKYO FM)でパーソナリティ。

ドラマParavi『来世ではちゃんとします2』

テレビ東京系/水曜24:40~

公式HP

(C)「来世ではちゃんとします2」製作委員会
(C)「来世ではちゃんとします2」製作委員会

芸能ライター/編集者

埼玉県朝霞市出身。オリコンで雑誌『weekly oricon』、『月刊De-view』編集部などを経てフリーライター&編集者に。女優、アイドル、声優のインタビューや評論をエンタメサイトや雑誌で執筆中。監修本に『アイドル冬の時代 今こそ振り返るその光と影』『女性声優アーティストディスクガイド』(シンコーミュージック刊)など。取材・執筆の『井上喜久子17才です「おいおい!」』、『勝平大百科 50キャラで見る僕の声優史』、『90歳現役声優 元気をつくる「声」の話』(イマジカインフォス刊)が発売中。

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