『Qrosの女』謎のCM美女役でデビュー。リアルにオーラを放つ20歳の意外な経歴と抜擢の裏側
桐谷健太が演じる週刊誌記者がゴシップの真実に迫る『Qrosの女 スクープという名の狂気』。CMで謎の美女として話題になり、正体を暴こうとスクープ合戦が繰り広げられる役を務めるのは、今作がデビューの新人・黎架(れいか)。謎の美女は芸能プロダクションのスタッフで、タレントのCM撮影に同行したところ、現場でデザイナーの目に止まり急きょ出演したことが明かされた。ドラマとシンクロしてリアルで注目が高まる彼女に、抜擢に至る経緯から意外な素顔まで語ってもらった。
SNSに載った写真からスカウトされて
――現在20歳で、高2のときにスカウトされたそうですね。
黎架 SNSに載っていた私の写真を事務所の社長が見つけて、わざわざ新潟まで会いに来てくれました。
――地元では有名な美少女だったんでしょうね。
黎架 四姉妹で全員170cmを超えていて、珍しがられてはいました。私は末っ子です。
――どんな高校生活を送っていたんですか?
黎架 3年間ひたすら空手をやっていました。4歳から始めて、高校は推薦で空手部に入って。進級できるくらいの勉強をした以外は何も目をくれず、すべてを空手に注ぎました。
――4歳でどういう流れで始めたんですか?
黎架 姉の影響です。最初はすごくやりたかったわけではなかったんですけど、小学校高学年から姉が全国大会に行くのを見て、力を入れるようになりました。
――黎架さんも全国大会に?
黎架 県大会で優勝して、高校では団体でインターハイに出場しました。
――いわゆるJKっぽいことはしてませんでした? 放課後に友だちと遊ぶとか。
黎架 あまりなかったです。ずっと部活三昧の日々でした。田舎だったので遊ぶ場所も少なくて、東京の高校生に憧れていました。
体育の先生になりたかったんです
――新潟だと冬には雪が積もったりも?
黎架 2mとか積もります。雪かきのお手伝いもしましたし、道が凍るのでスケートみたいに遊んだりもしました(笑)。
――プロフィールでは好きな食べ物が白子ポン酢、お寿司、抹茶となっています。和食派ですか?
黎架 海鮮料理が大好きなんです。新潟で海のほうに行くと、食べる機会も多くて。白子ポン酢は自分で作っていて、お寿司ではサーモンやウニの軍艦巻きが好きです。
――スカウトされる前から、芸能界に興味はあったんですか?
黎架 映画やドラマを観るのは好きでしたけど、自分がやりたいとは思っていませんでした。空手をやっていたので、将来は体育の先生になりたかったんです。そう思っていた頃にスカウトされて、「役で体育の先生もできる」と言われて。だったら女優に挑戦してみようかと、社長が来てくれたその日に決めました。考え込むことはなかったです。
ホラーが好きで殺陣のレッスンも受けていて
――どんな映画やドラマを観ていたんですか?
黎架 ホラーが大好きです。ゾンビものだと『ウォーキング・デッド』とか、映画も海外ものが多くて。『死霊館』シリーズは全部観て、(スピンオフの)『アナベル』は大好き。ホラーは定番からそうでないものまで、いろいろ観ています。
――夜に夢に出てきたりはしません?
黎架 そういうことはないですけど、怖がって観てます。怖いのが楽しいというか(笑)、ハラハラして感情が大きく揺れるのが好きなんです。ゾンビが本当にいたら……と妄想も広がって。空手技で倒せるかな、とか(笑)。
――好きな女優さんもいますか?
黎架 天海祐希さんは『チア☆ダン』の熱い先生役で衝撃を受けました。カッコいい女優さんに憧れます。今、殺陣のレッスンを受けていて、運動神経を活かしたアクションもできるようになりたいです。
空手で鍛えられた精神が役立ってます
――高校を卒業して上京したそうですが、東京暮らしに戸惑いはありませんでした?
黎架 最初はビルの高さにビックリしました。新潟にはそんなに高いビルはなかったので、見上げる感覚が初めてで、街を歩くだけでも楽しかったです。
――お気に入りのスポットもできたり?
黎架 まだないです。あまり遊びに行かなくて、ずっと家にいるので。電車の乗り換えで時間があったら渋谷に寄ったりするくらいで、原宿にも行ったことがありません。
――演技レッスンも受けるようになって。
黎架 演技をした経験がなかったので、一緒に受けている先輩方を見て、小さいことから全部吸収しています。悩むことも多かったんですけど、続けているうちに変わりたい、成長したい気持ちがどんどん強くなりました。そういう面では、空手で精神を強く保つように鍛えられたことが、役立っていると思います。
オーディションに受かって泣きました
――『Qrosの女』のオーディションは、どんな心持ちで臨んだんですか?
黎架 それまで何度か受けてきたオーディションで学んだこともあって、自分を信じていきました。原作を読んで、この市瀬真澄役をどうしても勝ち獲りたくて。物怖じせず自分を隠さず、全力でやり切りました。でも、オーディションが終わってから、「もうちょっとできたかな」と思うところもありました。
――受かったことはどう聞きました?
黎架 事務所のスタッフさんとタレントの方が集まった会で、みんなの前で社長から急に名前を呼ばれて。何だろうと思ったら、受かったと発表されて泣いてしまいました。まさか受かると思ってなかったので、嬉しいというより信じられない驚きが強かったです。
――プロデューサーさんは「決め手は目力」とコメントされています。
黎架 友だちと写真を撮ると、笑っているのに笑ってないように見えたり、普通に相手を見ていると「怒ってる?」と聞かれたりします。それが目力と繋がっているのかなと思いますけど、実はボーッとしているときにそう見えるみたいです(笑)。
慣れてない感じと孤立を意識して
――初めての撮影はどのシーンだったんですか?
黎架 QrosのCMを撮るシーンです。緊張していたんですけど、それを出さないように必死になっていました。
――劇中では、CMに一瞬映るだけで謎の美女と話題になります。実際にそう見えるようなオーラを出さないといけないプレッシャーはありませんでした?
黎架 オーラはわかりませんけど、原作のイメージを崩さないように大事に演じました。あと、芸能人でない事務所のスタッフが現場でスカウトされてCMに出たので、慣れてない感じと馴染めないで1人でポツンとしている孤立感を意識していました。
――1話の冒頭から、そのCMが街頭ビジョンで流れていました。テレビに映る自分を初めて観て、どう感じましたか?
黎架 不思議な感覚でした。小さい頃からずっと観ていたテレビに、自分が映っていて。やっと出られた、レッスンを頑張ってきて良かった……という気持ちが一番大きかったです。イメージした通りの良いシーンになっていたと思います。
――ドラマ内のような反響は、身の周りでリアルにありました?
黎架 謎の女性役ということもあって、私はこの役が決まったことを家族や身近な人にしか言ってなかったんです。でも、市瀬真澄としてショートカットになったところで気づいてくれた友だちがいて、「出てるの?」と連絡が来ました。
自分のことより作品がどう思われているか
――CMシーンのロングヘアはエクステですか?
黎架 付け髪でした。外すといつものショートなります。
――普段はずっとショートで?
黎架 中学まではめちゃめちゃ長くて腰までありました。高校に入ったら、空手部の規則がショートだったので、そこからはずっと短いままです。エクステを付けた自分は懐かしい感じがしました。やっぱりロングはいいなと思いましたけど、ショートの写真のおかげで、この世界に入るきっかけができたので。
――あのQrosのCMのような白いカーディガンは着ますか?
黎架 普段はあまり白い服を選ぶことはなくて、ほとんど暗い色です。撮影で新しい自分を見つけられました。
――劇中のCM撮影中に「シンデレラ誕生の瞬間」と言われていました。黎架さん自身、このドラマでデビューして、シンデレラ気分は味わっていますか?
黎架 自分のことより、作品が世間の方にどう思われているのか。演じる側が見たものとまた違って見えると思うので、感想を聞きたくて。最近インスタを始めて、コメントをいただくのは嬉しいです。
表情ひとつで感情の変化を見せないと
――市瀬真澄は自分がQrosの女だと知られないように、人目をはばかるシーンが多いです。
黎架 気持ち的には共感するところが多かったんですけど、真澄は感情をあまり出さないから、表情ひとつで変化を付けないといけなくて。モニターをチェックしながら、変えていきました。
――共感したのはどんなところですか?
黎架 私も普段、思っていることを言葉で伝えるのは難しいと思っていて。伝えたくても伝えられなかったり、伝えても伝わってなかったり。そういうすれ違いはすごく感じていて、自分の悩みでもあります。
――自分の情報がウソも含めてネットにさらされて、「いつも誰かに監視されている気がする」という台詞もありました。そういう状況も想像しました?
黎架 経験はないですけど、今の世の中に実際にあることですよね。現場で演じてみて、恐怖は感じました。
レッスンではわからなかったことが新鮮
――他に特に印象に残っているシーンはありますか?
黎架 真澄が追われている幻想で、たくさんの手が周りから出てくるシーンは、本当に恐怖じみた世界にいるような、不思議な感覚になりました。
――7話で、ブラックジャーナリストの園田(哀川翔)の家でチンピラの襲撃を受けて、這い出して逃げたシーンはどうでした?
黎架 緊迫感を目だけで出さないといけないのは大変でした。そういう表現も役者の大事な演じ方なんだと、またひとつ勉強になって。レッスンではわからなかったことで、すごく新鮮で貴重な経験でした。
――カメラが回ると豹変する役者さんも多いと聞きます。
黎架 それはありました。桐谷さんも哀川さんも、撮影直前まで普通に笑顔で話されていたのに、急に表情が変わって迫力が出て。そのスイッチの入れ方はすごいな、プロだなと思いました。
悩みを見せずに明るくいるように
――黎架さんは空き時間はどう過ごしていたんですか?
黎架 私はあまり余裕がなかったので、撮影ギリギリまで台本を見たりしていました。でも、桐谷さんたちと「このシーンはこう演じるといいよね」とかお話もさせていただいて。私が読み込めてなかった部分もあったので、より演技を深めていけた感じがします。
――現場に入った時点から、真澄モードになっていたわけでもなくて?
黎架 真澄に近かったと思います。楽しくなって素の自分が出るところもありましたけど、それ以外は真澄で、普段の自分を100%見せることはできませんでした。
――普段の黎架さんと真澄はどう違います?
黎架 私はほとんど楽観的で、周りからもそう見られることが多いです。悩みがあっても、それを人に見せることが苦手で、そこは真澄に似てますね。でも、私は明るくいるように心掛けています。
――見た目のイメージと違うとも言われますか?
黎架 そう言われることは本当に多いです。さっき出た目のこともあって怖がられていたのが、話してみたら「そんなこともないね」と。たぶん1人でいるときのほうがテンションが高くて、最近はよく歌っています(笑)。
――どんな歌を?
黎架 aikoさんや羊文学さん、きのこ帝国さんとか。自分の歌い方に合っていて、歌詞も好きです。そういう曲を熱唱しているときは、皆さんに見せない黎架がいると思います(笑)。
ニューハーフの方の仕草を研究しました
――ドラマでは、ニューハーフ・キャバクラで働いていて、CMのQrosの女に似てると言われるミクも演じています。こちらはテンションの高い役ですね。
黎架 すごく苦戦しました。私はそこまでテンションが高いわけではないですし、キャバクラで接客して盛り上げる感覚がわからなくて。監督とお話しして、YouTubeでニューハーフ嬢の方の動画も観て、仕草や声のトーンを研究しました。
――どんな仕草を取り入れたんですか?
黎架 髪を耳に掛けたり、ボディタッチが多いところはやっていました。
――現場で最初は緊張していたとのことでしたが、ほぐれていったんですか?
黎架 皆さんに付いていきたくて、平静を装って「慣れてますよ」感を出していましたけど(笑)、全然追い付けませんでした。でも、皆さんとたくさんお話しできて、無事に撮影を終えられて良かったです。
アクションをカッコ良く見せたいです
――初めてドラマにレギュラー出演して、自分の中で一番大きかったことは何ですか?
黎架 いっぱいありますけど、現場ではひとつの作品をみんなで作り上げる熱量がすごくて。普通にテレビを観ていたときは想像しなかった裏側で、楽しそうにも見えました。口にはしませんでしたけど、心の中ではずっと興奮していた感じです。
――日常生活でも演技力を高めるために、心掛けるようになったことはありますか?
黎架 役をいただいて思ったのは、難しいことを演じるわけでなくて、いつも自分がやっているような場面が多くて。だから、普段から周りの方をよく見るようになりました。自分が無意識でやった動きも、「何で今こうしたんだろう?」とか考えています。
――好きなホラー映画に自分が出たいとも思いますか?
黎架 アクションがあるホラーだといいですね。『ウォーキング・デッド』でも女性剣士がいて、カッコ良さをバリバリ見せられる役にずっと憧れていました。空手をやっていたのも身長も武器にして、殺陣をやっていけたらいいなと思います。
Profile
黎架(れいか)
2004年4月2日生まれ、新潟県出身。ドラマ『Qrosの女 スクープという名の狂気』(テレ東系)でデビュー。
ドラマプレミア23『Qrosの女 スクープという名の狂気』
テレ東系・月曜23:06~