”バイデン勝利”文在寅大統領のリアクション ペコペコぶりを保守紙が指摘「朝鮮戦争終戦宣言はどこに?」
丁寧、丁寧、ひたすらに丁寧――。
米国大統領選の”バイデン勝利”を受け、韓国文在寅大統領側からの反応が出始めている。
文大統領はまず、8日にTwitterでバイデン氏、ハリス氏宛にお祝いのメッセージを贈った。
お祝いいたします。
我々の同盟関係は強力であり
韓米両国間の連帯は非常に強固です。
私は我々の共同の価値のために
おふたりと一緒に働いていくことを心待ちにしています。
おふたりと共に開いてゆく
両国関係の未来発展に
大きな期待をしています。ともに歩みましょう!
続いて9日に行われた韓国大統領府首席補佐官会議に参加。そこでの発言がメディアに伝えられた。
そこである単語の”連発”にツッコミが入った。”平和”だ。それを望むことは当然の話だが、国内保守系媒体によると文在寅大統領の現実感のなさが表れているというのだ。
会議中、6度その言葉を口にしたという。そのうちいくつかの内容を。
- 韓米同盟の強化と韓半島平和プロセス進展にいかなる空白も生まれないようにします。
- 韓国政府は(アメリカの)次期政府とともにここまで蓄積してきた成果と経験を基に、過去の教訓を活かしながら韓半島の非核化と平和定着により大きな進展を目指し、そのための知恵を集めていきます。
- 我々は韓半島の生命・安全の共同体をつくっていくとともに平和と繁栄の韓半島のために積極的に努力する準備ができています。韓米間の確固たる協力とともに南と北が韓半島問題の当事者としてより重要な役割をしていけるように望んでいます。
…安全に、慎重にいきましょう。そういった印象だ。
これを保守系大手紙「朝鮮日報」は「対米探索外交」と名付けた。この先はバイデン氏当選の祝電、直接電話、特使団派遣などが続くと分析している。
さらに同紙は「9月の国連での演説(映像による)で強調した『朝鮮半島終戦宣言』に言及しなかった」と指摘した。数ヶ月前の積極的な態度が変わったのだと。
文大統領は9月23日の国連ビデオ演説でこう発言していた。
「非核化のための処置を関連国と実行し、終戦宣言へと続いていくことを期待します」
- 演説時の様子
何も悪い話ではなさそうだが…
この時も国内保守系紙に噛みつかれた。「東亜日報」は「文大統領は夢見心地」とし、非核化プロセスの話をまずしっかりとすべきであり、それなしには「終戦」はないのだと。
またこの発言は、9月22日の「北朝鮮海上での韓国人射殺事件」の時期と重なり、批判を受けた。文大統領の国連演説の前日夜に射殺の事実が報告されていたにもかかわらず、この内容を演説に差し込まなかった。「平和」はさておき、北朝鮮への抗議を入れるべきだったのでは、という批判が起きたのだ。この点については後日、大統領側から「時間がなかった」との弁明がなされている。
つまりは文大統領は、トランプ時代の流れに乗り「終戦宣言」までしたが、バイデン時代に先立ち「ペコペコと様子見」に出ている。「態度をコロコロと変えているんじゃない?」という批判だ。あわせて「平和」を言うのなら、まずは北朝鮮を正せ、と。「非核化」をもっと強調すべきという意見だ。
ここ数ヶ月の国内の支持率調査では「支持・不支持」の割合が50%の線を行ったり来たりという状態の文在寅大統領。残りの任期は1年半(韓国では大統領の再選なし)というなか、就任当初から取り組んできた「南北関係の改善」は大きな評価ポイントだ。
様子の分からない「バイデン就任」で文大統領は「本人の政治的成果も大きく下がる危機感ありあり」と捉えられても致し方ないところか。
(了)
【参考までに】5日、米大統領選挙の開票まっただなかの時に大統領府(青瓦台)を通じて見解を発表。ここでも本人Twitterや上記の会議と近い内容が記されている。
大統領主宰の外交安保関係長官会議において、米国情勢について話し合った結果
1.政府は米韓外交当局間の疎通と合意を安定的に持続していきながら、強固な韓米同盟を基に韓米関係の発展と韓半島平和プロセス前進のための努力に空白が生まれないよう協力していく。これに関連して、米韓間の既存の外交日程を予定通り推進し、緊密な協力を維持していく。
2.政府は韓半島と国際情勢の変化を注視し、韓半島平和プロセスを粘り強く推進し南北関係の前身とともに平和を制度的に定着させることに引き続き集中していくこととする。
3.政府は我々の経済を安定的に管理していくために米国大統領選の結果のマクロ経済と通商産業などに及ぼす影響を多角的にチェックします。
2020年11月5日
青瓦台 代弁人 カン・ミンソク