年々早くなる桜の開花日 50年後の東京は3月15日頃に咲く?
今日(21日)、東京・靖国神社の桜(ソメイヨシノ)が開花しました。来週前半には満開となる見込みです。ありがたいことに、この先一週間は概ね穏やかで、気温が低めの日も多く、桜の花が長持ちしそうです。
早まる開花
ところで、過去50年の統計をとってみると、桜の開花時期が明らかに早まっていることが分かります。例えば東京都心では、1966年からの10年間の開花平均日は3月31日頃でしたが、2006年から2015年は、3月23日頃となり、50年間で約1週間も早くなっています。このペースで行くと、今から50年後にはさらに1週間開花が前倒しになって、東京では3月15日頃には咲きはじめ、4月には若葉が芽生えていることになります。
桜の開花と気温
桜の開花が早まっているのは、温暖化により、早春の頃の気温が高くなっていることが一因です。桜には「気温400度の法則」があって、2月1日からの日平均気温の合計が、およそ400時間に達すると開花すると言われており、一般的に2、3月が暖かいほど桜は早く咲く傾向にあるからです。
ソメイヨシノはクローンだった
300種以上ある桜の中で、日本で最も親しまれているソメイヨシノは、一斉に咲き始めるため、昔から生物気象観測に利用され、春の到来を知らせるよい指標となっています。
なぜソメイヨシノは一斉に咲くのでしょう。
ソメイヨシノの木は、種で自然に増やせないために、切った枝を土台の木に挿す「接ぎ木」等といった人工的な方法がとられています。
実は、日本にあるソメイヨシノの木の元をたどっていくと、ある一本の木にたどり着く可能性があり、千葉大学の中村教授の研究によると、その木は上野公園にあるのだといいます。ソメイヨシノは同じ遺伝子を持っているために、揃って咲くというわけです。
クローンの弊害
しかし、クローンであるがために、桜の枝が隣の桜まで延びてくると、自分の枝だと思い込んで、樹冠の中に入れてしまう性質があって、そうなると枝が重なりあって、日が当たらなくなり、枯れやすくなってしまうといいます。しかも、昔から「桜切るバカ、梅切らぬバカ」と言われるように、切り口から腐ることが多いために、なかなか簡単には育てることができません。
薄命だから美しい
栽培・維持が難しい桜ですが、やはり満開の桜の見事さを考えたら、苦労を呈しても植える価値がある木です。なぜここまで人を魅了するのか、古人はこうも歌っています。
「あしひきの/山桜花/日並べてかく/咲きたらばいたく/恋ひめやも(山部宿禰赤人)」(もしも桜の花が何日も咲いていたら、こんなに恋しいとは思わないだろうに…)
桜は、昔から散り際の潔さでも人を惹きつけるのでしょう。