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アザールは「新銀河系軍団」のエースになれるのか?ジダンとペレスの期待とは。

森田泰史スポーツライター
昨夏マドリーに移籍したアザール(写真:なかしまだいすけ/アフロ)

リーガエスパニョーラ制覇に向けて首位バルセロナを追走するレアル・マドリーだが、武器は揃っていると言えるかもしれない。

順位表でトップに立つバルセロナに勝ち点2差で2位に位置しているマドリー。今季序盤戦では苦戦を強いられ、リーガ第9節マジョルカ戦(0-1)で黒星を喫した折にはジネディーヌ・ジダン監督の解任の可能性が大きく取りざたされた。

しかし、マドリーはそこから立て直している。公式戦21試合無敗で、一時はリーガの首位に立ち、指揮官解任騒動は終息した。

■攻撃の軸

残された試合で攻撃の軸になるのはカリム・ベンゼマだろう。クリスティアーノ・ロナウドの在籍時、決定力が不足しているストライカーという不名誉なレッテルを貼られていた。しかしながら2018年夏にC・ロナウドがユヴェントスに移籍すると、本来の得点力を発揮。2018-19シーズン、公式戦30得点を記録して、2011-12シーズン(32得点)に次ぐ数字を残した。

2020年に突入してから得点ペースを落としているベンゼマだが、今季公式戦36試合19得点を記録しており、ジダン監督の信頼は厚い。そして、ベンゼマのパートナーとして期待されるのが負傷から復帰したエデン・アザールとマルコ・アセンシオである。

とりわけ、アザールへの期待値は高い。この夏、移籍金固定額1億ユーロ(約120億円)でチェルシーからマドリーに移籍。フロレンティーノ・ペレス会長にとっては、2014年夏のハメス・ロドリゲス(移籍金8000万ユーロ/ボーナス込み)以来となる「高額な買い物」になった。

■新たな銀河系軍団として

「僕はまだガラクティコ(銀河系)の選手ではない」

マドリーの入団会見で、アザールは謙虚に話していた。

そのアザールにとって、2019-20シーズンは奇妙な一年となっている。チェルシーでプレーした8シーズンで、アザールが欠場したのは21試合のみ。チェルシー在籍時、彼は負傷の少ない選手だったのだ。

一方、今季はすでに公式戦24試合を欠場している。「レアル・マドリーでのファーストシーズンは良くなかった。セカンドシーズンに僕の出来は判断される」とアザール自身が語るように、異国での適応に苦しんだ。

そして、今季のマドリーの得点力(リーガ49得点)は心許ない。首位バルセロナ(63得点)との差は明らかだ。また、最後にリーガを制した2016-17シーズン、マドリーは73得点を記録していた。

あの時は、「セカンドユニット」が機能した。アルバロ・モラタ、ハメス・ロドリゲスといった選手たちが躍動した。現在、終盤戦に向けてガレス・ベイル、ヴィニシウス・ジュニオール、ロドリゴ・ゴエス、ルーカス・バスケス、マリアーノ・ディアス、ルカ・ヨヴィッチ、ブラヒム・ディアスが虎視眈々と機会をうかがっている。

10選手が、3トップの枠を目指して挑む。攻撃陣の起用法はジダン監督を悩ませるだろう。

マドリーの失点率(27試合19失点)はリーガでトップだ。バルセロナ(31失点)、セビージャ(29失点)、レアル・ソシエダ(33失点)の上位陣はおろか、堅守を誇るアトレティコ(21失点)、ヘタフェ(25失点)を上回っている。

攻守のバランスを整えた時、3年ぶりのリーガ制覇が現実のものとなるのかも知れない。

スポーツライター

執筆業、通訳、解説。東京生まれ。スペイン在住歴10年。2007年に21歳で単身で渡西して、バルセロナを拠点に現地のフットボールを堪能。2011年から執筆業を開始すると同時に活動場所をスペイン北部に移す。2018年に完全帰国。日本有数のラ・リーガ分析と解説に定評。過去・現在の投稿媒体/出演メディアは『DAZN』『U-NEXT』『WOWOW』『J SPORTS』『エルゴラッソ』『Goal.com』『ワールドサッカーキング』『サッカー批評』『フットボリスタ』『J-WAVE』『Foot! MARTES』等。2020年ラ・リーガのセミナー司会。

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