HSPはうつ病になりやすい?「セルフチェック」と発症したときの対処法
こんにちは、精神科医しょうです。
HSPは「感受性が強く、繊細で敏感な気質を持っている人」を表す言葉です。
病気ではなく気質であり、光や大きな音、においに敏感だったり、共感力が高くて涙もろいという特徴があります。
今回は、HSPとうつ病の違い、うつ病のセルフチェック、HSPがうつ病になりやすいと考えられる理由、HSPがうつ病を発症してしまったときの対処法について紹介します。
HSPとうつ病の違い
HSPは「生まれながらに持っている繊細な気質」で、うつ病は病気という明確な違いがあります。
HSPは先天的な気質や性格の傾向などを表しているのに対し、うつ病は人間関係や環境の変化などのストレスにより後天的に引き起こされます。
HSPの気質が要因の一つとしてうつ病などの心の病気を引き起こしてしまうケースがあります。
「HSPだから必ずうつ病になる」というわけではありませんが、繊細な気質がきっかけとして症状が現れる可能性があることを心に留めておきましょう。
うつ病のセルフチェック
うつ病になると、気分の落ち込みや食欲減退、集中力の低下などの症状が現れます。
以下のような症状が複数当てはまる場合、うつ病の可能性があります。
・食欲がない、何も食べたくないと感じる
・物事に集中できない
・頭がぼんやりして重要な決断ができなくなった
・何をしても気分が晴れない日が続いている
・何をするにも面倒だと感じる
・将来を考えることができない
・なかなか眠れない、寝付くまで時間がかかる
・急に泣き出すことがある
・身体がだるい、疲れやすい
・音楽を聴いたり好きなことをしても楽しさを感じない
・死や自殺について考えることがある
・以前にも似たような症状を感じたことがある
上記のような状態が長期的に続いている場合は、なるべく早めに専門の医療機関に相談しましょう。
HSPがうつ病になりやすい理由
恐怖や不安を感じやすい
HSPは感受性が強く刺激に敏感なため、他の人よりも恐怖や不安を感じやすいと考えられています。
たとえばちょっとした物音に驚いてドキドキしたり、人前で発言するときに過剰に緊張してしまうこともあります。
些細なことに動揺して不安になってしまうので、HSPの気質をきっかけにうつ病や不安障害を発症する可能性があります。
他人の意見や反応を気にしてしまう
HSPは他人の意見や顔色を気にしてしまう傾向があり、争いごとを避けるために自分の意見に蓋をして相手に合わせようとします。
また、些細な物事に対しても気にしてしまうので、「何か言ってしまったかな」「嫌われてしまったかもしれない」と一人で落ち込んでしまうこともあります。
感受性が強いため、機嫌の悪い人が近くにいると緊張やストレスで体調を崩してしまうこともあります。
このようにHSPは人間関係においてストレスや疲労を溜めやすく、うつ病になりやすい可能性があるので注意が必要です。
自信をなくしやすい
HSPは真面目で頑張り屋な人が多いのですが、疲れやすい気質によって「何で他の人のようにできないんだろう」「何ですぐに疲れてしまうんだろう」という風に考えてしまい、気を病んでしまうことがあります。
「他の人は仕事もプライベートも活動的なのに、自分はすぐ疲れて動けなくなってしまう…」という悩みを抱えているHSPの人も多いのではないでしょうか。
このように人と同じようにできないストレスや疲労の積み重ねから、自信を失くしてしまうことがあります。
HSPがうつ病を発症してしまったら
カウンセリングを受ける
「うつ病かもしれない」と思ったときは、精神科や心療内科、メンタルクリニックなど専門の医療機関に相談しましょう。
カウンセリングではカウンセラーと患者が対話をしながら、心の状態や本人が置かれている環境などを理解して、問題の解決を図るようにサポートしていきます。
カウンセリングのほかに「心理療法」がありますが、こちらは認知行動療法や精神分析的心理療法などさまざまな心理療法を行いながら通常の生活を送れるようにアプローチしていきます。
まずはカウンセリングを受けて、どのような治療方法が望ましいのか相談すると良いでしょう。
薬物療法
うつ病の治療において大切なことは、十分な休養をとって安静にすることです。
そして、薬物療法も大切な治療の一つなんです。
治療に用いられる薬は、抗うつ薬や抗不安薬、睡眠導入薬などがあり、症状に合わせて処方されます。
気分が良くなったからと言って勝手に薬を飲むのをやめると、症状が再発することがあるので、医師の指示を受けながら決められた量を飲むようにしましょう。
まとめ
HSPは周囲からの刺激を敏感に感じ取りやすく、疲れやストレスが溜まりやすい傾向があります。
些細な一言を気にしてなかなか気持ちを切り替えられなかったり、他の人と同じようにできずに落ち込んでしまったり、繊細な一面を持っているのでうつ病などの心の病気になってしまう人もいます。
過剰なストレスによって心身がおかしいと感じた場合は、一人で悩まずに心療内科や精神科を受診しましょう。
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