主な新興国経済ニュース(3月19日)
【ロシア‐3月19日】対中油・ガス供給拡大、習国家主席の訪ソ時の正式調印困難か
ロシア政府は、3月末の中国の習近平国家主席の訪ソ時に、中国向け石油・天然ガスの輸出拡大で正式に調印したい意向を示しているが、天然ガスの輸出当事者である国営天然ガス大手ガスプロムと中国側との協議は、中国側が値引きを要求しているため難航しており、習近平主席の訪ソ時に調印することは困難な情勢となっている。モスクワ・タイムズ(電子版)が18日に伝えた。
関係筋によると、中国側は1立方メートル当たり250ドルを要求しているものの、ガスプロムは300ドルを主張してまだかなりの開きがあるという。ガスプロムの広報担当者は、「契約条件での合意を目指しているが、全く調印の準備はしていない」と述べている。また、アレクサンドル・ノワク ・エネルギー相は先週末、記者団に対し、石油・ガスの対中輸出の拡大案を策定中としたものの、正式調印の見通しについてはノーコメントとしている。
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【ロシア‐3月19日】政府、キプロス救済で3千億円超の融資返済期限延長の見通し
ロシア政府は、14‐15日のEU(欧州連合)サミットで、債務危機にあるキプロスに最大100億ユーロ(約1.2兆円)の金融支援を行うことで合意したのを受けて、対キプロス支援策として2016年に返済期限が来るキプロスへの期間5年の25億ユーロ(約3050億円)の返済期限を延長する方向で準備しているもようだ。モスクワ・タイムズ(電子版)が18日に外国通信社の報道を引用して伝えた。
これはEUの行政執行機関であるEC(欧州委員会)のオッリ・レーン副委員長(経済・通貨担当)が明らかにしたもの。また、キプロスは政治的にも経済的にもロシアとの関係が深く、キプロスのミハリス・サリス財務相は18日にモスクワを訪問し、キプロス救済問題についてロシア政府と協議することになっている。
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【インドネシア‐3月19日】繊維卸売の豊島、インドネシア繊維大手トゥリスラの株式を取得
繊維・アパレル卸売の豊島は、インドネシアでの繊維事業を拡大するため、インドネシア繊維大手トゥリスラ・インターナショナルの株式取得を進めており、先週14日までの持ち株比率が5%に達したことが明らかになった。ジャカルタ・グローブ(電子版)が15日に伝えた。
豊島のインドネシア法人、TYSMインドネシアの上田康弘社長は、トゥリスラの株式を徐々に買い占めてきたことを認めたが、投資額や取得時期については明らかにしていない。他方、トゥリスラは、豊島が14日までに同社の浮動株3億株の5%相当まで取得していることを明らかにした。トゥリスラは昨年7月に新規株式公開しており、株価も公開価格の1株当たり300ルピアから14日には45%高の435ルピアとなっている。この終値で計算すると、5%の株式価値は65億ルピア(約6300万円)となる。
また、上田社長は今回の5%の株式取得は第1段階で、来年には持ち株比率を10%に引き上げるとしている。トゥリスラは2007年以降、TYSMインドネシを通じて豊島に繊維製品を販売している。
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【インドネシア‐3月19日】中銀の次期副総裁:今後2年間は金利変更ない
インドネシア中銀の次期副総裁に就任する予定のペリー・ワルジョ調査・金融政策局長は先週末、ジャカルタの中銀本部で記者団に対し、今後の金融政策の見通しについて、2月のCPI(消費者物価指数)が年率5.3%上昇と、20年ぶりの高水準にまで急伸したものの、インフレ率は来年までの今後2年間、中銀の物価目標(4.5%プラスマイナス1%)の範囲内にとどまると予想されるとし、政策金利である翌日物BI金利が現在の5.75%から変更される可能性はほとんどないとの認識を示した。ジャカルタ・ポスト(電子版)が16日伝えた。
同氏は「インフレ率は来年には4.6%上昇に低下する」とした上で、「政策金利を変更する理由は見当たらない」としている。
これより先、中銀は7日の理事会で、政策金利を据え置いたが、声明文で、金利据え置きの理由について、「2月の消費者物価指数は総合指数が前年比5.31%上昇となったが、コア指数(値動きが激しいエネルギーや食品を除く)は4.29%上昇と抑制されている」とした上で、「中銀は依然として、2013-2014年のインフレ率は中銀の物価目標のレンジ内に抑制されると予想している」と述べ、当面、インフレリスクがないとしている。
また、景気リスクについても、「今年1-3月期GDP(国内総生産)伸び率は強い内需に支えられて前年比6.2%増になると予想されている」とし、「2013年全体の成長率は2014年の総選挙の準備関連の支出拡大の効果もあり、6.3-6.8%増のレンジの下限になると予想している」と指摘、景気リスクもないとしている。
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【ベトナム‐3月19日】自工会:2月新車販売台数、前月比53%減の4325台
ベトナム自動車工業会(VAMA)がこのほど発表した2月の新車販売台数(乗用車とトラック、バス)は前月比53%減の4325台と、ほぼ半減した。これは1月の販売台数がテト(旧正月)休暇(2月9‐17日)前の駆け込み需要で急増した反動減と見られている。ベトナム通信(電子版)が16日に伝えた。
ただ、VAMAのローラン・シャルパンティエ会長は1‐2月の販売台数は前年比1%減にとどまっているとし、悲観的な見方は避けている。VAMAでは今年の新車販売台数は前年比8%増の約10万台になると予想している。
2月の新車販売台数の主な内訳は、乗用車が1620台、トラックは2633台などとなっている。また、メーカー別ではトヨタ自動車<7203.T>が1337台となり、引き続きトップの座を維持した。
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【ブラジル‐3月19日】中銀週報:2013年末時点の政策金利見通し、8.25%に引き上げ
ブラジル中央銀行が18日に発表した先週の経済週報「フォーカス・ブルティン」によると、同中銀の委託を受けた民間アナリストが予想した同国の2013年末時点の政策金利(翌日物金利誘導目標)の見通しは、前週予想の8%から8.25%に引き上げられた。引き上げは2週連続。また、2014年末時点の政策金利は前週予想の8.25%から8.5%に引き上げられた。予想変更は12週ぶり。
また、2013年実質GDP(国内総生産)伸び率見通しは従来(前週)予想の前年比3.1%増から3.03%増へ下方修正された。1カ月前の見通し予想は3.08%増だった。2014年のGDP伸び率見通しは従来予想の前年比3. 5%増のまま据え置かれた。1カ月前の見通し予想は3.65%増だった。
一方、IPCA(拡大消費者物価指数)で見たインフレ見通しは、2013年は前週予想の前年比5.82%上昇から5.73%上昇に上方修正(改善方向)された。1カ月前の予想は5.7%上昇だった。また、2014年の見通しは前週予想の5.5%上昇から5.54%上昇へ下方修正(悪化方向)された。予想変更は18週ぶりで、1カ月前の予想は5.5%上昇だった。
為替レートの見通しについては、2013年末時点のレアルの対ドルレート(中央値)は、従来予想の1ドル=2.00レアルに据え置かれた。据え置きは3週連続。2014年末時点の見通しは従来予想の2.06レアルから2.05レアルに引き下げられた。 (了)