この選手の「股抜きトス」はファイン・プレーだったのか。間一髪でアウトにしたものの…
5月15日、一塁を守っていたライアン・ノーダ(オークランド・アスレティックス)は、ベースに背を向けた態勢体勢でボールを拾うと、ベース・カバーに入った投手のエイドリアン・マルティネスに「股抜きトス」で送球し、打者のヘラルド・ペルドモ(アリゾナ・ダイヤモンドバックス)をアウトにした。
もっとも、このプレーは、本来なら不要だった。ノーダは、その前に、ペルドモの打球を捕り損なってはじいた。ボールはファウル・グラウンドへ。すぐに追いかけて素手で拾ったものの、振り向いてから送球していた場合、ペルドモが一塁を踏むほうが早く、ノーダにはエラーが記録されたに違いない。
ベースボールの「股抜きトス」は、テニスの「股抜きショット」よりも少ないと思われるが、メジャーリーグに限っても、これまでに皆無だったわけではない。
例えば、このプレーがその一例だ。2010年4月5日、ルー・マーソンの打球は、バウンドしてから、投げ終わった直後のマーク・バーリーの左足に当たり、一塁側へ跳ねた。マウンドからボールに向かって走っていったバーリーは、ファウル・ラインを越えたところで、走りながら両足の間にグラブを降ろし、ボールを拾ってそのままトスした。こちらは「股抜きグラブ・トス」だ。一塁手のポール・コネルコは、マーソンが一塁に達する直前に、グラブをはめていない右手でバーリーの送球を掴んだ。
バーリーの場合、アウトにできなくても、エラーはつかなかっただろう。記録は、マーソンの内野安打となっていたはずだ。
通算214勝のバーリーは、2009年から2012年まで、4年続けてゴールドグラブを受賞した。このシーズンは、その2年目に当たる。
ノーダは、今シーズンの開幕戦でメジャーデビューし、一塁のポジションをヘスス・アギラーと分け合っている。打率は.218ながら、出塁率は.402。打席の20%を以上を四球が占める。ちなみに、ホームランは3本、三振率は30%以上だ。