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岩田が好投、植田は先制打!しかし最後の2回で12安打9失点《7/10 阪神ファーム》

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
約1ヶ月ぶりの実戦登板で4回無失点。岩田投手がマウンドに戻ってきました。

フレッシュオールスターまで残り2試合となった阪神ファーム。でも、きょう11日の広島戦(由宇)は雨のため中止になりました。ということで残りはあす12日のみ。8連戦だったのが少し楽になったといえますけど、先発予定の投手にとっても、オールスター明けは1軍で!とアピールを誓う選手たちにとっても残念でしょう。阪神ファームのリーグ戦再開は19日からのソフトバンク戦(タマスタ)です。

さて、きのう10日に鳴尾浜で行われたソフトバンク戦は、ファームで調整を続けていた岩田投手が先発。約1ヶ月ぶりに実戦登板しました。2回に植田選手の2点タイムリーで先制し、竹安投手が5回に4連続四球で1点返されたものの、前日先発予定だった守屋投手が好投。このまま逃げ切るかと思われた8回に打者一巡で6安打を集中され6点、9回も6安打で3点。終わってみれば10対2の大敗でした。

無念の降板となった竹安投手です。
無念の降板となった竹安投手です。
久々のファーム、2回に右前打した高山選手。
久々のファーム、2回に右前打した高山選手。

なお5回に2死を取りながら4連続四球で押し出し、交代となった竹安投手は前回、3日のオリックス戦(高槻)で伊藤選手への頭部死球により危険球退場となっています。本人に話を聞けていないので憶測の域を出ませんが、もしかするとその影響が出てしまったのかなと思い、ちょっと気がかりです。また、この日は1軍のナイター・広島戦の前に高山選手が鳴尾浜で試合出場。2回の1打席目にチーム初ヒットを放って先取点につなげ、8回の守備で交代して甲子園へ移動。1軍でも代打でヒットを打ちましたね。

《ウエスタン公式戦》7月10日

阪神-ソフトバンク 18回戦 (鳴尾浜)

ソフ 000 010 063 =10

阪神 020 000 000 = 2

◆バッテリー

【阪神】岩田-竹安‐小嶋-●守屋(5勝3敗)‐高宮‐福原-岩本-桑原 / 小宮山-坂本(6回~)

【ソフ】山田(6回)-○伊藤祐(1勝)(1回)-島袋(2回) / 張本

◆二塁打 塚田、福田、江川2、田2

◆打撃 (打-安-点/振-球/盗/失) 打率

1]右:俊介  (4-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .273

2]二遊:森越 (4-1-0 / 1-0 / 0 / 0) .227

3]一:陽川  (4-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .318

4]中:横田  (3-0-0 / 2-1 / 0 / 0) .321

5]指:新井  (3-0-0 / 1-1 / 0 / 0) .273

6]三:今成  (3-0-0 / 2-1 / 0 / 0) .333

7]左:高山  (3-1-0 / 1-0 / 0 / 0) .143

〃左:板山  (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .224

8]捕:小宮山 (2-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .259

〃捕:坂本  (1-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .286

9]遊:植田  (2-1-2 / 0-0 / 0 / 0) .087

〃二:坂   (1-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .161

◆投手 (安-振-球/失-自/防御率) 最速キロ

岩田  4回 62球 (2-4-0 / 0-0 / 6.53) 146

竹安 0.2回 33球 (0-0-4 / 1-1/10.80) 144

小嶋 0.1回 2球 (0-0-0 / 0-0 / 4.76) 142

守屋 2.0回 33球 (2-1-0 / 2-2 / 2.53) 145

高宮 0.0回 6球 (0-0-0 / 1-1 / 3.60) 137

福原 0.1回 10球 (2-1-0 / 2-2 / 6.35) 144

岩本 0.2回 11球 (2-0-0 / 1-1 / 3.38) 138

桑原  1回 28球 (6-0-0 / 3-3 / 6.48) 144

試合経過

2回2死満塁で植田選手が左前打!
2回2死満塁で植田選手が左前打!
三塁から先に還った新井選手がバットを拾って…
三塁から先に還った新井選手がバットを拾って…
二塁から今成選手もホームイン!
二塁から今成選手もホームイン!

先発の岩田は1回、先頭の塚田に右中間二塁打を許しますが、球数を要しながらも後続を断って無失点。2回、3回は三者凡退で、4回に1死から福田の二塁打を浴びたものの0点に抑え、予定の4イニングを2安打無失点という内容でした。その間に打線が先制。2回1死から新井が死球、今成は四球、1軍から出場の高山が初球を右前打して満塁となり、2死後に植田が左前タイムリー!2人が還っています。

5回に登板した竹安は、ゴロ2つで2死を取ったあと8番・真砂から3連続四球を与えて満塁、2番・川島へも四球で押し出しました。あと1アウトになってからの4連続四球で1点を失って降板です。なおも2死満塁で代わった小嶋は福田を2球で左飛に切って取り、1点リードのまま。

5回、竹安投手は2死後に4連続四球。
5回、竹安投手は2死後に4連続四球。
2死満塁のピンチを切り抜けた小嶋投手。
2死満塁のピンチを切り抜けた小嶋投手。
6回から2イニングを抑えた守屋投手ですが…連打で8回途中で降板。
6回から2イニングを抑えた守屋投手ですが…連打で8回途中で降板。

後半は守屋、坂本のバッテリーがまず6回と7回を三者凡退に切って取り、さて勝ち投手は誰かなと話をしていた矢先の7回。守屋が連打と盗塁で無死一、三塁として降板。代わった高宮は福田を一ゴロに打ち取るも、陽川がホームへ送球、三塁走者はサードへ戻ってセーフ(記録は野選)で無死満塁。ついで福原がカニザレスを空振り三振に!ここは大いに沸きました。

ところが、5番・江川に走者を一掃する左中間への二塁打を浴びて4対2と逆転され、続く高田にも右翼線のタイムリー二塁打…。福原は降板し、この回3人目の岩本が今度は釜元にセカンドを強襲する内野安打を許して1死一、二塁。次の真砂に右前タイムリー、さらに9番・張本のスクイズでまた2点追加。塚田を三ゴロに打ち取って打者一巡の攻撃が終わりました。この回、6安打で6失点です。

満塁となって福原投手が登板して4番・江川選手を三振に!しかし…
満塁となって福原投手が登板して4番・江川選手を三振に!しかし…
8回だけで3人目となった岩本投手。
8回だけで3人目となった岩本投手。
9回の桑原投手も打たれてしまいました…。
9回の桑原投手も打たれてしまいました…。

7対2とリードを広げたソフトバンク打線は、9回も手を緩めません。前日同様に8人の投手をつぎ込んだ阪神の、その8人目・桑原が曽根とカニザレスの左前打などで1死一、三塁として江川に左中間へタイムリー二塁打。さらに高田と釜元の連続タイムリーで3点を追加されます。

一方、阪神打線は2回に2安打で先制したあと、3回に森越の中前打と横田の四球で一、二塁のチャンスを作っただけ。5回も森越が1死から中前打したものの陽川は遊ゴロ併殺打。6回からは1人の走者も出せず完璧に抑えられ、つまり4回以降はすべて3人ずつで攻撃を終えたわけで…。しかも9回は島袋に、横田、新井、今成が揃って空振り三振を奪われての試合終了でした。

退路を断ち、岩田自身に任せた調整

掛布監督は、まず岩田投手のここまでについて「自分で逃げ道をなくすような形で調整させていました。こちらが手を差し伸べるのではなく、岩田に任せる。それくらいの責任を持たせた方がいいのかなと思って。本人と話をしたら『もう少し時間がほしい』ということだったんでね。だから、久保(投手コーチ)には距離を置いてもらって、岩田自分の調整を、やりたいことがあるならやってくれと言ったんですよ」と説明。

そして「1週間前に、もう大丈夫と言ってきたんで、きょうになった。もう少し投げさせてもよかったんだけど、(前日雨で先発が流れた)守屋もいるしね。まあ4回はちょうどよかったかも。腹八分目で。次は長いイニングと思ってます。きょうは何球?62球?次につながるね」と話しています。

岩田投手は4回を投げ、安打2、三振4、四死球0で無失点でした。
岩田投手は4回を投げ、安打2、三振4、四死球0で無失点でした。

「次だろうね。やっぱり三回り目くらいになる6回まで投げてみないと、1軍で云々というのは難しい。まだ岩田にとって、しんどい球数じゃないからね。6回、7回投げて、三回り目で球威が落ちてくる。そこでどう対応するか。次が楽しみだけど、そう簡単じゃないとも思うよ。だけど145キロとか出てたねえ!」。1軍の後半の巻き返しに向けて、次回登板が大きな意味を持つ岩田投手です。

「パワーアップして1軍に上がりたい」

岩田投手は「今までが悪すぎた。なので、与えてもらった時間で感覚を取り戻せるようにやってきました。きょうは結果として、いい形が出たと思います。この感覚を忘れずにいきたい」と話していました。1軍昇格に関して聞かれ「そこを決めるのは自分じゃないので」と答えながらも、1軍の力になりたい気持ちは?との問いに「もちろんあります。パワーアップした状態で1軍に上がりたい」と言っていました。

この日のピッチングをは「指先にかかり出したし、角度のいい球もあった。自分の中で気づけたこともあって、そこは収穫です」と岩田投手。初回に23球と数を要したのは「探りにいっていた」そうで、2回以降は「重心の位置を変えたり、楽に投げられるようにとか考えて」やっていたとのこと。「もともと投げて修正していくタイプなのに、それができなくてここにいる。ケガしないようパワーアップして戻りたいです」

満塁のチャンスに打ててよかった!

いい感じでバットを投げていますねえ。
いい感じでバットを投げていますねえ。

掛布監督が試合を振り返って「きょうは(先を)読み過ぎたね。目の前の1つのアウトをどうやって取るか考えた方がよかったね」と苦笑いしつつ、その中で「いい意地を見せてくれた」と評価する植田選手のタイムリー。2回2死満塁で144キロの真っすぐがボールとなり、2球目の真っすぐ・142キロを打って、三遊間を抜いたものでした。相手がソフトバンクの山田投手だったので、右打席です。

「チャンスだったので、とりあえず真っすぐとかツーシーム系、そのへんを狙ってストライクを振ろうと思ってました。当たりはよくなかったけど、抜けたんでよかったです」。でも考えたら、この2点だけで終わっちゃったんですもんね。しっかりチャンスで結果が出て何より。「はい!しかも満塁やったんで」。先週のナゴヤに続き、今回の由宇遠征にも参加中。強化期間を終えた植田海選手にご期待ください。

フレッシュ球宴前の登板

最後は、9日に先発予定だったのが雨で流れ、この日に中継ぎ登板した守屋投手。もしかして雨男かも?と振ったら「違います!梅雨は無理でしょう。梅雨には勝てないです」と全力で否定(笑)。まあ確かに梅雨の雨ですね。台風ではありません。145キロという最速に「数字は出たんですが、スピードは意識してないです。速くても打たれたので…低めにどれだけ集められるか、その精度ですね」

次はフレッシュオールスター!地元・倉敷で仕切り直しの凱旋登板です。
次はフレッシュオールスター!地元・倉敷で仕切り直しの凱旋登板です。

6回に江川選手から空振り三振を奪ったのが117キロの変化球でした。「カーブです。きょうはカーブがよかったんで。三振も取れたし、空振りもあったし」。そう思うと、8回の先頭・塚田選手のピッチャー返し(結果は中前打)、捕りたかったでしょうねえ。「あれを捕っていたら勝ち投手だったかも」。2イニング完璧に抑えたあとの連打で一転、負けがついてしまったわけで…。この借りはフレッシュオールスターで晴らしましょう!

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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