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USBAスーパーウエルター級王座決定戦

林壮一ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
Stephanie Trapp/Salita Promotions

 8ラウンド1分54秒、サウスポーのアードリール・ホームズ(28)とオーソドックスのウェンディ・トゥーサン(31)の頭がぶつかり、トゥーサンの顔面から鮮血が流れ落ちた。レフェリーのジェラルド・ホワイトが一度はファイト続行と判断したが、その数秒後に試合終了を宣言した。

 両者によって争われたUSBAスーパーウエルター級タイトル空位決定戦は、荒れ試合となった。13戦全勝5KOのホームズに対し、14勝(6KO)1敗のウェンディ・トゥーサンがラフファイトを仕掛ける。

 トゥーサンのスピードは、間違いなくホームズを苦しめた。現在はニューヨークに住むハイチ人ファイターの手数とコンビネーションパンチは、ほとんどのラウンドでホームズを上回っているように見えた。トゥーサンは激しいプレッシャーで、何度もホームズをロープに詰めた。

Stephanie Trapp/Salita Promotions
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 レフェリーは何度となく荒々しいトゥーサンの攻撃に注意を与えた。敵地に乗り込んだハイチ人ファイターは、ホームズを徹底的に痛めつけなければ勝利を収められないと感じていたようだ。4回にラビットパンチで減点を告げられても、手を休めなかった。

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 そんななか、偶然のバッティングで試合終了。その時点でのスコアで明暗を分けることとなった。

 77-74、76-75、74-77の2-1で、地元出身のホームズが勝利した。

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 試合後、ホームズは言った。

 「タフな試合になると思っていた。思うようなコンディションを作れなかったが、言い訳はしない。トゥーサンが試合中ずっと速いペースを保ち、ペースダウンしなかったことが予想外だった。彼には驚かされたよ。これまでのトゥーサンは、4ラウンドか5ラウンドになるとペースを落としていたのに……」

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 トゥーサンは不満気に話した・

 「俺は負けちゃいない。素早い動きでホームズを凌駕する計画がうまくいった。彼にダメージを与えた。減点には納得できないし、ジャッジも間違っている。確かに額は割れたが、試合を続行することは出来た。普通のヘッドバットと同じだよ。

 自分はファイターだ。戦える状態だった。次のことは分からない。でも、またこれからハードにトレーニングして、再戦のために戻ってくるよ」

 リターンマッチを望むトゥーサンだが、すんなり決まるようには思えない。ただ、AWAYの洗礼を肥やしとしてほしいものだ。

ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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