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妊娠発表するも未入籍。宮沢氷魚さんと黒島結菜さんの法律婚にこだわらない生き方

植草美幸結婚相談所代表・恋愛・婚活ジャーナリスト 植草美幸
(写真:REX/アフロ)

俳優の宮沢氷魚さんと黒島結菜さんが、現在パートナー関係にあり、黒島さんが第1子を妊娠中であると発表しました。今後について「お互い入籍することは考えていない」という考えを示していることが賛否を呼んでいます。

事実婚という形の発表ではなく、「入籍を考えていない」という発表は珍しいケースです。お二人はNHK連続テレビ小説「ちむどんどん」で夫婦役を演じていたこともあり、国民的ドラマのファンにとって特別なニュースとなり、大きな話題となっています。

◆若い世代や、都心部のキャリア女性は「法律婚にはこだわらない」

都心部の、より女性の社会進出が進んだエリアの婚活現場では、「法律婚にはこだわらない」「選択的夫婦別姓を希望する」という人が一定数いらっしゃいます。Z世代を対象としたアンケート調査でも同様の意見が半数以上(51%)となったそうです。

現在の日本では、入籍すると9割以上の妻が夫の姓を名乗ります。専業主婦が主流の時代にはそれが当たり前とされていましたが、女性が社会進出して共働きが主流になったことで、妻側の負担が大きいことも明らかになってきました。

医師や研究者、起業家の女性は、名前が変わると特に不都合が多いですし、女性の方が高収入になると法律婚による遺産相続や配偶者控除のメリットもありません。そうなると、まさに「メリットがあるなら入籍してもいいけれど、名前を変えてまで入籍したくない」という考えになるのは自然なことです。

◆妊娠・出産・子育てなどで不便を感じたら入籍すればいい

俳優の黒島さんは結婚コメントで、「交際を始めた当初から入籍することは考えておらず、私たちにとって必要なタイミングが来たら話し合って決めたいと思います」とおっしゃっています。

一般的に、多くの事実婚夫婦は、子どもが産まれると法律婚に切り替えたり、養育の観点から父親の認知を得ます。また婚活現場では、双方の結婚の意志が固まったらすぐに入籍するのが通常ですが、事実婚を選択する方々は、 2~3年一緒に過ごしてから、妊娠・出産・子育てなどで不便を感じたら入籍すればいい、という判断をすることがあります。逆に言えば、入籍はしたい時に出来るので、必ずしも入籍を慌てる必要はないと考えているのです。

◆結婚相談所にもいる「非入籍希望のカップル」

結婚相談所でも、法律婚を避けたい非入籍希望カップルのお世話をすることがあります。

例えば海外駐在員の女性と、国内外に転勤の可能性がある会社員の男性が33歳同士で事実婚を選択した事例です。もともとお互いに、「今の仕事を続けながら伝統的な結婚をするとなると、乗り越えることが多すぎる」と思っていたのだそうです。それでも不安定な時代に、自分らしくいられるパートナーが欲しい、それにピッタリの相手を見つけたいと考えていたので、いつか不便が出れば法律婚を考えようと誓い合っていました。

私が結婚相談所で受け持っているコースは国内外で活躍されている方が多く、海外育ちの方も2〜3割いらっしゃいます。その影響で先進的な結婚のスタイルを見聞きしますが、俳優の宮沢氷魚さんの出身は米・サンフランシスコ。まさに共通しています。

◆入籍や婚姻をせずとも、信頼し合える関係性を築くため"けじめ″は大事

最後に、法律婚を選ばないパートナーシップを結ぶ方々にアドバイスしていることをお伝えします。大切なのは信頼し合える関係性や、心のつながり。入籍や婚姻という、昔の"イエ制度"的な形が重荷だという方は、楽しい恋愛や同棲をしながらのパートナーシップを必要としてもいいのです。

ただ、事実婚や非入籍婚でも、婚約や自分たちなりの儀式・約束をしてけじめをつけることを、結婚相談所の会員の方々にはお勧めしています。一般的な事実婚は、くっつくのも簡単な分、別れるのも簡単……となりやすい面があります。結局は、人間同士が膝を突き合わせて向き合うことができなければ、長期的な関係を築くことは難しいもの。ですから、両家で顔合わせをする、結婚式を挙げる、自治体のパートナーシップ制度の適用を受けるなどの工程を踏むのもひとつの方法です。

宮沢氷魚さんと黒島結菜さんは、若い世代にも支持される人気俳優として今後もご活躍が期待されます。法律婚だけではなく事実婚も、生き方の一つとして受け入れられる世の中になればと願います。

結婚相談所代表・恋愛・婚活ジャーナリスト 植草美幸

千葉県出身。青山学院大学卒業。結婚相談所マリーミー代表、恋愛・婚活アドバイザー。1995年に、アパレル業界に特化した人材派遣会社、株式会社エムエスピーを創業。そこで培ったコーディネート力を活かし、2009年、結婚相談所マリーミーをスタート。以後10年以上にわたり年間約1,000組の恋愛・結婚に対するアドバイスを行い、業界平均15%と言われる成婚率において、約80%の成婚率(※)を記録している。『結婚の技術』『婚活リベンジ!』など、著書は計14冊。メディア出演の他、地方自治体をはじめとした講演依頼も多数。(※) 成婚退会者数÷全体退会者数で算出。

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