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若手実力者・斎藤明日斗五段(26)棋王戦ベスト4進出! 永世棋王・羽生善治九段(54)に勝利

松本博文将棋ライター

 10月15日。東京・将棋会館において第50期棋王戦コナミグループ杯・挑戦者決定トーナメント4回戦▲羽生善治九段(54歳)-△斎藤明日斗五段(26歳)戦がおこなわれました。

 10時に始まった対局は19時0分に終局。結果は98手で斎藤五段が勝利。ベスト4進出を決めました。

 レジェンド羽生九段は、今期棋王戦はここで敗退となりました。

棋王通算13期・羽生善治九段

 羽生現九段は1991年(90年度)、20歳5か月のときに棋王位を獲得しました。これは藤井聡太現棋王にも抜かれることのなかった史上最年少記録です。


 羽生九段は棋王戦12連覇、通算13期の実績を誇り、永世棋王の資格を保持しています。


 今期は挑戦者決定トーナメント1回戦から出場し、大橋貴洸七段、菅井竜也八段、梶浦宏孝七段を破ってベスト8に進みました。これまでに獲得したタイトルは通算99期。ファンからは大台となる100期目をずっと期待されています。

宮田門下の俊英・斎藤五段


 斎藤五段は宮田利男八段門下。同門の兄弟子・本田奎六段は2019年度、渡辺明棋王(当時)に挑戦しあmした。

 また弟弟子・伊藤匠叡王(当時七段)は23年度、藤井棋王に挑戦しています。

 斎藤五段も、いつブレイクしても不思議ではない若手実力者の一人です。


 斎藤五段は今期、予選から出場。石井健太郎現七段、渡辺正和六段、佐々木大地五段、飯島栄治八段に勝って予選を本戦進出を決めました。


 本戦では2回戦から登場し、糸谷哲郎八段、広瀬章人九段に勝ってベスト8に進んでいます。

 両者は過去に4回対戦し、羽生九段3連勝のあと、斎藤五段1勝。2024年1月の叡王戦本戦トーナメント1回戦では斎藤五段が勝っていました。

斎藤五段、二転三転の熱戦を制す

 本局は羽生九段先手で角換わり腰掛け銀に。羽生九段が先行し、桂、飛を捨てて銀を取り、斎藤陣に角を打ち込んで、一気に激しい順に入りました。


 羽生九段が飛を取って斎藤陣に打ち込むと、斎藤五段も羽生陣に飛を打って、終盤の一手争いとなります。


 87手目。羽生九段は5分考えて桂を打ち、斎藤陣の銀を攻めるとともに斎藤玉の逃げ道をふさぎます。


 この段階で持ち時間4時間のうち、残りは羽生20分、斎藤47分でした。


 88手目。斎藤五段は8分考えて、三段目の羽生玉の背後に歩を打ちます。これが正確な速度計算に基づく好手でした。この歩が桂を取りながらと金となり、最後に羽生玉の死命を制します。

 最後は一手速く斎藤五段が羽生玉を詰ませて、98手で終局。斎藤五段が大きな勝利をあげ、ベスト4進出を決めました。

 

 斎藤五段は準決勝で近藤誠也七段(28歳)と対戦します。


将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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