新レース開催、バトンの参戦など話題豊富な2018年を振り返る! 4輪レース10大トピックス(1)
2018年のモータースポーツシーンを彩った話題をまとめる年末企画。第1弾は4輪モータースポーツ編。10個のニューストピックスを取り上げ、そのうち10位から6位までをご紹介しよう。
10位:牧野がF2で初優勝
F1を目指すホンダ育成ドライバー、福住仁嶺(ふくずみ・にれい)、牧野任祐(まきの・ただすけ)の2人が挑戦した2018年の「FIA F2選手権」。F1イタリアGPの前座として開催された第10戦のフィーチャーレース(第1レース)で牧野任祐(ロシアンタイム)が初優勝を飾った。
F2と国内のスーパーフォーミュラにダブル参戦する環境を与えられた福住に対し、牧野はF2だけの参戦。ルーキーイヤーとはいえF1昇格に必要なスーパーライセンスポイントを稼ぎ出すために勝負しなければいけない1年だった。そんな中、牧野は第2戦・アゼルバイジャンで9位に入賞し初ポイントを獲得するも、その後は最高位6位。厳しいレースが続いていたが、優勝したイタリアのレースではタイヤ選択も功を奏し、大逆転の優勝を果たすことになった。
優勝直後、牧野が放った「見たか、コラァ!」という日本語の無線がそのまま国際映像に流れたことも話題になった。ヨーロッパのレース界に放り込まれ奮闘してきた日本人若手ドライバーたちだが、その風当たりは厳しい。その中でヨーロッパのライバルたちに自分の存在を示した牧野。その勝利は1度だけに終わったが、日本人F1ドライバーの誕生が近づいていることを予感させてくれた。
9位:F1日本GP契約延長
「今年で見納めになるかもしれない」交渉が難航しているとの報道が相次いだ鈴鹿サーキットでの「F1日本グランプリ」の開催は8月31日に無事に契約延長が発表された。今回の契約は2021年までの3年契約。
近年、F1日本グランプリの観客動員数は減少を続け、鈴鹿サーキットの運営会社であるモビリティランドは様々な施策を打ち、観客の満足度向上に努めてきたが、日本人ドライバーの不在が長く続いていることやテレビ中継が有料放送のみになっていることから観客の大幅増加は難しい。
2018年のF1日本グランプリは決勝日81000人を動員し、3日間合計でも2015年以来16万人を超える観衆を集めた。近年は外国人の観客増加が顕著でインターナショナルな空気になりつつあるF1日本グランプリだが、今後はやはり国内でのF1人気復活が大きな鍵となるだろう。
2019年からホンダが「レッドブル」にパワーユニットを供給するため、その実力に期待がかかる。そして、日本人F1ドライバーも急ピッチで育成しなくてはならないだろう。タイ、ベトナムなど近隣の東南アジア諸国もF1開催に名乗りを上げ始めており、日本国内で起爆剤となる話題がとにかく必要だ。
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8位:富士24時間耐久が開催
国内で10年ぶりとなる24時間耐久レースが富士スピードウェイで6月に開催された。かつてスーパー耐久シリーズの名物であった24時間レースの復活は2018年の4輪・モータースポーツシーンの再興を象徴するトピックスだったと言える。
24時間耐久レースの開催は富士スピードウェイでも50年ぶりの開催で、もはや日本では開催が不可能と言われていただけに、夜間走行のために照明設備などを増強して挑んだ富士スピードウェイの努力は並大抵のものではなかっただろう。近年の国内レースはコース上もイベント会場もひっきりなしにスケジュールが詰まっているのが通例になっているが、観客がテントを張ってキャンプしたり、バーベキューを楽しんだりする姿は今後のモータースポーツの新たな楽しみ方のスタンダードになっていくかもしれない。
富士スピードウェイは2019年も富士SUPER TEC 24時間レースを5月31日〜6月2日に開催する予定だ。
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7位:バトンがSUPER GT王者に
2018年の国内レースの話題をさらったのは元F1ワールドチャンピオンのジェンソン・バトンの「SUPER GT」フル参戦だろう。シーズン開幕前は人気F1ドライバーでもあったバトンを見ようとパドックにファンが詰めかけ、異様な盛り上がりを見せていた。
ただ、いくらワールドチャンピオンのバトンといえども「SUPER GT」での勝利はそうそう簡単なことではないことは本人はもちろんファンも理解していた。山本尚貴(やまもと・なおき)とコンビを組み、「#100 RAYBRIG NSX-GT」(ホンダNSX)を駆り、徐々にレースに自分自身をアジャストしたバトンの実力はさすが。開幕戦・岡山と第3戦・鈴鹿で2位表彰台を獲得し、第6戦・菅生で優勝。バトンにとっては鈴鹿以外は初めてレースをするコースばかりだったにも関わらず、山本尚貴との素晴らしいコンビネーションでルーキーイヤーにしてSUPER GT王者に輝いた。
バトンが「SUPER GT」のレースを心から楽しんでいることは彼が配信するYouTubeでのレポートでも明らかに表れている。バトンが世界中に「SUPER GT」の魅力を伝えたことは日本のレース界にとっても大きなことであるし、日本のファンや関係者は改めて、ホンダ、レクサス、日産という三大自動車メーカーが激突する贅沢なレースが国内に存在することを認識させられたと言えるだろう。
6位:トヨタ、WRCメーカー王者に
WRC(世界ラリー選手権)にワークス参戦するトヨタがいよいよその実力を発揮し始めた。2018年、第5戦・アルゼンチンでオット・タナックが優勝し、タナックはその後通算5勝をマーク。さらに最終戦・オーストラリアではヤリ=マティ・ラトバラが優勝。ドライバーズ王者は6年連続でセバスチャン・オジェ(フォード)に奪われたものの、トヨタ・ヤリスWRCは合計6勝を飾って、自動車メーカーのマニュファクチャラーズ選手権で王者に。トヨタは参戦2年目にしてタイトルを獲得した。
国内ではテレビ朝日で「地球の走り方〜世界ラリー応援宣言」や「報道ステーション」などで特集が組まれたり、地上波テレビ放送にも登場するWRC。F1よりもお茶の間に近い環境ではあるが地名度はまだまだといったところ。2019年の開催が期待されていたWRCの日本開催「ラリージャパン」は2020年以降へと持ち越しになってしまったが、マニュファクチャラーズ王者獲得は将来的な開催への後押しになって行くであろう。来季はタナック、ラトバラに加えて、ベテランのクリス・ミークを加えた体制となるトヨタ。6年連続でドライバーズチャンピオンに輝いているセバスチャン・オジェがシトロエン(ランキング4位)に移籍する2019年、オジェの連続タイトルをトヨタのドライバー達が阻止できるかにも注目が集まる。
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