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10日後に決戦を控えた元ライト級世界王者

林壮一ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
(写真:ロイター/アフロ)

 10日後にエイドリアン・ブローナーとのファイトを控えたオマール・フィゲロア・ジュニア。キャンプ総仕上げの段階にきた。直近の2戦で連敗中のフィゲロアにとって、1年3ヵ月ぶりの試合である。

 4階級制覇王者を迎え撃つ、その元WBCライト級チャンプの言葉をご紹介しよう。

 「エイドリアン・ブローナーは、僕をノックアウトすると話しているね。リング中央で打ち合うだけさ。自分はチャレンジが好きな人間なので、彼との試合が決まって本当に嬉しく思う。ブローナーは高い技術があって、引き出しも多いから、かつて無いほどの準備を重ねている。

 今、フィジカルと共にメンタルもいい状態にあるんだ。新たな人生を手に入れるべく、この試合に向かっている。メンタルトレーニングを取り入れる前は、憎しみや怒り、ネガティブな感情を補給しながら戦っていた。でも今は、家族、特に(トレーナーでもある)父に対する感謝の気持ちに浸りながら毎日を過ごしている。

写真:ロイター/アフロ

 ベストコンディションでエイドリアン・ブローナー戦を迎えるよ。1ラウンドに10発打とうが、50発のパンチを繰り出そうが、自分の特殊技能を用いて勝利してみせる。

 世の中を相手にするのではなく、敵は自分だと考えてやっているんだ。メンタルケアを受けるようになってから、より一層そう感じるようになった。自分はボクシング以外のことに気を取られ、困難な状況を作り上げながらキャリアを重ねてしまったな。しかし、今はハッキリと目標を見据えることが出来ている。

 毎日極限まで自分を追い詰めているので、20日はその成果を出すよ。火花を散らす戦いになる。当日が楽しみで仕方ないね」

初黒星を喫した2019年7月20日のヨルデニス・ウガス戦
初黒星を喫した2019年7月20日のヨルデニス・ウガス戦写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 実父であり、トレーナーでもあるオマール・フィゲロア・シニアも言った。

 「私たちは今、基礎に戻って練習しています。それが最高の状態を作り上げると判断してです。エイドリアン・ブローナーのことは、心から尊敬していますよ。ビッグマッチの一つとして対戦する彼らは、おそらく嚙み合うでしょう。互いに最高のコンディションを築き、素晴らしいファイトをファンにお届けできるかと思います。

 20日のオマールは、多くの部分でこれまでとは違ったファイターとなります。攻撃力が増したタフなメキシカンファイターである彼の姿をご覧にいれますよ。沢山のパンチを出し続けるでしょうね」

 ブローナーは34勝(24KO)4敗1分け。フィゲロアは28勝(19KO)2敗1分け。10日後の一戦が楽しみだ。

ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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