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ハロウィンの日 世界の気象キャスターたちは何を着たのか

森さやかNHK WORLD 気象アンカー、気象予報士
アメリカ気象局(NWS Kansas City)の出したハロウィン天気予報

今やバレンタインと並ぶほどの経済規模となったハロウィン。元来の行事の意味はさておき、国内では仮装の日として、ここ数年で一気に参加者が増えています。

一方海外のテレビでは、毎年、気象キャスターたちがこぞってハロウィンの衣装を身にまとい、滑稽且つ異様な天気予報を行っています。そして今年もキャスターたちが頭をひねり、様々なアイディアを披露してくれています。

私の出演する局も英語放送なので、とりあえず魔女帽子をかぶって登場してみましたが、やはり海外の潔さと面白さは桁違いです。

私の厳選した4つのハロウィン予報を紹介しましょう。

1. かぼちゃのお腹

先ずは、全米一の人気を誇る女性気象予報士ジンジャー・ジーさんの衣装です。

第二子を妊娠中のふっくらしたお腹の上に、かぼちゃのお顔がくっついています。生まれてくるお子さんをかぼちゃに見立てるアイディア、なかなかのセンスです。

2. ダンシングミイラ

さて次は、真面目そうな女性キャスターと陽気なダンシングミイラのコンビです。このミイラの動き、なんだかクセになってしまいますね。

通常気象のスタジオのセットには、キャスターの正面と側面に画面が二つあり、それらにはテレビに映るそのままの映像が映っています。となると、この女性はこの滑稽なミイラを終始見ながら天気解説をしていたことになります。

よく笑わず淡々と続けられたなと、そのプロフェッショナルさに感心させられました。

3. スケルトン予報士

続けましょう。3つ目は、スケルトン予報士です。右下のスクリーンが実際にテレビに流れた映像で、左がスタジオの様子です。

ではなぜこの男性予報士は、気の毒にも、緑の全身タイツを着ているのでしょうか。

彼の後ろにある緑のスクリーンは「クロマキー」と言って、前に立つと緑色のものが、テレビの画面から消えてしまうようにできています。そのため、画面からキャスターの全身タイツは消え、骨だけが残るようになっているのです。

そういえば、人気キャラクターの(緑色の)ガチャピンがクロマキーの前に立って天気予報をして、画面から消えてしまったことがありました。

4. ◯がない予報士

最後は、滑稽さを忘れて、見事としか言いようのない映像を紹介しましょう。自分の頭を持った首なしキャスターが、不気味な色の雨予報を行っています。相当恐ろしいですね。

でも一体どうやって撮っているのでしょうか。怖さをかき消すようで恐縮ですが、この映像の仕組みはこうです。

男性キャスターは顔以外の体全体を緑色のマントで覆い、そしてその彼の頭を、顔だけ緑色の布をかぶった別の男性が脇に抱えているのです。つまり実際は二人の人がいたというわけです。そして驚くことに、これは硬いイメージのあるイギリス国営放送BBCの天気予報でした。

気象キャスターのしのぎを削るハロウィン予報の争いは、毎年加熱していきそうです。

NHK WORLD 気象アンカー、気象予報士

NHK WORLD気象アンカー。南米アルゼンチン・ブエノスアイレスに生まれ、横浜で育つ。2011年より現職。英語で世界の天気を伝える気象予報士。日本気象学会、日本気象予報士会、日本航空機操縦士協会・航空気象委員会会員。著書に新刊『お天気ハンター、異常気象を追う』(文春新書)、『いま、この惑星で起きていること』(岩波ジュニア新書)、『竜巻のふしぎ』『天気のしくみ』(共立出版)がある。

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