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「G7」の結束に運命共同体の露・中・北朝鮮・イランはどう出る! ロシアに公然と武器支援も?

辺真一ジャーナリスト・コリア・レポート編集長
平壌駐在の中国の王亜軍大使(左)とロシアのマツェゴラ大使(ロシア大使館のHP)

 広島で開かれている先進7カ国首脳会議(G7)が昨日(20日)共同声明を発表したが、G7から名指しで非難された国はロシア、中国、北朝鮮、そしてイランの4か国だった。

 ロシアはウクライナ侵攻で、中国は台湾や南シナ海、そしてチベット、ウィグルなどの人権抑圧で、北朝鮮は核とミサイル、そして拉致などの人権侵害で、イランは核開発疑惑でそれぞれ糾弾されていた。

 G7の「共通の敵」とされたロシアはプーチン大統領自らが「極めて強力な反ロシアプロパガンダ」と不満を表明する一方、ラブロフ外相は「ロシアと中国の封じ込めを目的としている」とコメントしていた。

 ロシアと並んでかなりの分量を割かれ批判されていた中国は外務省報道官が「中国の内政に対する粗暴な干渉だ」と抗議し、「G7が主導する『西側のルール』や『アメリカファーストのルール』は(中国は)受け入れない」との談話を発表し、反発していた。

 北朝鮮とイランからはまだ公式見解は出されていないが、今日にも何らかの反応が出てくるであろう。北朝鮮に限っては、これまでもそうであったようにG7の共同声明を排撃し、逆にG7を非難する外務省声明を出すものと予想される。

 どちらにしてもこれら4カ国がG7を中心とした西側陣営に対抗して結束を強めることは容易に察しが付く。特に、G7から集中砲火を浴びせられ、劣勢に立たされているロシアに有形無形の支援を強めるものと推察される。

 イランはすでに無人機をロシアに提供しており、北朝鮮もまた、秘密裏に砲弾を提供しているとされているが、これを機に今後、ロシアへの武器供与が公然と行われる可能性も十分あり得る。

 そのことを匂わせたのが、5月19日に朝鮮中央通信が配信した国際問題評論家と称する金明哲(キム・ミョンチョル)なる人物の「米国はウクライナの『最後の滅亡の日』を促している」と題する文である。そこには以下のようなことが書かれてあった。

 「米国の対ロシア圧迫戦略の直接的所産であるウクライナ危機が発生した時から450日が経った現時点で、我々は米国と西側集団が理性を失って越えてはならない最後の限界線を越えているのを目撃している。米国とその同盟国がウクライナに精密打撃手段を引き渡すのはロシアに対する最も明白な宣戦布告であり、ロシアの主権と領土安全を脅かす直接的な軍事行動である」

 「ロシアの神聖不可侵領域であるモスクワのクレムリンに無人打撃機を飛ばしたウクライナ軍事ゴロツキが米国と西側が与えるミサイルで危険極まりないならず者行為をするかは火を見るより明らかである。これで米国は絶対に越えてはならない最も危険な『レッドライン』をはばかることなく越えた」

 「米国とその追随勢力は自分らが他ならぬ強靭かつ英雄的なロシア軍民を対敵としており、ロシアの傍にはいつも平和と真理を志向する正義で強力な友好国が共に立っているという事実を瞬間も忘却してはならない。今や、正義の国際社会がロシアの勝利のために勇躍奮い立つ時になった。ウクライナの『同盟国』が山のように積み上げている武装と弾薬は、ウクライナを巨大な火薬庫につくったし、これからロシアが一撃を加えれば巨大なキノコ雲が生じて、その地の全てのものを一掃するようになるであろう」

 「ロシアが一撃を加えれば巨大なキノコ雲が生じて、その地の全てのものを一掃するようになるであろう」の文言はまるでロシアが核を使用することを暗示しているようでもある。

 金正恩(キム・ジョンウン)総書記は5月9日のロシアの戦勝78周年を祝い、プーチン大統領に送った祝電の中で「敵対勢力から加わるあらゆる挑戦と威嚇を粉砕して国の自主権と尊厳、地域の安定を保障するための道程で今後も引き続き勝利する」との確信を表明し、プーチン大統領とロシア軍隊、そして人民に連帯を示していた。

 また、崔善姫(チェ・ソンヒ)外相は北朝鮮外務省が駐朝ロシア大使館員のために催した16日の交歓会に出席し、アレクサンドル・マツェゴラ駐朝ロシア大使と対座していた。崔外相は金総書記が委員長を兼ねている国家主権の最高政策指導機関である国務委員会(14人)の委員である。

 この懇親会の直後にロシアのマツェゴラ大使が着任挨拶のためロシア大使館を訪れた中国の王亜軍大使とロシア大使館で意見交換を行い、両国は「中露新時代の戦略的パートナシップ」(王大使)をさらに強化するため意思疎通を図ることで意見の一致をみていた。平壌を舞台に3国が接触し、西側陣営や日米韓3か国への対抗策を講じていることは明らかだ。

 G7終了後の23日にはロシアのミシュスチン首相が李強首相の招きで北京を訪問し、習近平主席と会談することになっているが、習主席は19日に陝西省の西安で開かれた中央アジア5カ国首脳会議で「(中央アジア諸国とは)緊密な運命共同体を構築する」と「運命共同体」という言葉を用いていた。

 こうしたことからG7から批判された中国、ロシア、北朝鮮、そしてイランの4か国が西側陣営に共同戦線を張って、対抗する可能性が極めて高くなった。

ジャーナリスト・コリア・レポート編集長

東京生まれ。明治学院大学英文科卒、新聞記者を経て1982年朝鮮問題専門誌「コリア・レポート」創刊。86年 評論家活動。98年ラジオ「アジアニュース」キャスター。03年 沖縄大学客員教授、海上保安庁政策アドバイザー(~15年3月)を歴任。外国人特派員協会、日本ペンクラブ会員。「もしも南北統一したら」(最新著)をはじめ「表裏の朝鮮半島」「韓国人と上手につきあう法」「韓国経済ハンドブック」「北朝鮮100の新常識」「金正恩の北朝鮮と日本」「世界が一目置く日本人」「大統領を殺す国 韓国」「在日の涙」「北朝鮮と日本人」(アントニオ猪木との共著)「真赤な韓国」(武藤正敏元駐韓日本大使との共著)など著書25冊

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