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ネット上で拡散されやすい情報のテーマとは

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 例えばこのような、フルパワーで拡散したくなるような情報のジャンルとは……?

ネットで拡散されやすいのは「事件・事故などのニュース」

インターネット上の情報は自動的に複製され頒布されることもあるが、影響力のある、拡散力を持った情報は得てして人の手を介してのものとなる。それでは共有され拡散していく情報は、どのようなジャンルなのだろうか。

次のグラフは電通グループの電通パブリックリレーションズが2013年9月に発表した、「ソーシャルメディア上で」リンクを含めた情報を第三者に共有した経験を持つ(つまりネット上での情報拡散志向のある)人を対象にした調査結果によるもの。インターネット上でシェア、拡散した経験があるジャンルを選んでもらったものだが、もっとも多い回答項目は「事件・事故などのニュース」だった。過半数の人が拡散経験を持っている。

↑ インターネットで拡散することのある情報の内容(複数回答)
↑ インターネットで拡散することのある情報の内容(複数回答)

雑誌や新聞のように記事執筆から頒布まで長い時間を必要とするメディアと異なり、インターネット上の情報は、情報元での事象発生から瞬時に広範囲に拡散される可能性がある。9月上旬に発生した竜巻に関する画像や映像が、発生時から数時間も経たないうちにネット上に掲載され、多くの人の目に触れたことは記憶に新しい(次の動画が好例)。

↑ 9月2日に埼玉県で発生した竜巻を捕えた映像。映像取得機器が普及した現在では、誰もが取材者・情報取得者に成りうる。

誰もが容易に情報の発信源となることができ、速報性、さらには独自性に優れた情報を創生し広めることができる。当然情報の価値は高く、多くの人の興味関心を引く。拡散されやすいのも当然だろう。

次いで多いのは「日常生活の話題」。「あるある話」や生活の知恵、身の回りで起きたちょっと気になる出来事、飼い猫の挙動など、従来なら頭の中で思い浮かべてオシマイ的な話題が、拡散される対象となりやすい。内容は珠玉混合だが、数が多ければ二次的に「広めたい」と思われるネタも増えてくる。あるいはシェア行為によって世間話的な雰囲気を楽しんでいる面もある。

「笑ってしまう面白い情報・ネタ」や「アニメ、ゲーム、音楽など自分の趣味領域の話題」「新商品やサービスの話題」は拡散されるのもなるほど感はあるが、意外なのが「政治系の話題」「経済系の話題」。真面目な話はあまりシェアされにくい雰囲気だが、実際には高いシェア率を示している。むしろ高いと思われた「芸能・ゴシップ」が順位では随分と拡散ネタになりにくいのには驚かされる。

20代男性の意外な情報拡散志向

ノリが軽くデジタルにも興味関心が深く、情報の拡散を多用に行う20代男性にスポットライトを当てると、やや意外な動きを示しているのが分かる。

↑ インターネットで拡散することのある情報の内容(複数回答)(20代男性)
↑ インターネットで拡散することのある情報の内容(複数回答)(20代男性)

最多回答項目は「事件・事故などのニュース」で全体像と変わらない順位だが、その全体平均と比べて20%ポイント以上も高い値を示している。この属性の多くが、ニュースに飛びつき、高い頻度で情報をシェアしているのが再確認できる。

次に多いのは「自分の趣味領域の話題」。自分のこだわりを他人にアピールしたり、同じような趣味を持つ人に情報を分かち合いたいとの想いが強いのだろう。

意外なのは「政治系の話題」「笑える面白情報・ネタ」が同率で第三位につけていること。若年層は政治系の話は苦手、拡散もしないというイメージを持つ人が大部分だろうが、実際には(少なくとも今調査の限りにおいては)そうでもないことが分かる。「経済系の話題」も高い値を示しており、単に面白系、インパクトのある内容ばかりをシェアしているのではなく、真面目な話にも注目しているようすがうかがえる。

LINEのような半閉鎖系のネットワークならともかく、Facebookやツイッター、mixiなどのオープン系ソーシャルメディアにおいては、個人が発信した情報は(意図的に隠さない限り)不特定の第三者が容易に内容を知ることができる。普段何気なく斜め読みしている知人、フォローしている人たちのシェア情報について「どのような分野に関するものなのか」との観点から眺めてみると、新たな発見があるかもしれない。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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