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出掛ける前からジャズ気分:ドン・フリードマン・トリオ@丸の内コットンクラブ

富澤えいち音楽ライター/ジャズ評論家

●公演概要

3月21日~24日

■3.21.thu & 3.22.fri

[1st show]open 5:00pm / start 6:30pm

[2nd show]open 8:00pm / start 9:00pm

■3.23.sat & 3.24.sun

[1st show]open 4:00pm / start 5:00pm

[2nd show]open 6:30pm / start 8:00pm

会場:丸の内・コットンクラブ

出演者:Don Friedman(ピアノ)、Phil Palombi(ベース)、高橋 信之介(ドラム)

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DON FRIEDMAN TRIO|ドン・フリードマン・トリオ
DON FRIEDMAN TRIO|ドン・フリードマン・トリオ

ドン・フリードマンをどのように紹介しようか――そう考えてPCを見つめたまま1時間。彼の業績などはバイオグラフィを引用すればいいのだから、ボクのドン・フリードマンに対する印象をまとめようと悪戦苦闘していたのですが、文章がまとまりません。

それは、彼が個性のないピアニストだからではありません。内省的にして抒情的なスタイルは誰もが認めるところであり、1962年にレコーディングされた『サークル・ワルツ』はジャズ・ピアノ・トリオの傑作として歴史に名を刻んでいます。

日本では、同じ「内省的にして抒情的な」ピアニストとしてビル・エヴァンスの人気が高く、そのためにドン・フリードマンも同系統のピアニストとしてひと括りにされることが多かった、つまり“雑な扱い”を受けてきたことは、残念ながら事実だと思っています。

しかし、しっかりした理論のうえに演奏スタイルを確立し、多岐にわたる表現方法を自分のものとしているドン・フリードマンのピアニズムは唯一無二です。たとえばボクはいまこの原稿を書きながら、1995年レコーディングの『オールモスト・エヴリシング』というトリオでのアルバムを聴いているのですが、彼の十八番である抒情的なナンバーがきっちりと収録されている一方で、現代音楽のエッセンスを反映させたフリー・スタイルの演奏もあるなど、「懐が深いピアニストだなぁ……」といまさらながら感心させられ、表現の先見性について教えられるポイントがたくさんあることに気づいたりするのです。

ステージではおそらく、もっとたくさんジャズについて教えてもらえるピアノを聴くことができるでしょう。

♪Don Friedman Trio ー Circle Waltz

ドン・フリードマンの代表作『サークル・ワルツ』のタイトル・チューン。ベースとのデュオにドラムをちりばめて全体のサウンドのバランスをとるという方法論は、ビル・エヴァンスが『ポートレート・イン・ジャズ』で示したものの影響を強く感じさせますが、それを割り引いてもドン・フリードマンのオリジナリティの強さが光り、この作品を名作たらしめています。

♪DON FRIEDMAN TRIO ー ALONE TOGETHER

こちらは最近(2009年)のライヴの模様。ルバートのソロによるイントロからフォー・ビートでテーマを展開していきますが、決して“ハード・バピッシュ“にならずにメロディの輪郭を沈めることなく映し出している手際が見事ですね。ベースやドラムがソロをとっているときのサポートもぜひ見逃さないようにしてください。

では、行ってきます!

音楽ライター/ジャズ評論家

東京生まれ。学生時代に専門誌「ジャズライフ」などでライター活動を開始、ミュージシャンのインタビューやライヴ取材に明け暮れる。専門誌以外にもファッション誌や一般情報誌のジャズ企画で構成や執筆を担当するなど、トレンドとしてのジャズの紹介や分析にも数多く関わる。2004年『ジャズを読む事典』(NHK出版生活人新書)、2012年『頑張らないジャズの聴き方』(ヤマハミュージックメディア)、を上梓。2012年からYahoo!ニュース個人のオーサーとして記事を提供中。2022年文庫版『ジャズの聴き方を見つける本』(ヤマハミュージックHD)。

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