世帯年収別でインターネット機器として使う携帯電話やパソコンの利用率の実情をさぐる
・インターネット用として携帯電話(従来型携帯電話とスマートフォンの双方)を使っている人の割合は62.6%、パソコンは48.7%(2017年)。
・所属する世帯年収が高いほど、パソコンや携帯電話、タブレット型端末のインターネット用としての機器利用率は高くなる。
・家庭用ゲーム機は世帯年収との連動性は見られない。あえて言えば低世帯年収層で低めな程度。
インターネットの窓口となるパソコンも携帯電話(従来型携帯電話とスマートフォンの双方)も、そして家庭用ゲーム機やタブレット型端末ですら、昔と比べると価格面では随分と手に入りやすくなった。しかしそれでも、誰もが気軽に購入できるものでは無い。当然その所有率・利用率は個々のお財布事情と浅からぬ関係がある。これがいわゆる「デジタルデバイド」の要因として経済力が挙げられる一因。今回は総務省が2018年5月に発表した「通信利用動向調査」(※)の公開値を用い、世帯年収別に主要インターネットアクセス機器の利用状況を検証する。
まずは全体的な「パソコン」「携帯電話」「タブレット型端末」「家庭用ゲーム機」における、インターネット機器としての利用率。「インターネット利用の有無を問わず、該当属性全体に対する比率」で算出していることに注意。
例えばパソコンは48.7%なので、調査対象母集団の5割近くが「パソコンをインターネット端末として利用している」と回答している。携帯電話は62.6%とパソコンを抜き、「インターネットへのアクセス窓口は携帯電話が最上位」な状況にある。
これを回答者の所属世帯における世帯年収別で区分したのが次のグラフ。
概要的には「自分が所属する世帯の世帯年収が低いほど、パソコンも携帯電話もタブレット型端末も(インターネット)利用率が低い」傾向が見える。そして低年収世帯では、インターネットの利用が金銭的なハードルに阻まれていることが推測される。タブレット型端末では値そのものはパソコンや携帯電話をと比べれば低いが、年収とともに漸増する動きをしている。世帯年収が2000万円以上では3人に1人近くが利用している計算となる。
一方、家庭用ゲーム機では世帯年収別の差異、法則性はほとんど無い。あえて言えば低世帯年収層で低めな程度。
経済水準がインフラ導入のハードルのすべてとなるわけでは無く、また一見するとコスト面で手に入れやすいように見える端末が、ハードルが高い場合もある。さらに今件は「世帯年収」であり、貯蓄を切り崩して生活費に充当している高齢世帯層もまた、世帯年収は低く計上されることに留意する必要はある(つまり世帯の経済状態では無く、年齢によってインターネットの利用が左右される面もありうる)。とはいえ、少なくとも相関関係において、世帯年収がインターネットを利用しているか否かに関して、連動性があることは間違いない。
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※通信利用動向調査
2017年分は2017年11月~12月に世帯向けは都道府県および都市規模を層化基準とした層化二段無作為抽出法で選ばれた、20歳以上の世帯主がいる世帯・構成員に、企業向けは公務を除く産業に属する常用雇用者規模100人以上の企業に対し、郵送・オンラインによる調査票の配布および回収の形式によって行われている。有効回答数はそれぞれ1万6117世帯(4万1752人)、2592企業。調査票のうち約8割は回収率向上のために調査事項を限定した簡易調査票が用いられている。各種値には国勢調査や全国企業の産業や規模の分布に従った、ウェイトバックが行われている。過去もほぼ同様の条件下で実施されている。
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