【衆院選】小池都知事の「天下獲り」の野望が崩れたワケ
命運がつきた?
第48回衆議院選が始まった。公示日である10月10日午後5時に立候補の届出が締め切られ、話題となっていた小池百合子東京都知事の衆院選への出馬がなくなった。これにより万が一、希望の党の公認候補全員が当選して衆議院で過半数を制したとしても、小池知事は首班指名を受けられない。
これまでどんなチャンスをも掴みとり、ピンチを乗り越えてきた小池知事だが、これは異変だ。強運で知られる小池知事の運命も、すでに尽きたのか。
そもそも若狭勝氏が国政新党を立ちあげようとした時、小池知事は「若狭が先走りする」と周辺に漏らし、乗り気ではなかったと言われている。それなのに自分が代表に就任し、結党に乗り出したのは「見ていられない」という気持ちがあったからではなかったか。9月25日に希望の党結党を発表した時、「細野(豪志)さんと若狭さんに政策作っていただいたが、リセットした」と述べたのも、その証拠だろう。
もちろん奢りもあったはずだ。結党宣言した夜にBS番組に出演して首班指名について尋ねられた小池知事は、「(公明党の)山口(那津男代表)さんがいい」と軽く言ってしまった。これに公明党が激怒しないわけがない。そもそも公明党は小池知事の国政関与は大反対だったからだ。
公明党を配慮
その公明党を「踏まれても踏まれても付いてくる下駄の雪」程度に考えていたからこそ、ああいう言葉が口から出たのだろう。都議会での連携解消が持ちあがると小池知事は山口代表に電話をかけ、詫びを入れたという。東京都議会第3回定例会の会期末に公明党が推進してきた受動喫煙禁止条例を通過させ、元公明党参議院議員を父に持つ女性幹部を副知事に登用したのは、公明党に対する“世直し”のアピールとして受け取られた。
その甲斐あって連携解消はいったん保留。都議会での与党の地位をむざむざ捨てるほど、公明党はバカではない。同党関係者は以下のように述べる。
「そもそも我々は組織として意思決定しなければならず、現場の議員の思い付きでどうなるものではない。最も大事なのは支持母体の創価学会の意向だ。“軌道修正”には時間がかかる」
いずれにしろ、選挙戦が始まり、各陣営は走り出した。小池知事はランナーにはならなかったが、選手を先導するように伴走している。選挙の後の首班指名については、「結果を見て決める」と先送りを決め込んだ。もっとも首班指名を衆院選でわざわざ明らかにした前例はない。だがわざわざ公表しなくても、有権者はだいたいわかっていた。
論理的整合性が求められる
さて選挙戦前から各世論調査が行われているが、希望の党の凋落ぶりが著しい。読売新聞は10月10日、7日と8日に行った全国世論調査で比例の投票先として希望の党が13%だったと発表。前回(9月28日29日)と比べて6ポイント下落した。NHKの世論調査でも希望の党は13.1%で、前回よりも7.3ポイント下落。その理由として考えられるのは、元民進党議員が課せられた「政策協定」なる“踏み絵”や上納金、そして音喜多駿都議らの「都民ファーストの会」離党などが話題になったこともあるだろうが、「情報公開」を旗印に揚げながら党としての意思決定システムが不透明だった点だ。
10月10日夜のBS討論番組で、希望の党から参加の松沢成文参議院議員は他の政党から「安倍政権打倒を唱えながら、選挙後に自民党と連立を組む可能性をほのめかすなんて、有権者の理解を得られない」と批判された。
この困難を小池知事はどう乗り越えていくのか。国民をあっと言わせる小池マジックは準備されているのか、それとももはや万策は尽きたのか。
選挙戦をしっかり見ていきたい。