Yahoo!ニュース

【英会話】時間がかかって面倒? 混乱してて面倒? 英語で広がる日本語の表現の幅

英語雑学エッセイスト 徳田孝一郎英語・英会話研修スクール「英語・直観力」代表

 20年ほど仕事で英語を話していますが、いまだにNative English Speakerたちに、そういう言い回しはしないよ と言われることがあります。
 そんな私の失敗英語や、今も私の周りで起こっている失敗英語を多少脚色も加えて、ご披露したいと思います。読むと自然な英語を得られるお得なエッセイです。

面倒だと思ってさ。

 このあいだのことですが、風疹(ふうしん)の抗体検査を受けてきました。かかると面倒ですし、万が一、受講生にうつしでもしたら一大事ですから。それを友人のRichに伝えたんです。
I think it’s messy to get rubella.
風疹にかかると面倒だと思ってさ。
 そしたら、Rich、ばっさりと首をふる。ちょっと予想外でどこがおかしいか、わからない。messy は面倒だ という形容詞ですし、風疹にかかる という表現もあってる。
 みなさん、どこがおかしいか、気づかれるでしょうか?

 ちょっと困った顔してると、Richが例文をあげてくれました。
The divorce was messy. その離婚は面倒だった。
Quarrels are generally messy. 喧嘩ってのは面倒なものだ。
This book is messy to read. この本を読むのは、面倒だ。
 ここまで例を挙げてくれるとさすがに気づく。
 messy面倒というのは、混乱しているとか、処理するのが難しいという場合の面倒なんです。風疹にかかるというのは、処理するのが難しくて面倒というわけではない ので、しっくりこないんですね。
 そうすると、風疹にかかるというのがどう面倒なのかということを考える必要がある。当然ですが、人にうつさないようにしないといけないし、仕事は出来なくなるし、で面倒。つまり、時間をロスにしてしまう面倒です。そういう面倒という単語があるのかとRichにきくと、それは、a painだよ、と教えてくれました。急な痛み という意味は知っていたんですが、面倒という意味にも使われるとのこと。なるほど、急な痛みがあると、動けなくなったり、病院に行かなければならなくなったりして時間をロスしますものね。確かに時間がかかって面倒です。
 じゃあ、さっきの風疹にかかると面倒だと思ってさ はこうなります。
I think it’s a pain to get rubella.
です。Richが自然な英語になったと喜んでくれました。
 日本語の面倒という言葉は、広い意味を含んでいるので便利な言葉ですが、その分ざっくりとした言葉だと気づかされたやりとりでした。
 こういうことを知ると、英語はもちろんですが、日本語でも表現の幅が広がりますね。
 たとえば、解決策が見つからなくて面倒なときは、messy(メッシィ)を使って、やろうと思えばできるけど時間がかかって面倒なときは、a pain(アペイン)を使えば一言で相手に伝わる。あ、もちろん、相手もこれを知ってないといけませんけど。会社内用語などにするといいと思います。報・連・相の質とスピードが向上です。

と、こんな感じで、Native English Speakerたちとの英語やカルチャーギャップのお話をご披露したいと思っております。
 お気に召しましたら是非ともごひいき(フォロー)くださいますようお願い申し上げます。

 最後に、クイズ的なものを。
 工夫を凝らしてラッピングされたプレゼントをもらいました。嬉しいですが、開けるのが面倒そうです。
This present is good but messy to open.
This present is good but it's a pain to open.
 どちらも使えますが、それぞれどんな風に面倒だと思っているでしょう?
 回答例はイラストの下に。

This present is good but messy to open.の方は、上手く開けられるかなという面倒さですね。
それに対して、
This present is good but it's a pain to open. は、時間がかかるなという面倒さです。
 巧く使い分けて、Native English Speakerに自分の気持ちをきっちり伝えてください。

イラスト 大橋啓子

英語・英会話研修スクール「英語・直観力」代表

英語嫌いだったが、仕事で必要に迫られ英文法をマスター。その実績を買われて英会話習得カリキュラムを作成するために英会話スクールに転職し活躍する。この時期に英文法をネタにした小説「英語の国の兵衛門」も上梓。その後Vice-presidentとして外国人のマネージメントを経験し、日本人とは違った価値観や思考法に振り回されながらも奮闘する。現在は独立し、英語・英会話研修スクール「英語・直観力」を経営している。

英語雑学エッセイスト 徳田孝一郎の最近の記事