【英会話】It's combined と言ったら、首を振られた。なんで?
20年ほど仕事で英語を話していますが、ごくごくたまに日本語にひきずられて文法的に間違った英語を口走ることがあります。この間も、日本語の受け身のイメージに引っ張られてやられました。
そんな私の失敗英語や、今も私の周りで起こっている失敗英語を多少脚色も加えて、ご披露したいと思います。今回は読むときちんとした「れる・られる」の英語が作れるようになるお得なエッセイです。
それは、日本語の無理とgame の組み合わせだね
この間のことですが、English man の友人のRich と雑談していてゲームの話になりました。ゲームと言ったってfootball のことじゃなく、オンラインゲーム。この男、モデルもやってるのにインドア派なんです。ポンギだのアカサカだのチャラチャラしたところには全然いかない。仕事が終われば、そそくさと家に帰ってヘッドセット被ってガンコントローラー(銃型のゲームコントローラーのことです)持って、異世界へゴーです。まぁ、それはそれで、奥さんは困ってるかもしれませんが。
その話の中で、ちょっとびっくりしたんですが、今のオンラインゲームはプレイヤー同士で音声で会話できるんだそうです。声かけあって敵を攻略するんだとか。へ~と思ってたら、Richからこんな質問をされました。
Toku san, what does "murige" mean? ("murige" ってどんな意味?)
一瞬、フリーズする。私の耳にはムウリゲって聞こえていて、日本語? フランス語? ドイツ語? と目まぐるしく少ない語彙を検索。でも出てこない。仕方がないのでどう言う状況で聞いたかRichに訊(き)くと、攻略がかなり難しいステージで、日本人のプレイヤーが言って来たのだとか、それでピンとくる。
答えは、無理ゲー、ですね。クリアが無理・無謀なゲームの略。最近は、現実でも使われていて、「明日の締め切りに間に合わすなんて無理ゲーだ」なんて使われ方もする。意味が判ったんで、こういって伝える。
It means like an impossible game.(クリア不可能なゲームのような って意味だね)
すると、Rich、ちょっと変な顔。なんで、murige なのって訊いてきた。まあ、日本語と英語の組み合わせですからね、不思議に思うのも無理はないんで、こう言ってみる。
It's combined with the Japanese word for MURI and game.
そしたら、Rich、今度はさらっと首を振って、徳さんにしてはめずらしい文法の間違いだねとのたまう。
みなさん、私が言った英語、どこが間違ってるかお気づきでしょうか?
問題は、be combined にあります。主語を無理ゲーをさすIt にしたんで、受動態を使って、組み合わせられている としたわけですが、これ、英文として成立してないんです。
なぜかというと、combine A with B って、AとBを組み合わせる という意味なんですが、受動態にすると、AはBと組み合わせられる という意味にしかならない。組み合わせて出来たものが文のなかに組み込めないんです。日本語では それは日本語の無理とgame を組み合わせられているよ というように組み込めるのに、そういう意味にならない。
この手の日本語と英語の動詞の使い方の違いがあるので、受動態の文を作るときは、受動態の文の主語が英語の動詞(日本語の動詞ではなく)の目的語になれるかどうかをチェックという確認事項は知ってたんですが、ふっとやってしまった間違いでした。だって、組み合わせる と言ったら、「レッツ! コンバイン!」(from コン・バトラーV)なんですもの、わたしの世代。combine 使いたくなるじゃないですか。
じゃあ、どう言えばいいのかを考えると、この場合の組み合わせるは、AとBから作られる という意味です。なので、
It's made up of the Japanese word for MURI and game.
とすると、Richは納得。伝わる英語だと言って、なるほど、muri-ge ねと感心していました。
と、こんな感じで、Native English Speakerたちとの英語やカルチャーギャップのお話をご披露したいと思っております。お気に召しましたら是非ともごひいき(フォロー)くださいますようお願い申し上げます。
でも、「レッツ! コンバイン!」の世代としては、やっぱりcombine を使いたい(しつこい)。どうやってもcombine を使えないの? とRichに訊くと、combine そのものは使えないけど、こういうのはどう? と教えてくれました。
It's a combination of the Japanese word for MURI and game.
なるほど、組み合わせられる ではなくて、組み合わせ ですね。ation が多いですけど、確かに使えます。
話は戻りますが、この受動態は能動態の目的語を主語にするもの というのは英語の現実を厳密に写し取ろうとする特徴がでていて面白いところです。~はAとBの組み合わせられたものだ というのは日本語として成立していますが、よくよく考えると、作られたものだ の方が現実に沿ってる。
英語で受け身の文を作るときは、主語が英語の動詞の目的語になるかを考えてから作ってください。ダメなときはより現実に沿ったほかの動詞を使いましょう。
イラスト 大橋啓子