自民党総裁に岸田氏選出 韓国での速報内容は?「慰安婦合意の当事者」と紹介、日韓関係展望は評価分かれる
岸田文雄氏の自由民主党総裁選出を韓国メディアの速報はどう報じているのか。
大手ポータルサイト「NAVER」にまず速報記事をアップしたのは「韓国日報」だった。総裁選の開票結果が明らかになった直後の29日15時12分にはアップ、という速報ぶりだった。
1次投票から決選投票までの基本的な情報を伝えたうえで、岸田氏に決定した経緯をこう報じている。
「今月初めまで、自民党の支持率は新型コロナウイルス感染症への失敗により急落。議会選挙(衆議院選挙)を控える時期にあって「選挙の顔」となる国民的人気の高い人物を総裁に選出すべきだとの声が強かった。しかし、9月に新型コロナウイルス感染が10分の1に激減し、総裁選が連日報道された結果、自民党の支持率は急上昇。総選挙の敗北に対する不安は弱まった。したがって自民党議員は、党内基盤が弱く、自己主張が強い河野(太郎)大臣のかわりに敵を作らない円満な性格に加え宏池会のトップでもある岸田前政調会長を選んだとみられる」
以下、速報で「岸田氏選出」を報じる韓国各紙のうち「日韓関係」の内容を抜粋する。
◆朝鮮日報(保守系)
「河野の当選を阻止しようとする安倍晋三元首相など保守主流勢力の票が岸田に結集したと仮定して当選したものと分析できる。
安倍内閣で4年7ヶ月間外相を務めた岸田は、2015年の韓日(による)日本軍慰安婦の合意を主導した人物である。それだけに慰安婦と強制徴用被害者の賠償問題については『韓国が国際法と国際合意を遵守しなければならない』とし、『韓日関係の改善のボールは韓国にある』と強調している。岸田内閣は、日米関係と価値共有を国家間の外交主軸とする安倍外交路線を維持していく方針だ。ただし岸田は自民党内でのアジア・太平洋外交を強調する由緒ある派閥『宏池會』を継承しており、『岸田大臣がきたる衆議院選挙と来年の参議院選挙で良い結果を収め、安定を得れば、この先韓日関係の改善も期待してみる価値はある』という評価ができる」
◆ハンギョレ新聞(革新系)
「(自民党が選出したのは)『改革』を打ち出した河野行政改革大臣ではなく、『安倍路線』を事実上継承するという考えを明らかにしてきた岸田前政調会長だった。
これにより、かなりの行き詰まりを見せている韓日関係は当分の間、回復のきっかけをつかむことが容易ではないと思われる。岸田新総裁は、2次安倍政権の2012年12月から2017年8月までの約4年7ヶ月の間を外相として過ごし、2015年12月28日の韓日『慰安婦』※の合意を発表している。岸田総裁はこれまで、『韓日関係改善のためには、韓国が納得できる解決策を提示しなければならない』と『ボールは韓国側にある』と口にしてきた」
※『慰安婦』のカギ括弧表記は原文のまま。
◆ソウル新聞
「岸田はソフトパワーを活用した外交政策を擁護するなど、保守・右派性向が強い自民党内では穏健派に分類される。
彼は安倍政権時代、約4年7ヶ月もの間外相を務めており、日本軍慰安婦問題に対する2015年の日韓外相合意の当事者である。これ見たとき、日本軍慰安婦問題については、『韓国が約束を守らなければならない』と主張した安倍・菅政権の路線を継続するものと思われる。
岸田は(いっぽうで)韓国との安全保障協力などの重要性を強調してきた人物でもある。この点から彼が(韓国と日本の)対立懸案を解決するための対話に積極的に出るのか注目される」
◆ニュース1
「岸田前政調会長は、2015年、安倍内閣の外相として日韓慰安婦の合意(12.28締結)へと導いた人物としても知られている。当時の合意署名の当事者である。
彼は昨年12月、日本メディアとのインタビューでも慰安婦の合意の意義について『最終的・不可逆的にこの問題(慰安婦問題)について解決すると両国で確認したこと、そしてその後、国際舞台での相互非難をやめる点を確認したことで意義が大きかった』と評価。『日本は(韓日慰安婦の合意を)履行している。韓国も履行しなければならない』と主張した」
(了)