狩猟税減免(但し一部)。それってハンター減少の歯止めになる?
野生鳥獣による被害増大を受け、ハンターを増やそうと環境省が狩猟税免除を求めていましたが(リンク:毎日新聞「環境省:狩猟税廃止を要望へ 作物被害でハンター増狙う」)、政府方針の話がそろそろ出てきました。
現在、狩猟者が狩猟者登録申請時に各都道府県に納める狩猟税は以下の通りになっています。
第一種猟銃(散弾銃・ライフル・空気銃):16,500円
第二種猟銃(空気銃のみ):5,500円
わな猟:8,200円
網猟:8,200円
上記の金額は1県のみの場合で、複数の県で狩猟を行う場合は、各県で行う狩猟に応じた狩猟税をそれぞれ納付しなければいけません。この納税額から全額免除、または半額免除を行うという事ですが、この条件に以下のような但し書きが付きます。
捕獲事業者と鳥獣捕獲員は全額免除、どういった人が対象になるかは詳細不明ですが「鳥獣駆除に協力する人」が半額という面で、それ以外のハンターは従来と同じ税額なのだそうです。
ただ、これがハンター減少の歯止めになるかは疑問符が付きます。と言うのも、鳥獣捕獲員は数年の狩猟経験を持つ猟友会員がなるのが通例で、1年生ハンターがすぐになるものではないからです。この免除方針で負担が軽減するのは経験を積んだハンターだけで、新米ハンターやこれからハンターになろうとする人の負担は変わりません。
今回報じられた減免方針では、経験を積んだハンターの減少を食い止めるのに一定の効果があるとは考えられます。しかし、ハンターは高齢化が進んでおり、2011年度の調査では全狩猟免許保持者のうち、60歳以上の占める割合が66%にまで達しています。
現役世代の三分の二が60歳以上と考えると、どれだけハンターの高齢化が進んでいるかが分かると思います。高齢化が進む中、経験者のみ対象の免税措置を取ったとしても、新規にハンターなろうとする人の助けにはならず、ハンターの高齢化が進むだけではないでしょうか。
狩猟は野生鳥獣の生息数に関連する事から、その社会的な意義が注目されていますが、ハンター個人としては趣味でやっている事に変わりありません。野生鳥獣という公共資源を獲る事について、その資源(野生鳥獣)が限られている状況なら税を課すのは公正と言えます。しかし、その資源が増え過ぎて害になっている状況で、ほとんどのハンターに影響しない免税措置をして、もっと獲れと国が言うのもどうかと思います。
国としてハンターを増やし、今後も野生鳥獣の生息数管理に繋げたいのでしたら、もう少し長期的な視野に立つべきではないでしょうか。