【富田林市】富田林のお寺にガルーダがいるとの情報!果たしてそうなのか、その寺院と正体を見てきました。
先日ネットのSNSで驚きの投稿を発見しました。それは富田林の寺院の屋根に、ガルーダの瓦があるというのです。ちょうど寺内町では鬼瓦の展示会をしてそれを紹介しましたが、ガルーダとはちょっと驚きです。
さて、ガルーダをおさらいすると、これは古代インドの神話に出てくる神鳥です。
しかしインド国内だけではなく、他の国でも登場する鳥で、タイ王国の国章でもあり、インドネシアの国営航空会社の名前にガルーダが使われるほど馴染みのある存在です。
仏教を通じて日本にも入ってきており、迦楼羅(かるら)あるいは金翅鳥(こんじちょう)と言う名前、仏を背負って宇宙や世界を飛ぶと伝わります。
タイやインドネシアのイメージが強いとはいえ、仏教の世界にも存在しているので、寺にガルーダ(金翅鳥)がいてもおかしくありません。しかし、富田林と言っても広く、どの寺院なのか、投稿されている画像だけでは見当が付きません。
そこでいろいろと調べてみました。瀧谷不動尊、願昭寺など有名どころから、融通念仏宗の寺院まで幅広く調べました。画像検索などで見ましたが、それと同じものはやはり見つかりませんでした。
どうしたものかと思っていたところ、紹介されている画像がガルーダ以外の神鳥ではと思いつき、改めて調べたところ、ついに見つけました!ガルーダではなくカリョウビンガ(迦陵頻伽)がその正体だったのです。
カリョウビンガとは、共命鳥ともいわれる仏教世界の想像上の生物です。阿弥陀経ではカリョウビンガがいる世界は浄土で、如来の教えを称えているそうです。
では、そのカリョウビンガの瓦のある寺院はどこかと言えば、寺内町にある富田林御坊こと興正寺別院とのこと。富田林で最も有名な寺院にあったんですね!すごい。
ということで確認のために寺内町に向かいました。
いつも見ている寺院でも、瓦まで見ていなかったので気づきませんでしたが、今回は瓦がついている屋根を探します。
興正寺の前に来ました。
情報でカリョウビンガの瓦があるという正面の山門のほうを回ってみましょう。
いつもの山門の前に到着しました。
さて上を見ます。屋根の上に何かいるのがわかります。
こちらです。これがカリョウビンガの瓦です。一見、人が立っているだけのように見えますね。
しかし、後ろを見ると、胴体が鳥のように見えます。
角度を変えてもう一度撮影。ただしこのカリョウビンガはネットで見たものとは少し違います。では反対側の瓦はどうでしょう。
こちらです!この瓦こそがネットの情報でガルーダと間違えたカリョウビンガの瓦です。
角度を変えれば明らかに羽が生えていて、顔が人で胴体が鳥の姿をしていますね。
想像上の神鳥というくくりで考えれば、カリョウビンガよりもガルーダのほうが知名度があるので、ネットの人はガルーダと間違えたのでしょう。
ちなみに富田林興正寺別院山門は江戸時代初期に建てられたもので、国の重要文化財です。京都にある興正寺北門を1857(安政4)年に現在地に移築したもので、一説には伏見桃山城の遺構ともいわれています。
ということで富田林にはガルーダではなく、カリョウビンガの瓦があることがわかりました。なかなか屋根瓦まで見ることはないかもしれませんが、寺内町センターでは8月末まで鬼瓦の展示会をしています。
次に、興正寺別院の近くを歩く機会があれば、上を見上げてぜひ確認してみてはいかがでしょう。
興正寺別院(富田林御坊)山門の迦陵頻伽(カリョウビンガ)
住所:大阪府富田林市富田林町13-18
アクセス:近鉄富田林駅、富田林西口駅から徒歩で約8分
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