「30盗塁以下の盗塁王」。1950~2020年は計10人、2021年は5人
今シーズン、25盗塁以上を記録した選手は、30盗塁の中野拓夢(阪神タイガース)しかいなかった。セ・リーグの2位は、中野とチームメイトで24盗塁の近本光司。パ・リーグは、24盗塁の4人、千葉ロッテ・マリーンズの和田康士朗と荻野貴司、埼玉西武ライオンズの源田壮亮、北海道日本ハム・ファイターズの西川遥輝が、タイトルを分け合った。
2リーグ制となった1950年以降における、30盗塁以下のタイトル・ホルダーは以下のとおり。2020年までのパ・リーグは、1993年に31盗塁の大石大二郎が最少だった。
30盗塁以下の盗塁王は、1950~2020年の計10人に対し、2021年は5人を数える。これは、パ・リーグに盗塁王が4人いるのが理由だ。もっとも、30盗塁以下の選手がリーグ最多のシーズンは、21世紀に入ってから増えている。1950~2000年は5シーズン、2001~2021年も5シーズンだ。2021年はセ・リーグもパ・リーグもそうなので、これを2シーズンとして数えると、21世紀は6シーズンになり、早くも20世紀を上回る。
近年の減少傾向は、セ・リーグのほうが著しい。2011年以降、40盗塁以上の選手は皆無。35盗塁以上も3人。2014年に39盗塁の梶谷隆幸(当時・横浜DeNAベイスターズ/現・読売ジャイアンツ)、2017年に35盗塁の田中広輔(広島東洋カープ)、2019年に36盗塁の近本だけだ。一方、2011~20年のパ・リーグでは、9人が延べ15度、40盗塁以上を記録している。
リーグ全体としても、セ・リーグとパ・リーグには違いがある。近年に限ったことではないかもしれないが、2011~21年の11シーズン中9シーズンは、パ・リーグがセ・リーグより90盗塁以上多く、そのうちの8シーズンは110盗塁以上の差がついている。
これは、DH制の有無では説明がつかない。投手とDHの差を、それぞれの代走を含めて多めに見積もり、1チームにつき10盗塁としても、理由がそれだけであれば、両リーグの差は60盗塁前後(10盗塁×6チーム)になるはずだ。
なお、今シーズンのパ・リーグで盗塁王を獲得した4人については、こちらでも書いた。