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センバツ初戦注目カードをピックアップ! 機動破壊とナンバーワン捕手の対決など5カードを厳選

森本栄浩毎日放送アナウンサー
報徳学園は近畿大会で大阪桐蔭に肉薄した。機動力の健大高崎と当たる(筆者撮影)

 センバツの開幕が目前に迫った。10日の抽選会では好カードが続々と決まり、ファンの皆さんも開幕を心待ちにされていることだろう。初戦のカードから、いくつか注目試合をピックアップしたい。

山梨学院打線対東北の大型エース

 開幕戦から好カードになった。昨春から3大会連続出場となる山梨学院は、強敵と当たって春夏連続初戦敗退に終わった昨年の雪辱を期す。ただし今回も、相手は相当強い。東北(宮城)のエース・ハッブス大起(3年)は188センチの長身から最速145キロの速球を投げ込む。救援陣も多彩で、甲子園経験者5人を擁する山梨学院打線も大量点は見込めないだろう。前チームから4番を打つ高橋海翔(3年)、主将の進藤天(3年)らが、勝負所で流れを引き寄せるような打撃を見せて、勝機を手繰り寄せたい。

左右の強打者、広陵・真鍋と二松学舎・片井が直接対決

 優勝候補の広陵(広島)は、今世代を代表する左の強打者・真鍋慧(3年)が健在。神宮大会では2年連続本塁打を放つなど、早くから注目されてきた。189センチ90キロの堂々たる体格で、打席では風格が漂う。対する二松学舎大付(東京)にも片井海斗(2年)がいる。1年で4番を任された昨夏、社(兵庫)戦で本塁打を放ち、鮮烈な甲子園デビューを果たした。秋も公式戦8試合で3本塁打と好調を維持し、2度目の大舞台に戻ってくる。両校とも投手力が高く、簡単には打たせてくれないだろう。徹底マークをかいくぐって、チームに勢いをつけるのはどちらか。

夏春連覇に挑む仙台育英は清原の慶応と

 昨夏、東北勢初の甲子園制覇を果たした仙台育英(宮城)の初戦の相手は、強打の慶応(神奈川)に決まった。高橋煌稀湯田統真の両右腕と、左腕速球派の仁田陽翔(いずれも3年)ら優勝経験者が揃う投手陣は大会随一。対する慶応は、NPB通算525本塁打の清原和博氏(55)の次男・勝児(2年)ら、強打者が並ぶ。秋のチーム打率は今大会36校中2位で、15本塁打は1位。文字通り、最強投手陣と最強打線の対決となる。仙台育英は神宮大会で、投手交代機につけ込まれて大阪桐蔭に敗れている。清原が打席に入った時の球場の雰囲気にも注目したい。

2度目の春連覇を狙う大阪桐蔭は難敵・敦賀気比と

 大阪桐蔭は過去、甲子園で2度対戦して1勝1敗の敦賀気比(福井)と初戦で当たる。史上初となる2度目の春連覇へ、第一関門だ。絶対的エース・前田悠伍(3年=主将)がいる大阪桐蔭の優位は動かないが、気比の試合巧者ぶりは侮れない。投手陣は多彩ながら守りで崩れる心配がなく、昨秋は公式戦7試合でわずか1失策(36校中1位)と、鉄壁を誇る。大阪桐蔭の今チームは打線の破壊力が例年より落ちるため、終盤まで競り合う展開は避けたい。逆に気比は、ワンチャンスで盛り返せる展開に持ち込めれば勝機が出てくる。

伝統の機動力復活の健大に立ちはだかる報徳の堀

 特長のあるチームは勢いに乗りやすい。甲子園で「機動破壊」と称される果敢な走塁を見せ、相手守備陣をかき乱した健大高崎(群馬)。一時期、自慢の足を封印し強打のチームに方向転換したが、今回は「原点回帰」する。初戦で当たる報徳学園(兵庫)には、全国ナンバーワン捕手の呼び声高い堀柊那(3年=主将)がいて、いきなり真価を問われることになりそうだ。俊足の増渕晟聖(3年)、半田真太郎(3年)らが出塁すればまず走る。序盤に堀が刺すかどうかで、試合の趨勢が決まるほどの、見応えある攻防が繰り広げられるだろう。

初勝利を狙うチーム同士など注目対決も

 今大会は4年ぶりの「リアル抽選会」となり、全国大会にふさわしいカードが並んだ。昨夏の甲子園は初戦敗退でセンバツは初出場となる能代松陽(秋田)と、21世紀枠の石橋(栃木)の対戦や、過去2度の夏は未勝利でセンバツは初めての(山口)と、今大会の一般枠で唯一の甲子園デビュー校となる彦根総合(滋賀)の試合など、メモリアルな白星を懸けた戦いにも注目したい。

毎日放送アナウンサー

昭和36年10月4日、滋賀県生まれ。関西学院大卒。昭和60年毎日放送入社。昭和61年のセンバツ高校野球「池田-福岡大大濠」戦のラジオで甲子園実況デビュー。初めての決勝実況は平成6年のセンバツ、智弁和歌山の初優勝。野球のほかに、アメフト、バレーボール、ラグビー、駅伝、柔道などを実況。プロレスでは、三沢光晴、橋本真也(いずれも故人)の実況をしたことが自慢。全国ネットの長寿番組「皇室アルバム」のナレーションを2015年3月まで17年半にわたって担当した。

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