中学生は平均3860円…子供のこづかい額をさぐる(2024年公開版)
他世帯の事情がつかみにくい一方で、世間全般の状況が気になるお金関連の話の一つが子供のこづかい額。その実情を金融広報中央委員会の「知るぽると」が毎年実施している調査「家計の金融行動に関する世論調査」(※)の公開結果から確認する。
調査対象母集団のうち二人以上世帯で子供がいる世帯に対して、その子供に渡しているこづかいの金額を尋ね、平均値を算出した結果が次のグラフ。例えば小学校入学以前の子供に対してはよくあるケースだが、何か欲しがった時に買い与えるなどして、普段はこづかいを渡していない世帯は平均換算には含まれていない。
小学生は2000円前後で法則性のたぐいは無く、中学生では3860円が平均額となる。高校生では6629円、大学生は(こづかいをもらっているとすれば)平均で2万2208円。相場観としては「大体こんなところか」「やや中高生の額が低いような」との感想を抱かせる値ではある(この理由は後ほど推測する)。
このこづかい額の平均推移を高校生以下に限り(大学生はケタ違いに大きいためグラフが見難くなるので省略)、1971年以降について見たのが次のグラフ。
1980年にかけて一定の上昇が見られた後は、高校生以外は(多少の起伏はあれど)ほぼ一定額を維持しているのが分かる。
小学校入学以前は安定感が低く、1000円前後を大きく行き来し、2016年では2300円近くに跳ね上っているが、これは対象世帯数が少ないのが原因。詳細値の2016年分を確認すると、小学校入学以前の子供を持つ世帯数は、今調査対象母集団においては17世帯のみとなっていた。さらに例えば2016年で確認できる範囲では、最高額が3万円、最低額が100円となっており、大きなぶれが生じるのも仕方がない。
一方1980年代後半では中学生・高校生で明らかに大きな減少、小学生でも小規模な減少が見受けられる。いわゆる「バブル崩壊」の少し前に、子供のふところ事情には崩壊が起きていたことが確認できる。
高校生については前世紀末から起伏を繰り返しながら、少しずつ減少する動きが見られる。単に親の懐事情が厳しくなっている、あるいは高校生が使う携帯電話の電話料金を親に(一部)肩代わりしてもらう代わりに、フリーハンドで使えるおこづかいが減らされているのか。後者と考えた方が道理は通る。その実情は同じ金融広報中央委員会「知るぽると」で定点観測されている「子どものくらしとお金に関する調査」の結果からも明らかにされている。
他方、2021年では子供の学校種類を問わず、大きな増加が生じている。これは突然子供のこづかい関連で景気がよくなったのではなく、二人以上世帯における調査方法が従来の訪問・郵送の複合・選択式から、2021年以降はインターネットモニター調査法に変更されたことが影響しているものと思われる(調査文言に変更は無し)。
なお世帯年収別で子供のこづかい額が変わるか否かだが、少なくとも今調査に限れば関連性はほとんど見られない。かろうじて高校生が高年収の世帯ほど子供のこづかい額も大きくなるように見える程度か。
世間一般にイメージされるような「世帯年収が多いほど子供のこづかいも多くなる」といった傾向はないようだ。
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※家計の金融行動に関する世論調査
直近分となる2023年分は世帯主が20歳以上80歳未満の世帯に対しインターネットモニター調査法で、2023年6月23日から7月5日にかけて行われたもので、対象世帯数は単身世帯が2500世帯、二人以上世帯が5000世帯。過去の調査も同様の方式で行われているが、二人以上世帯では2019年分以前の調査は訪問と郵送の複合・選択式、2020年では郵送調査式だった。
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(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。
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