2年ぶりのリングに上がるWBAウエルター級チャンプ
2022年4月16日にWBAウエルター級王座に就いたエイマンタス・ スタニオニス。リオ五輪では2戦目で姿を消したが、アマチュア時代から祖国リトアニアで将来を嘱望されていた男である。
現在14戦全勝9KOのスタニオニスだが、丸2年もリングから遠ざかっていた。世界タイトルを保持していても、リトアニア人である彼が米国で客を集めるのは難しい。そんな事情でなかなか試合が組まれなかったのだ。
その彼が5月4日にリングに上がる。挑戦者は、元WBA同級暫定王者のガブリエル・マエストレ。
「来月、来月、またその次の月……僕はプロだぞ。『いつになったらリングに上がれるんだ』って思っていた。でも、その分、ハングリーな気持ちで激しい練習をこなした。
祖国のファンからは毎日のように『次戦はいつ?』と訊かれたよ。『何も決まらないんだ』って答えるしかなかった。ようやく防衛戦ができるので嬉しいよ。素晴らしいファイトで応えたい」
先週行われたバーチャル記者会見で、現WBAチャンプは言った。
「長い時間が経ったが、リングに戻ることが叶って本当に心が躍る。シンコ・デ・マヨの週末に、こんなビッグイベント内で戦えるのは素晴らしいことだ。自分の感情がどれほど高ぶっているのかを、上手く説明することはできないな。私は挑戦者、マエストレのことをよく知っており、5月4日に拳を交えることが楽しみでならない。
試合が決まりそうで決まらないという現実に対処するのは、とてもフラストレーションが溜まった。僕は、ただただ戦いたかった。それでも、常に規律を保ち、熱心にトレーニングを続けた。いつかチャンスが来ると信じ続けたんだ。
5月4日、僕はこれまでのように熱いパフォーマンスを披露する。シンコ・デ・マヨの週末に戦うのだから、何か特別なモノをお見せする必要があるよな。いずれは統一戦をやりたい。バリオス対マイダナの勝者と戦って、ベルトを増やすのもいいね。
これほど勝利に飢えたことはないから、熱の入ったトレーニングをしてきた。僕のファイトを待ち続けてくれた皆さんに、母国への愛を込めて最高の戦いをお届けする。僕はアスリートとして生きているので、リングで錆びついた姿は絶対に見せないさ。自分を律することを弁えているから、コンディションもとても良いんだ」
2年に及ぶスタニオニスのブランクを考慮したうえで、選ばれた挑戦者のガブリエル・マエストレは37歳。プロでは8度しかリングに上がっていない。6勝(5KO)無敗1分け1ノーコンテスト。ここで躓いていては、チャンピオンに次は無い。
それにしても、祖国リトアニアを離れて米国でプロ生活を送る世界ウエルター級チャンプが、これほどリングに上がれない状況に立たされるとは……。WBAが指名試合を強行しなかった事実を鑑みても、ボクシング界に蔓延る政治力を見せ付けられる思いだ。