拳四朗「気づいたら倒していた」KO勝ちの秘訣は自然体
9月8日渋谷某所で、筆者(木村悠)と拳四朗(27=BMBジム)によるトークショーが行われた。
拳四朗は、7月12日に大阪で行われたWBC世界ライトフライ級タイトルマッチにて、挑戦者のジョナサン・タコニン(比)を迎え、
4回TKO勝ちで6度目の防衛に成功した。
トークショーには80名が参加。拳四朗は拍手の中、お馴染みのピースサインで登場。
トークの中では、アニメ【北斗の拳】のような名ゼリフを連発して、会場を大いに盛り上げてくれた。
名は「拳四朗」
ーーーお馴染みのピースサインですね。
拳四朗:最初は本当に嬉しくて、やっていただけでした。
ーーーいつ頃からやっていたのですか?
拳四朗:世界戦ぐらいからですね。
ーーー拳四朗という名前はどういう由来で付けられたのですか?
拳四朗:僕のお父さんが『北斗の拳』が好きで、そこからです。
ーーーかなりインパクトがある名前ですよね。
拳四朗:ですから、プロでも「拳四朗」だけで行こうと。
ーーー名字は何ですか?
拳四朗:寺地です。
ーーーアマチュアのときは、「寺地拳四朗」ということですね。
拳四朗:そうです。アマチュアの頃は「寺地さん」と呼ばれていました。
ーーー「芸名ではないの?」とか言われたりしないですか。
拳四朗:よく言われます。その度に「本名です」と(笑)。
KO勝ちの秘訣
ーーー7月に大阪で行われた世界戦はどうでしたか?
拳四朗:1R目から思ったより相手が攻めて来たので少し焦りましたが、冷静に距離を取れたと思います。
ーーー試合前に立てた作戦はありましたか?
拳四朗:自分のスタイルで、いつもどおり距離を取って、ジャブを突いて、それでいつか右が当たれば倒せるだろうと。
それほど細かい作戦は、たてていませんでした。
ーーー拳四朗選手は世界タイトルを6度防衛し、4回はKO勝ちしていますよね。
KOのコツやタイミングは、どこで掴みましたか?
拳四朗:実はよく分からないです。この前の試合でも、KOしたのが分からなかったし、気付いたら倒している事も。
まだ掴めてないので、いつもそれを掴みたいと思っています。
ーーーコツやタイミングがまだ分からないと。
拳四朗:本当に流れで、自然と当たって倒しているという感じなので。
ーーー倒した感触とかはあるのですか?いい感じでパンチが入ったなとか?
拳四朗:全くないです。
ーーー気付いたら倒れていたと。
拳四朗:そうです。そのような事はないですか?
ーーー僕はあまりKO率は高くないので、すみません(笑)。
よくKOしている人に聞くと、何気ないパンチで倒していると聞きます。
ですから、倒そうと思ったパンチではなく、倒した後も気付かないでパンチを打つ、
返しのパンチを打っているというパターンが多いのだと思います。
拳四朗:倒そうと思うと倒れないものですよね。力んでいるから余計な力が入ってしまう。
だから、僕は倒さないでやろうと思ってやっています。
でも、距離がうまくなってきたので、一番いい距離で当たったら倒れるのかな、というのはあります。
ーーーなるほど。その後も結構パンチを打っている感じですか?
拳四朗:前回も気付いていないから、少しだけ打っていました。
ーーー相手はやはり強かったですか?
拳四朗:パンチもありましたし、強かったです。くっついたときの連打がやはり上手かったです。
拳四朗のスタイル
ーーー拳四朗選手は、どういうスタイルで戦っているのですか?
拳四朗:距離を意識して足を止めない、ジャブを出し続けるというのをしていたら、段々相手がバテてきて、
そこから右をどんどん出して、倒しに行くような感じです。
ーーー今までプロで16戦していますけど、その中で苦戦したのは?
拳四朗:世界戦の1回目と2回目は両方ギリギリの判定でした。
ーーーガニガン・ロペス戦とペドロ・ゲバラ戦ですね。
拳四朗:苦戦しました。その次から距離感を意識して、そこからは良くなってきました。
ーーー何か変わったきっかけはありましたか?
拳四朗:三迫ジムに行きはじめて、トレーナーと上手くいったのは大きいです。
ーーー今は、京都出身のお父さんがやっているBMBジム出身で、その世界戦の前後ぐらいから、東京を拠点に?
拳四朗:そうです。少しずつ行きだして、がっつりになったのは、多分3戦目のときぐらいです。
今は練習も、ほぼ東京でやっています。
試合の対策
ーーー拳四朗選手は、相手の対策を自分でするタイプですか?それともトレーナーに任せるタイプですか?
拳四朗:トレーナーです。僕は一切しません。
ーーー 一切ですか?
拳四朗:一切しません。動画も見ないので。
ーーー動画を見ないというのは大切ですよね。
僕も、山中慎介さんに「あまり動画を見すぎると、ギャップが生まれるので、その情報を入れすぎると、自分の動きができなくなる」
と言われました。
拳四朗:僕は何も変わらないのと、ただ興味ないからです。
ーーーもう自然体なのですよね。
拳四朗:好きで始めたわけではないから、ボクシングを観ようというのがあまりなくて。
ーーーボクシングを始めたきっかけは?
拳四朗:始めたのは、中学3年生の時ですね。
あまり勉強ができなくて、高校に行けないとなったときに、お父さんがボクサーだったので
「ボクシングで高校へ行くか」という話になって、ギリギリでボクシングを始めました。
何とか推薦をもらって、嫌々高校に入学できました。
ーーーなるほど(笑)。僕もいろいろなチャンピオンを取材していますが、ボクシングが好きでない人、練習が好きでない人は多いです。
それでは、高校から本格的にボクシングを始めたということですか?
拳四朗:そうです。
ーーー高校の時はどうでしたか?
拳四朗:最後のインターハイで、準優勝まで行きました。
ーーー井上尚弥選手とも対戦したと聞いたことがあります。
拳四朗:高校で2試合しました。
ーーー高校何年生のときですか。
拳四朗:多分、3年生の時です。インターハイと国体でしょうか。
ーーー年は井上選手が2歳下なので、1年生と3年生ということですかね?
拳四朗:そうです。
ーーー結果はどうでしたか?
拳四朗:どちらも負けました。相手は1年ではないですか。その時にはもう有名だったのです。
ーーー当時の井上選手の印象はどうでしたか?
拳四朗:その時、僕はそんなにボクシングに興味がなかったのですが、とても強かったのは覚えています。