早稲田大学・加藤広人新キャプテン、初戦黒星も「そのポジションで一番に」【ラグビー旬な一問一答】
大学選手権では歴代最多の優勝15回を誇る早稲田大学ラグビー部は、山下大悟監督体制2季目のシーズンを迎えている。キャプテンを任されるのは加藤広人だ。
身長186センチ、体重103キロの21歳で、秋田工業高校時代からロック、フランカー、ナンバーエイトとして機動力を買われてきた。早稲田大学入り後も20歳以下日本代表、ジュニア・ジャパンなどへ選出されるなど、着実に成長を重ねる。
4月23日、東京・早大上井草グラウンド。関東大学春季大会のAグループ初戦で大東大に0―27と完封負けした。背番号8をつけてフル出場した加藤は、悔しさをにじませながら単独取材に対応。決意を明かした。
以下、一問一答の一部(編集箇所あり)。
――悔しい初戦。どんな印象でしたか。
「セットプレー(プレーの起点)は明らかに悪く、外に振って前に出ることはできたのですが、トライを取り切れなかった。(タッチライン際の選手が)まず内に切れ込めばよかったところ、『行けそうだから』と外と行ってもそれで出されてしまっては…。(詳細は)ビデオを見ないとわからないですが、しっかりと反省したいです」
――山下監督体制下、組織防御や肉弾戦に注力しています。その観点からは。
「ブレイクダウン(接点)では下にタックルをして、(接点を)越えきってターンオーバーという場面もあった。悪くはなかったと思います。ただ、ボールが跳ねたところでのすれ違いで…(相手に走られたり)というところが多かった。ルーズボールへの反応は、練習云々のところではない。個人の意識の問題。僕が監督と一緒にそう呼び掛けて、ハングリーにいきたいです」
――改めて、キャプテン就任の経緯は。
「新体制発表の3~4日前、監督に個別に呼び出され、伝えられました。僕らの代では長く試合に出ている人が少ないので、ある程度は覚悟をしていました」
――いざ就任し、意識していることは。
「僕はヨッちゃん…横山陽介選手みたいに大きな声で指示を出すタイプではない。もちろん、そういうこともしなければいけないんですけど、まずはプレーで引っ張りたいです。僕自身が、大学ラグビー界のいまのポジションで一番の選手になる。そうなることによって、リーダーシップを発揮したいです。そこができないと、僕の言葉も軽くなってしまうので」
――いまのところ、大変なことはありませんか。
「スタンドオフの岸岡智樹、スクラムハーフの斎藤直人(ともに2年生)、それにヨッちゃんと、要所、要所でしゃべってくれる仲間がいる。そのおかげで、『キャプテンだからこうしなきゃ』というものは少ないです。グラウンド外では、もし仕事のミスなどの問題が起きた場合は寮長や主務と話すことになると思いますが、苦ではないです」
――「ヨッちゃん」こと横山選手。昨季は怪我に泣いていましたが、今季は最後尾のフルバックで堂々たる指示と攻撃スキルを披露しています。加藤選手にとっては、金足西ラグビースクール、秋田北中学校で一緒にプレーした仲です。
「高校だけは違いますが、小学校から一緒。尊敬しています。試合での結果(ひらめきのあるプレー)からいろいろなことを思われがちですが、ラグビーに対して真面目です」
――横山選手は、高校から神奈川の桐蔭学園高校に進みます。
「ヨッちゃんは勉強もできたので、秋田中央高校かシューコー(県下有数の進学校である秋田高校)へ行くのかな、と思っていたんですが、桐蔭…と。最初は冗談だと思っていたんですが!」
――最後に。今年をどんなシーズンにしたいですか。
「チームが日本一になるために、僕が前に出る。全員で日本一になれたらと思います」
人気クラブの船頭役に、愚直な青年が屹立する。