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スイス、ジュネーブ警察:不法ドローン対策に「鷲の警官」2羽を訓練予定

佐藤仁学術研究員・著述家
(The Times)

不法ドローン捕獲に空から「鷲の警官」

 スイスのジュネーブ警察が、不法なドローンを取り締まるために「鷲(わし)の警官」を導入することを明らかにした。2羽の鷲が訓練される予定で、不法なドローンを見つけると、空から飛んでいき、そのドローンを捕獲する。

 ジュネーブ警察のスポークスマンのSilvain Guillaume-Gentil氏は「2018年内に訓練を終える予定だが、鷲は生き物なので、実際に訓練してみないと、どうなるかはわからない」とコメントしている。

 スイスでは空港から5キロ以内ではドローンの飛行は禁止されている。それでも2017年5月にはチューリヒ空港でドローンと飛行機が衝突しそうになった。2016年には同じような衝突未遂事故が30件あった。スイス事故調査委員会は「ドローンと飛行機が衝突してしまうのも、時間の問題だ」と指摘している。

オランダでは「鷲の警官」導入を断念

 「鷲の警官」を導入しようとする試みはスイスが初めてではない。フランスでも警察が鷲を訓練をしている。またオランダの警察でも2016年から鷲を活用して不法ドローンの捕獲を行おうとしていた。100人がかりで4羽の鷲をトレーニングしていたが、2017年12月には「鷲の警官」の導入を断念した。

 オランダの警察が「鷲の警官」の導入を断念したのは、トレーニングコスト、エサ代、ゲージ代など維持コストが高いことと、実際に出動機会の場面がほとんどないことが理由だった。そのため、まだ実際の不法ドローンを空から鷲の警官が捕獲したという事例はない。

▼オランダでは以下の動画のような訓練を行っており、不法ドローンを捕獲する予定だった(BBC)

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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