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大谷翔平は新人王を受賞できるのか。逃すとすれば、誰にさらわれるのか

宇根夏樹ベースボール・ライター
ミゲル・アンドゥーハー(ニューヨーク・ヤンキース) Jun 29, 2018(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 ア・リーグの新人王を受賞するのは、大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)かミゲル・アンドゥーハー(ニューヨーク・ヤンキース)のどちらかだろう。大谷のチームメイトであるハイメ・バリーアをはじめ、活躍しているルーキーは他にもいるが、彼らの得票は大谷とアンドゥーハーに及びそうにない。

筆者作成
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 アンドゥーハーは右打ちの三塁手だ。年齢は23歳。ニューズデイのジョン・ベルらによると、憧れの選手は同じドミニカンの三塁手、エイドリアン・ベルトレー(テキサス・レンジャーズ)だという。

 2人の打撃成績は、スラッシュライン(打率/出塁率/長打率)などを比べると、互角あるいは大谷が少し上に見える。ただ、アンドゥーハーが122試合に出場しているのに対し、大谷の野手出場は78試合に過ぎない。スタメンに限れば119試合と56試合なので、倍以上の差がある。本塁打を打つペースは大谷が上だが、本数はアンドゥーハーが7本多い。安打や二塁打はダブル・スコアだ。

 もっとも、大谷は投手としても、9登板で4勝1敗、防御率3.10を記録している。また、DHの大谷と違い、アンドゥーハーは三塁を守っているが、好守とは言い難い。DRS-23とUZR-13.2は、ともに両リーグの三塁手ワーストに位置する。

 これらをまとめると、大谷は約1ヵ月欠場し、投手としては2ヵ月しか投げていないが、いずれも好成績を残している。一方、アンドゥーハーは守備成績のマイナスが目につくものの、ほぼフル出場していて、打撃は好成績だ。

 二刀流のインパクトを考えると、大谷が優勢のような気もするが、どちらが受賞するかは、まだ予断を許さない。大谷の投手復帰を含め、ここからの2人の成績が、新人王の行方を左右することになるかもしれない。

 ちなみに、後半戦に入ってからのアンドゥーハーは打率.344、出塁率.363、OPS.972、10本塁打、10二塁打。それに対し、大谷は打率.263、出塁率.333、OPS.912、8本塁打、6二塁打だ。アルバート・プーホルスが左膝の手術を受けてシーズンを終えたため、大谷は出場機会とともに本塁打をグッと増やしてもおかしくないが、左投手と対戦することで、スラッシュラインを下げる可能性もある。

 なお、新人王は記者30人――それぞれの球団が本拠地を置く都市から2人ずつ――の投票によって決まる。各記者が1位(5ポイント)、2位(3ポイント)、3位(1ポイント)を挙げ、合計ポイントの最も多い選手が「ジャッキー・ロビンソン・ルーキー・オブ・ザ・イヤー」を手にする。

 フォーマットは変遷しているが、過去には2度、2選手が最多ポイントで並んだ。1976年のナ・リーグはブッチ・メッツガーパット・ザッカリー、1979年のア・リーグはジョン・キャスティーノアルフレット・グリフィンが、揃って新人王を受賞した。現在、グリフィンはエンジェルスで一塁コーチを務めている。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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