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2018年最高の“美ボディ女神”、「ボディメイクは自己満足→競い合いの時代へ」

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
チョン・ヘビン(写真提供:SPOMAX/MAXQ)

日本の「筋トレ女子」や「腹筋女子」と同じく、身体を鍛える女性が増えている韓国。現在は全国各地で年間150以上の数多くの美ボディコンテストが開催されており、その数は10年前の2倍以上に上ると言われている。

そこから輩出された“マッスル美女”たちも人気を集めているが、そのなかでも特に最近、注目度が急上昇しているのが“9頭身の女神”と呼ばれるチョン・ヘビンだ。

もともと韓国には、ユ・スンオク、レイヤン、チェ・ソルファなど人気と知名度を誇る“マッスル美女”たちが多いが、チョン・ヘビンは2018年にもっともブレイクした“マッスル美女”とされている。

(参考記事:選ばれし7人の“マッスル美女”。時代が求め大衆が憧れるミューズ(女神)たち

チョン・ヘビンは今年10月、韓国でもっとも有名なフィットネス大会『マッスルマニア』で、ミズ・ビキニ・トール部門1位とコマーシャルモデル部門グランプリ(最高賞)を受賞し、一躍人気者になった。

『マッスルマニア』からは、日本の週刊誌でグラビアも披露したイ・ヨンファなど、これまでも数多くの人気フィットネスタレントが輩出されてきたが、チョン・ヘビンもその例に漏れず注目を集めている。「2018年最高の美ボディ女神」と報じるメディアもあるほどだ。

そんなチョン・ヘビンとソウルで行った独占インタビューをこれまで2回にわたって紹介してきたが、最終回の今回は韓国、そして日本のボディメイクブームに対する彼女の印象と感想などを紹介しよう。

“美ボディ女神”に憧れる韓国女性たち

「ここ数年で身体を鍛える女性が増えていることは私も感じます。最近は、さらに一段階バージョンアップした気もします」

韓国のボディメイクブームの現状について質問すると、そう切り出したチョン・ヘビン。“一段階バージョンアップした”とはどういうことか。

「これまでは、鍛えた身体を披露するボディ・プロフィール写真を撮るのが女性たちの目標でした。健康的で美しい肉体を写真に収めて、記録するんです。

でも今は、そんな自己満足で終わらず、美ボディを競い合う大会に挑戦する女性が増えてきています。いまや美ボディコンテストに出場するのが韓国女性たちの間でブームになっているといってもいいでしょう」

たしかにそうかもしれない。韓国スポーツをウォッチしていても、ここ数年はフィットネス大会の出場者がメディアに取り上げられることが増えているのを感じる。

大会受賞者が表紙に登場したフィットネス専門誌『MAXQ』が完売したこともあった。

(参考記事:必見の美ボディ女神グラビア表紙。韓国軍人も熱狂マガジン『MAXQ』とは

「大会に出るなら今しかない。最初で最後の思い出を残そう。そう考えて大会を目指す女性たちが多いですね。ほかならぬ私も、そう考えて『マッスルマニア』に出場しました」

少女時代も「ボリューム感」に注目

そんな韓国と同じく、日本でもボディメイクが女性たちの間で流行している。そのことを伝えると、チョン・ヘビンは「日本の女性たちが身体を鍛える様子もインターネットで見ていますよ」というのだから意外だった。

もともと日本のアニメ好きで『ONE PIECE』や『最遊記』のファンという彼女は、日本の女性たちのトレーニングにも関心を持っているという。

「日本のボディメイクブームは、私も耳にしています。美ボディ自慢のタレントや女優も増えているんですよね? そうした話を聞くと、欧米のトレンドがアジアにも伝播しているのを感じますね。

これまで韓国や日本では、ボディメイクに馴染みがありませんでした。ウェイトトレーニングで筋肉をつけるというと、ムキムキのボディビルダーをイメージする人が多かったと思います。

しかし欧米では近年、フィットネスがブームになり、“美ボディ”の概念も変わりました。トレーニングで引き締まった筋肉や、割れた腹筋が美しいと見られているのです。その流れが最近になって韓国や日本に流れ込んできたのではないでしょうか。

韓国では男性の意識も変わってきていて、今は痩せ細った女性より、身体を鍛えている女性の方がモテるんですよ」

実際、最近は男性人気の高いK-POPアイドルも、SNSなどでトレーニング姿をアピールすることが多い。一昔前にはほっそりした体型が女性たちの憧れの的だった少女時代も、近頃は「ボリューム感」に関心が集まるようになった。

(参考記事:少女時代ユリ、大胆な衣装のティーザー写真公開。ソロ活動への期待感高まる【PHOTO】

ブームに火をつけた“世界大会”が目標

そんなボディメイクブームが巻き起こるなかでチョン・ヘビンも注目されたわけだが、彼女には今後、達成したい目標があるという。

それは、『マッスルマニア』の世界大会に出場することだ。

振り返れば、韓国のボディメイクブームも、2014年に行われた『マッスルマニア』世界大会で“奇跡のDカップ女神ボディ”と呼ばれるユ・スンオクが東洋人女性として初めて5位入賞を果たしたことがきっかけで火が付いた。

その世界大会で自身の可能性を試したいとチョン・ヘビンは話す。

「『マッスルマニア』の韓国大会で各種目トップ5に入ると、世界大会の出場権を与えられます。今年はピラティス講師の試験と重なってしまって出場できませんでしたが、来年には絶対に世界大会の舞台に立ちたい。もっと上のレベルで自分を試してみたいんです」

そう語るチョン・ヘビンの熱量には圧倒されたが、その向上心と挑戦心は、フィットネスで汗する日々を通じて培われたという。

「もともと、ポジティブに生きようというのが私のモットーでした。ただ、ポジティブなあまり、断念するのも早かったんです。“ダメでもまあいいか”と思ってしまう。そんな根気のない性格を正してくれたのがボディメイクでした。

トレーニングがつらくても、とにかく最後までやりきろうと努力を続けるうちに、すぐに諦めてしまう癖が直りました。そして、目標をやり遂げられると自信が付いて、もっともっと挑戦してみたくなるんです。その経験を生かして、これからもいろいろなことに挑戦していきたいです」

いずれは自分のトレーニングジムをオープンすることが夢だと話すチョン・ヘビン。

『マッスルマニア』でのグランプリ受賞をきっかけに一躍人気者になった今年は、彼女にとって大きな転機になったに違いないが、その挑戦はまだ始まったばかりなのかもしれない。“9頭身の女神”のこれからの活躍が楽しみになったインタビューだった。

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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