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伊原剛志、ラグビーに見る日本人の強み

中西正男芸能記者
役者への思いをラグビーを交えながら語る伊原剛志

 男らしい色気が漂う俳優・伊原剛志さん(55)。関西テレビ・フジテレビ系連続ドラマ「後妻業」(1月22日スタート、火曜午後9時)でも主要キャストを演じていますが、ハリウッド映画「硫黄島からの手紙」(2006年)への出演以来、常に海外に目を向けていると言います。国際的に活動するヒントを学生時代に情熱を傾けたラグビーから学んでいると明かしました。

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80キロから92キロへ

 去年は、人生で初めてのことをしましてね。今回の作品とは別の作品の役作りで、実在した大柄な人物を演じるために体重を増やしたんです。経験したことのない領域まで増量しました。

 80キロから92キロまで肉をつけました。それが去年の1月から3月のあたりで、5月ごろからまた元に戻し始めて、そうこうしているうちに、今回やらせてもらう「後妻業」の仕事が決まったので、さらに絞って。このアップダウンは、なかなかキツかったですね。

 これまで増やしたとしても86キロくらいまで。さすがに92キロまでいくと、自分の腹ながら、鏡で見ると「すごいな…」と思いましたし、これまでのズボンが一本も入らなかった。しゃがんだら、すぐさま腹のボタンが飛んでましたからね(笑)。

 毎日5食。まず朝は大盛りのご飯3杯から始まって、昼はラーメンにチャーハンに餃子。おやつにピッツァ食べて、夜も寝る前に必ずアイスクリームをかきこんで…。食欲って、自分が食べたい時に食べるのが心地よくて「もう要らん!」という時に食べるのは苦痛です…。力士の人が太るのに苦労するというのはアタマでは分かっていましたけど、55歳でそれをやるのは、なかなか苦労しました(笑)。

自らのルール

 今回、そこまで体重を増やしたのも、これは監督とか誰かに言われてやったことではなく、自分で考えてやったんです。実在の人とはいえ、作品ですから、その人とは全く別のものを作るのも一つの手。ただ、今回は体から寄せていくことにトライしてみようと。自分がそこまで太ったら、体の変化ももちろん、気持ちがどう動くのか。それも試してみたかった。そこで得られる感情を味わってみたかったんです。

 自分が大事にしているのは、その役が来た時に、自分の気持ちがどっちに向かったか。そこの直感というか、感覚を大切にするということ。今回は増量に意識が傾いたので、そこに向かった。これが1年後にオファーが来たら、また全然違うことをやっていたかもしれません。ただ、その時の自分はそう思った。そこに従うこと。そして、そこに従ったと意識すること。そうしていると後悔もしないし、自分の中で決めていることなんです。

 今回の「後妻業」でいうと、スタッフさん、監督さんはじめ、プロデューサーもですけど、みんなの団結力がすごくあるんです。あとね、初日の顔合わせの段階で、最終話まで全ての台本をいただいたんです。こんなこと、僕は連ドラで初めてでした。大概、自転車操業じゃないですけど、時間に追われながら台本を作っていくのが普通。それが最初から全部揃っているわけですから、それを踏まえた役作りもできますし、また今回は今回で新たなことを生んでいければなと思っています。

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海外への意識

 2019年、やってみたいことというと、そこは変わらず、いろいろな国で仕事をすることでしょうね。アメリカでも、いろいろな国でも。呼ばれるところはどこでも行きたいと思っています。

 映画「硫黄島からの手紙」が、僕がいろいろな国でやりたいと思った原点でした。そして「できる」と確信したのがブラジル映画「汚れた心」(12年)に参加した時。映画を撮るって、いきつくところ、どこの国でも同じなんやと。だったら、どこでもできるはずやし、いろいろな国でいろいろなスタッフ、キャストと一緒にやりたいなと。

 また、僕の場合は、同じ事務所の渡辺謙さんとか、僕が千葉真一さんのJACにいた時の真田広之さんとか、海外で活躍されている方々が身近にいらっしゃった。そういう人たちのお話を聞いていると、より一層、自分もやりたいし、僕は短絡的なんかもしれませんけど「自分もできるんちゃうかな」と思うんですよね(笑)。2019年がそんな飛躍の年になればいいなと思います。

ラグビーに学ぶこと

 あと、今年はラグビーにとって、大きな年ですもんね。ワールドカップが日本でありますから。僕は中学の時にラグビーをやっていたんですけど、いつの間にか、日本代表がものすごく強くなっていてびっくりしますよね!肉体勝負のスクラムも、押されないですもん。もうこの時点で、すごいことですよ。

 前のラグビー日本代表ヘッドコーチのエディー・ジョーンズが言ってましたけど、ラグビーにはもちろん、パワーとかフィジカルも要るけれど、日本人が持っている良さも非常に重要だと。精神的に強くて、忍耐力があって、大きな相手が突進してきても、なんとしてでも止める。これは日本人にしかできないことだと。

 僕も本当にそう思いますし、海外に出ると、改めて、日本人の素晴らしさを痛感します。道徳心はあるし、人を思いやる気持ちも非常に強い。あとは、ここに良い意味の自己主張が加われば、日本人は特性を生かして世界で戦える。今の日本のラグビーがまさにそうですけど、日本人の良いところを生かしつつ、アグレッシブさも持ち合わせている。だから、強いんやろうなと。役者とラグビー、もちろん別の世界なんですけど、世界で戦うという点では、そういう部分もつながっているというか、本当に面白いもんやなと思います。

 前回、イングランドで行われたワールドカップで南アフリカに勝った試合は、真夜中に見ていて、ムチャクチャ興奮しました。あんまり興奮しすぎて、そこから全然寝られなかったですからね。今回も相当興奮はすると思いますけど、今年は時差なく見られますから。真夜中に起きっぱなしになることはなさそうで、そこはものすごく助かります(笑)。

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(撮影・中西正男)

■伊原剛志(いはら・つよし)

1963年11月6日に福岡県北九州市で生まれ、その後、大阪へ移る。82年、ジャパンアクションクラブ(JAC)に入団。83年に舞台「真夜中のパーティ」で俳優デビューする。96年、NHK連続テレビ小説「ふたりっこ」でヒロインの幼なじみ役を演じ、注目を集める。2015年NHK大河ドラマ「花燃ゆ」では坂本龍馬役を演じる。映画「硫黄島からの手紙」「十三人の刺客」「相棒-劇場版III-巨大密室! 特命係 絶海の孤島へ」などに出演。ブラジル映画「汚れた心」に主演し「第15回プンタデルエステ国際映画祭」の主演男優賞を受賞した。1月22日スタートの関西テレビ・フジテレビ系連続ドラマ「後妻業」(火曜、午後9時)に出演する。

芸能記者

立命館大学卒業後、デイリースポーツに入社。芸能担当となり、お笑い、宝塚歌劇団などを取材。上方漫才大賞など数々の賞レースで審査員も担当。12年に同社を退社し、KOZOクリエイターズに所属する。読売テレビ・中京テレビ「上沼・高田のクギズケ!」、中京テレビ「キャッチ!」、MBSラジオ「松井愛のすこ~し愛して♡」、ABCラジオ「ウラのウラまで浦川です」などに出演中。「Yahoo!オーサーアワード2019」で特別賞を受賞。また「チャートビート」が発表した「2019年で注目を集めた記事100」で世界8位となる。著書に「なぜ、この芸人は売れ続けるのか?」。

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1999年にデイリースポーツ入社以来、芸能取材一筋。2019年にはYahoo!などの連載で約120組にインタビューし“直接話を聞くこと”にこだわってきた筆者が「この目で見た」「この耳で聞いた」話だけを綴るコラムです。最新ニュースの裏側から、どこを探しても絶対に読むことができない芸人さん直送の“楽屋ニュース”まで。友達に耳打ちするように「ここだけの話やで…」とお伝えします。粉骨砕身、300円以上の値打ちをお届けします。

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