ライバル球団があの投手をトレードで獲得するのを、マリナーズは阻止するべきだったのでは?
8月6日、オークランド・アスレティックス(A's)は2人のPTBNL(後日決定選手)あるいは金銭と交換に、デトロイト・タイガースからマイク・ファイヤーズを獲得した。ファイヤーズは移籍するまで、21試合に先発し、防御率3.48を記録していた。
7月末のデッドラインを過ぎてからのトレードは、ウェーバーを経由しなければならない。契約している球団が選手をウェーバーにかけ、その保有権を放棄すると、どの球団も獲得を申し出ることができる。複数の球団が名乗り出た場合は、ウェーバーにかけた球団と同じリーグにいて、より勝率の低い球団が交渉権を得る。
タイガースとA'sは、ともにア・リーグの球団だ。A'sより勝率が低いア・リーグの球団は、このトレードを阻むことができた。なかでも、シアトル・マリナーズはそうすべきだったのではないだろうか。ワイルドカード・レースにおいて、A'sは2位にいて、マリナーズはその下の3位に位置する。ポストシーズンに進出できるのは、1位と2位だ。
タイガースがA'sから得る見返りに、特定のプロスペクトは含まれていない。そのことからすると、マリナーズが名乗りを上げていれば、ファイヤーズを獲得できた可能性は高い。万が一、交渉がうまくいかず、タイガースがファイヤーズをウェーバーから引っ込め、そのまま保有することにしても、マリナーズはA'sの獲得を阻止できた。
ライバルの補強を妨げるだけではない。マリナーズも先発投手を必要としている。フェリックス・ヘルナンデスをローテーションから外したのは、ファイヤーズのトレード後ながら、ブルペン降格の話はその前から浮上していた。
SNY(スポーツネット・ニューヨーク)のアンディ・マルティノによると、7月24日にザック・ウィーラー(ニューヨーク・メッツ)の登板を視察したメンバーのなかには、マリナーズのスカウトもいたという。同じ頃、ESPNのジェリー・クラズニックは、マリナーズがマット・ハービー(シンシナティ・レッズ)に興味を示していることを報じた。
マリナーズとしては、ファイヤーズでは不十分だと判断し、獲得を見送ったのだろう。ファイヤーズは防御率こそ悪くないものの、奪三振率は前年の8.57から6.58(移籍時)へ急降下していた。
ただ、フェリックスに代わって8月12日に登板予定のエラスモ・ラミレスも、三振を奪う能力に関しては、今シーズンのファイヤーズとそう変わらない。しかも、ラミレスは5月1日から故障者リストに入っていて、8月5日にAAAで投げた試合では、4イニングで4点を失った(自責点3)。ウィーラーやハービーに限らず、先発投手を獲得する話が水面下で進行しているなら別だが、あの時にファイヤーズを手に入れていれば……ということにもなりかねない。
ファイヤーズは8月8日のA's初登板で、5.1回を投げて8三振を奪い、ソロ本塁打による1点しか与えなかった。自身に白星はつかなかったものの、勝利に貢献した。次の登板は8月14日。マリナーズを相手に投げる。