【森友学園問題】財務省は何を隠そうとしているのか
深まる決裁書・書き替え疑惑
学校法人・森友学園との国有地取引を巡って朝日新聞が3月2日に報じた財務省の“決裁書・書き替え疑惑”が、さらに大きくなりつつある。もし報道の通りなら、国有地売買は安倍昭恵夫人への“忖度”に基づくものとなり、政治の私物化があったということになるからだ。
「(検察の)捜査が行われているからといってのみをもって、国政調査権を免れるものではない」
3月6日午後の会見で、玉木雄一郎希望の党代表はこう述べた。日本国憲法第62条で保証された国政調査権は、国権の最高機関(第41条)たる国会がその機能を発揮するために各議院に付与された権限だ。もっともその行使には、他の国家機関の権能を侵害してはならず、また基本的人権に対して配慮も必要になる。
財務省の言い逃れ
同日朝に財務省が参議院予算委員会理事会に提出した資料には、これに乗じたように以下のように記されていた。
「現在、大阪地検において、背任のほか、証拠隠滅や公用文書毀棄について告発を受けて、捜査が行われている状況にあり、財務省としては、この調査に全面的に協力している段階にある」
「調査にあったては、多くの文書の確認が必要となるが、これら文書は、告発を受けた捜査の対象となっており、すべての文書を直ちに確認できない状況となっている」
すなわち「検察による捜査中なので、国会の追及には協力できない」という意味だが、森友学園問題がすでに司直の手に委ねられているのは周知の通り。それでも財務省の太田充理財局長は3月2日の衆議院財務金融委員会で、文書の有無も含めて調査を行い、6日までに報告することを「できる限り努力する」と明言していた。
しかしながら提出されたのは実質上の「ゼロ回答」。午前10時に同理事会は再開されたが、この時は何も出されていない。
消えた「チェック印」
おそらくは前日の動向が、財務省の口を閉ざさせたのではないか。5日夕方の野党6党の合同ヒアリングでは、総務省出身の民進党の小西洋之参議院議員が朝日新聞が書き替えの疑いがあるとした文書に「チェック印」があることを主張。同じ日に自由党の森ゆうこ参議院議員も、近畿財務局で閲覧した原本に「チェック印」を発見した。一般的に官僚は文書を作成する時、間違いがないように「チェック印」を付けるが、国会に提出された文書にはそれらがない。果たして真正な文書が国会に出されたのかどうか疑念が残る。
このように財務省の外堀はどんどん埋められていく一方で、さすがに自民党からも異論が出始めた。
自民党重鎮の発言は総裁選に影響か
「(資料を)出せないということも、我々はちょっと理解できない」
自民党の二階俊博幹事長は6日の会見で疑義を示した。また吉田博美自民党参議院幹事長も「与党もしっかりとした質疑を財務省に対してすべきではないか」と述べているが、この2人の言葉は非常に重い。二階氏は44名の二階派の領袖で、吉田氏は55名の額賀派の重鎮。約100名という2派の規模は、動向次第で今年9月の自民党総裁選の行方を左右しうる勢力となりうるからだ。
もっともその前に“私人”である安倍昭恵夫人の関与が判明すれば、財務省だけでなく内閣が吹っ飛びかねないが、そのような懸念も現実味を帯びるほど、じわじわと真相が解明されつつある。