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高知県では約2割が高齢者一人のみの世帯…高齢単身世帯の実情をさぐる(2020年公開版)

不破雷蔵グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  
↑ 高齢者の一人暮らし。気ままな生活かもしれないが、同時にリスクも。(写真:アフロ)

高齢化社会の到来とともに高齢者のさまざまな社会生活上のリスクが問題視されている。中でも高齢者が一人だけの世帯「高齢単身世帯」への懸念は強い。熱中症や孤独死の事例がよい例だが、健康上のトラブルが発生した時、気が付く・対応する人が周囲にいないため、手遅れになる可能性が多分にあるからだ。そのような世帯はどれほど存在しているのだろうか。厚生労働省が年次定点観測的に調査をしている「国民生活基礎調査の概況」(※)の最新データを基に、その実情を確認する。

次に示すのは高齢者一人だけがいる高齢単身世帯の世帯数。北海道では40.7と出ているので、北海道全体で40.7万世帯もの高齢者一人だけがいる世帯が存在することになる。

↑ 高齢者世帯(単身世帯限定、万世帯)(2019年)
↑ 高齢者世帯(単身世帯限定、万世帯)(2019年)

地域の人口自体にも多分に影響されることもあり、もっとも多いのは東京都の97.3万世帯。次いで大阪府の62.0万世帯、神奈川県の54.7万世帯が続く。一番少ないのは鳥取県の2.9万世帯。

この値は世帯数そのものであり、その地域の世帯全体に占める割合ではない。東京都のように世帯そのものが多ければ、高齢単身世帯が多くても当然。そこで、各地域別の全世帯数に占める比率を算出したのが次のグラフ。例えば全国では14.2%とあるので、日本の全世帯の14.2%は高齢者が一人だけの世帯となる。

↑ 高齢者世帯比率(単身世帯限定)(2019年)
↑ 高齢者世帯比率(単身世帯限定)(2019年)

一番高齢単身世帯比率が高いのは高知県で19.4%。ほぼ5世帯に1世帯は高齢者が1人のみの世帯になる。続くのは鹿児島県の18.2%、それとほぼ同率の長崎県の18.1%。東京都は16.0%、区部に限れば17.0%と高い領域ではあるが、一部でイメージされているような一人身の高齢者ばかりというほどでもない。

やや余談となるが、これを男女別に区分したのが次のグラフ。男性よりも女性の方が平均寿命は長いため、女性の高齢単身世帯の方が多く、比率も高いものとなっている。

↑ 高齢者世帯比率(単身世帯限定、男女別)(2019年)
↑ 高齢者世帯比率(単身世帯限定、男女別)(2019年)

高齢単身世帯で最高値を出した高知県は、女性の値が13.9%を示している。つまり7世帯に1世帯近くは女性の高齢単身世帯で占められていることになる。高齢単身世帯で発生しうる問題に関しては、対女性の事案が増えてくるのだろう。

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※国民生活基礎調査

全国の世帯および世帯主を対象とし、各調査票の内容に適した対象を層化無作為抽出方式で選び、2019年6月6日に世帯票・健康票・介護票、同年7月11日に所得票・貯蓄票を配ることで行われたもので、本人記述により後日調査員によって回収され、集計されている(一部は密封回収)。回収の上集計が可能なデータは世帯票・健康票が21万7179世帯分、所得票・貯蓄票が2万2288世帯分、介護票が6295人分。今調査は3年おきに大規模調査、それ以外は簡易調査が行われている。今回年(2019年分)は大規模調査に該当する年であり、世帯票・所得票以外に健康票・介護票・貯蓄票の調査も実施されている。

また1995年分は阪神・淡路大震災の影響で兵庫県の分、2011年分は東日本大震災の影響で岩手県・宮城県・福島県(被災三県)の分、2012年は福島県の分、2016年は熊本地震の影響で熊本県の分はデータが取得されておらず、当然各種結果にも反映されていない。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項の無い限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

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(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロではないプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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